住友銀行秘史

著者 :
  • 講談社
3.16
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本棚登録 : 1057
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062201308

作品紹介・あらすじ

大蔵省とマスコミに「内部告発状」を送ったのは私だ。
実力会長を退陣に追い込み、上層部を動かし、
わが住友銀行は生き延びた。
そのなかで、行内の人間関係が露になり、
誰が本物のバンカーなのかもわかってきた。
いま明らかになる「イトマン事件」の真実、闇社会の勢力との闘い、銀行内の激しい人事抗争ーー。
四半世紀の時を経て、すべてを綴った手帳を初公開する。

感想・レビュー・書評

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  •  住友銀行の取締役から、楽天証券を経て、楽天をセクハラで追い出されという波乱万丈人生。人事抗争の姿を実名とメモで明かす暴露本。読んでいて、本当にこういうモラルのない、自己正当化してしまう人物に大企業の経営を任せなくてよかったなと思ってしまう。メモを効果的に使って、ドラマティックな仕上げ方をしているが、実際のところはこんなもんではない。メモを作ったのも、やめる前提だったことさえ匂わしているが、取締役に同期トップでなったとか、自画自賛の文章が並ぶ。物書きなら、こんなことは絶対ないだろうけれど、最後までついてきてくれる人、慕ってくれる人がいないことを暴露しているようなものだ。
     人事をめぐる戦いという意味で、真実があるとすれば、内部告発をマスコミにしたのは私だ。というところだろうか。なぜ告発という手に打って出たのか。イトマン事件の背後にあるのが、住友銀行の頭取とイトマンに繋がる不正であったとするなら、やはり腐っていると言わざるを得ない。なぜ取り込まれるのか、悪の道とは頭取という5万人のトップでさえも抗えない力を持っているということだ。気品にあふれと高潔であること、語学も堪能で、明晰な頭脳と判断する勇気を持っていること、ビジネスにおいても公明正大、まっすぐにやる、逃げないというメッセージが心に響くこともある。それくらい、まっすぐに立つということが難しい時代なんだろう。

  • これだけのメモをよく取っていたな、というのが第一印象。
    著者ご自身のバイタリティに感服。普通なら心が折れる状況でも、見失わずに貫徹した。
    バブルとは、驚きの時代だったということがよくわかる。今ではありえない。
    ただ、営業のやり方は参考になる。

  • メモで話が寸断され、全然頭に入ってこない。

  • バブル期の大事件を実名さえさらけだして暴露。実在する土地、名画、料亭の名前までもがさらされてリアリティを感じる。住銀側から書かれたいたので
    、イトマン側がどんなスキームで大金を動かし、法をくぐろうとしていたのかはあまり書かれていなかったので、モヤモヤ感が残ってしまう。

  • 1990年、バブル真っ只中の日本金融界で起こったイトマン事件。本事件は経営不振のイトマンを立て直すために住友銀行から派遣された河村社長による不正経理事件だ。莫大な負債を隠すために絵画取引を利用するなど、当時としてはその意外な手段が注目された。

    一躍時の悪役となったイトマンのメインバンク住友銀行はこの事件をどのように片付けたのか。著者は当時の住友銀行員でありながら、銀行を守るためにその事件を匿名で世間に暴露し、事件解決に奔走した。それから20年以上を経て、著者は当時の詳細な業務メモをもとに事件の真相を語る。

    本書の多くは断片的なメモを並べているだけで、正直、読み物としてはおもしろくない。すぐれたゴーストライターを付けてほしかった。また、「住友銀行秘史」と言いながら、結局イトマン事件のことしか触れないって、どうなの。

    とはいえ、住友銀行によるイトマンへの会社更生法適用失敗から、XデーならぬZデーのイトマン取締役会での社長退任動議のクライマックスは読み応えがある。

  • 読んで後悔。事件のことより「自他共に認める10年に1人の逸材」だの「上司や会社のためではなくただ真実を知りたいだけ」「俺が動かなければ被害は5000億で済まなかっただろう」といった自慢フレーズが頻発。「秘史」というからには根拠や証言を示してもらいたいがそれはなく、あるのは自分のメモだけ。自己陶酔をベースに都合良い部分を激動の経済ドラマ風に書き起こしたものであり、がっかり。

  • バブル絶頂期にまきおこった、住友銀行とイトマンを巡る事件に関する詳細が記されている。

    著者は元住友銀行の元取締役であり、組織内部から状況を伺い、逐一をメモとして残した。住友銀行という組織を護るただ一心に、陰に陽に行動し事件のおとしどころを探っていく姿は、感銘しかない。

    巨大組織の中とはいえ、実は組織の大小は問わず、実に人間臭いところで組織が動かされていくことが、手に取るように分かり非常に面白い。

    勤め人なら読んでおいて損はない、一冊だ。

  • 2023/12/29

  •  
    ── 國重 惇史《住友銀行秘史 2016106 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4062201305
     
