歌姫メイの秘密

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 37
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200653

作品紹介・あらすじ

お願い。いっぺんだけ、ぎゅっとして
それは、世界一の初恋だった。

「ドライブイン蒲生」「ゆず子の形見」の芥川賞作家が贈る、
峻烈なラブ・ストーリー

本書は、芥川賞作家である伊藤たかみさんの、「ボーイミーツガール」小説。
主人公のメイは、複雑な境遇に育つが、愛を求めて一直線に生きてゆく。
生きづらい、すべての人たちへ。

メイは、小学校4年生のときに、母親といっしょに“ありがた教”と呼ばれるN神聖教会のキャンプから逃げてきた。かわいいのに風変わりで、歌が抜群にうまいのだ。彼女の「恋人」として、僕たちは屋根裏部屋で長い時間を過ごすようになる。どうしても自分の本当の父親と会ってみたい、というメイ。高校生になった僕らは、ようやく探し当てた父親の家へと向かうが……。

感想・レビュー・書評

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  • 小学4年のとき、メイと母親はN神聖教会から逃げ、離れの古い家に住むことになった。
    「僕」はメイを見守り、共に成長していく。
    残酷になったり、不安定になったり、揺れ動くメイが悲しい。
    伊藤たかみさんの描く世界観が大好き。
    過ぎ去った日々が懐かしく思い出される。

  • もっと頭の悪い本かと思ったら意外に読めた。といったら失礼か。

    「ありがた教」の施設から母親と逃げてきたメイ。でも母親のさつきは施設に戻りたがるし、自分は父親が誰なのかを知りたくてやきもきする。そんな時に小学生ながら付き合う事になったのは主人公の男の子。

    「歌姫メイ」とは銘打ってあるが、実際には歌姫でいられた時間は短い。せっかく会えた父親も薬物中毒で半分錯乱しており、話は聞けたが真実のほどは分からない。

    最後東京の大学に進学した主人公と学祭で再会するが、彼女は幸せだったんだろうか。なんだか心配になる。

  • これだけ勢いがあれば母がどうであろうと、父がどうであろうとやっていけるよ。メイ。

  • 表紙の女の子の表情というか佇まいにぐっとひかれて読み始める。色々あるけど、まあ他人の初恋の話。何で最期まで読んだのかも不思議な感じ。

  •  芥川賞作家の作品。

     共同生活を送る宗教集団から離脱した、歌が上手い少女といとこの少年の交流。
     実父探し、実母の再入信と翻弄される少女に交際相手の少年は寄り添う。
     別れた二人は、少年が大学生に、高校を中退した少女は歌の道でそこそこ有名になる。
     少女は少年の大学でライブをする。ひそかに見ていた少年は、その後、偶然、少女と再会。それが少女との最後となった。

     小説世界に現実感を与えるため、思い浮かぶ実在事件、人物が所々に登場する。
     現実感は薄まるが、少女を歌手として大成させてほしかった。
     表紙写真は内容と何か関係しているのか。

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著者プロフィール

いとう・たかみ
1971年兵庫県生まれ。1995年、早稲田大学在学中に「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で第32回文藝賞を受賞し作家デビュー。2000年『ミカ!』で、小学館児童出版文化賞、’06年『ぎぶそん』で坪田譲治文学賞受賞、「八月の路上に捨てる」で芥川賞受賞。主な作品に『ドライブイン蒲生』『誰かと暮らすということ』『 そのころ、白旗アパートでは』『秋田さんの卵』『ゆずこの形見』『あなたの空洞』など。

「2016年 『歌姫メイの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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