紀元2600年のテレビドラマ ブラウン管が映した時代の交差点

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  • 講談社
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062201537

作品紹介・あらすじ

日本初のテレビドラマは、いつNHKで放送されたか? それが、零戦が初飛行し、中国での戦線が膠着状態にはいり、紀元2600年で沸きかえる昭和15(1940)年と知れば驚く方も多いだろう。大正14(1925)年にラジオ放送は開始されたが、それからわずか15年で、戦前のテレビ技術は、本放送実現の一歩手前まで究まっていたのだ。
それは、幻に終わった東京オリンピック、万国博覧会に向けた国家プロジェクトとして莫大な予算が投じられたためであり、2大イベントが中止となった後も、紀元2600年を控えて国威発揚のために、また軍事技術への転用のためにも、欧米に負けられない開発目標だった。実際、5年前の平成21年に終わったアナログ放送での走査線が525本であったのに対し、戦前では441本にまで技術は進歩していた。
実験放送は、真珠湾攻撃の当日、昭和16年12月8日午前にも予定されていたが、開戦とともに放送用の開発は終わり、戦時中は、飛行機に搭載する超小型テレビや電波探信機の研究に切り替わった。
昭和15年4月に無線で放送されたテレビドラマ『夕餉前』は、原泉子、岩下志麻の父・野々村潔、寺尾聡の母・関志保子が出演、照明1万ルクス、灼熱のスタジオで髪が燃えたというエピソードが残った。10月の第2作『謡と代用品』には、天才子役だった中村メイコがカメラの前に立った。また、世界初の技術でブラウン管に映像を映した高柳健次郎の奮闘など、戦前のテレビ開発に賭けた人びとの夢を追うノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 戦前に、テレビドラマが放送された。

    この一文のインパクトは大きかったです。テレビは戦後のものだと思っていました。テレビの歴史を語る時、あまり戦前の状況が、語られることってないような。
    テレビの父と言われた高柳さんの実験の「イ」が映し出された話はよく知っているのに、そこからいきなり戦後まで私の認識は飛んでしまってます。
    よく考えたら、その間実用化に向けて何もしなかったはずがないのに、スポッと知識が抜けているのです。
    そんな一種の幻のような歴史が現実にあったことを初めて知り、驚きました。
    テレビを実用化するため、それに携わった多くの人の苦労と希望と、近づいてくる戦争の予感。大河ドラマのネタにもなりそうなスケールの話しだと思うのに、なぜあまり取り上げられてこなかったのか。
    消された(?)過去を覗くような、好奇心をくすぐる本でした。

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著者プロフィール

1974年、神奈川県出身。99年、東京大学教養学部人文地理学科卒業。同年、東京急行電鉄株式会社入社。渋谷ヒカリエ内の劇場「東急シアターオーブ」の立ち上げを担当。広報課長を経て、現在、交通インフラ事業部MaaS担当課長。
2015年、初の著書『洲崎球場のポール際 プロ野球の「聖地」に輝いた一瞬の光』(講談社、2014年)により、第25回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。その他の著書に『紀元2600年のテレビドラマ ブラウン管が映した時代の交差点』(講談社、2016年)がある。


「2020年 『MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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