     Kunishige, Atsushi 19451223 山口 東京 20230404 77 /
    /楽天証券社長、同社会長、楽天銀行社長、同社会長、楽天副会長
     
     “最後のバンカー”ベストセラーの著書より面白い、著者の波乱の
    人生の知られざる最期「前妻愛人乱脈秘史」ダブル不倫・離婚訴訟・
    完治不能の難病… 20230406 デイリー新潮
     
    【写真】闘病中の國重 惇史氏(2008)と亡くなった直後の霊安室。
     
    https://news.yahoo.co.jp/articles/caca5edaa286452bf7ca4712f0cbc46118609d7a
     
    “伝説のMOF担”と呼ばれた住友銀行(現・三井住友銀行)元取締役、
    楽天副会長。“エリートバンカー”とは思えぬ、その破天荒な生きざま
    については『週刊新潮』でもかつて詳報したが、その最期は突然訪れた。
     
     東大経済学部を卒業後、住友銀行に入行。行内でも精鋭の集うMOF
    (旧大蔵省)担当を長く務め、“3000億円が消えた”とされる戦後最大
    の経済事件「イトマン事件」の際には、住友銀行とイトマン間の不透明
    なカネの流れを内部告発。「住友銀行を救った英雄」とも評された。
     
    “清濁併せ飲む”スタイルで辣腕を発揮し、住友系の証券会社社長を務
    め、楽天の同社買収を機に三木谷 浩史会長兼社長に請われて副社長に
    就任。同社の金融ビジネスを取仕切るなど“三木谷氏の右腕”として活
    躍した(全国紙経済部記者)。
     
     楽天の副会長にまで上り詰めたが、2014年に同社を辞し、教育関連の
    ベンチャー企業の取締役会長に就任。『週刊新潮』に登場したのはその
    当時、妻と2人の娘がいたが、人妻とダブル不倫に陥り、不倫相手に対
    する「DV」や「妊娠・流産」の疑惑を告発する内容だった。
     
     取材に対して「不倫っていうのは人によって定義が違うからね。僕が
    裸で(妻以外の)女性と抱き合っていたからって、それがどうしたのっ
    て話じゃない」と独特の倫理観を披露して記者を驚かせた。
     
     このスキャンダルを機に妻と離婚し、家族と暮らしていた都内の高級
    マンションも出ることになった。元妻から離婚訴訟を起こされ、多額の
    慰謝料の支払い義務まで負うことになったが、前後してベンチャー企業
    の会長職も退くことに。
     
    「以降はワンルームマンションで暮らし、夜食は吉野家の牛丼といった
    生活を送っていました。けれど悲壮感は一切なく、不思議と楽しそうだ
    ったのが國重さんらしかった」(知人の一人)
     
     数年前から歩行や会話が困難になる「進行性核上性麻痺」という完治
    の見込みが薄い難病に罹り、車椅子での生活を送るようになった。昨年
    からは食事も流動食が多くなり、目に見えて体重も減っていったという。
     
    「突然、容体が急変したそうです。ただし息を引き取る際は穏やかな様
    子だったと聞いており、波乱に満ちた人生でしたが、その幕引きは静か
    なものだったようです」
     
     生前みずから“ラストバンカー”と名乗っていた銀行マンが“得意の
    絶頂”にあった時代を知る「最後のバンカー」だったことは間違いない。
     デイリー新潮編集部
     
    (20230407)
     

  • 世間を騒がした、イトマン事件(主演 磯田一郎、助演 河村良彦 他)についての、当事者(私がマスコミに色々リークをした男です)による手記のようです。自分が見た世界なので、やや偏りがあると思いますが、それにしても生々しい、こういう議論が信用を大切にする銀行の中で行われていたのか(ある意味、小説 半沢直樹 の世界を超えてますね)という意味でも凄い本、★二つです。

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著者プロフィール

國重惇史(くにしげ・あつし)
1945年、山口県生まれ。68年、東京大学経済学部を卒業。同年、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。渋谷東口支店長、業務渉外部部付部長、本店営業第一部長、丸の内支店長を歴任。94年に同期トップで取締役就任。日本橋支店長、本店支配人東京駐在を経て、97年、住友キャピタル証券副社長。銀行員時代はMOF担を10年務めた。
その後、99年にDLJディレクトSFG証券社長になり、同社を楽天が買収したことから、2005年に楽天副社長に。楽天証券会長、イーバンク銀行(現楽天銀行)社長、同行会長を経て、14年に楽天副会長就任。同年、辞任。現在はリミックスポイント会長兼社長。

「2016年 『住友銀行秘史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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