猿の見る夢

著者 : 桐野夏生
  • 講談社 (2016年8月9日発売)
3.39
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202015

作品紹介

これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生

自分はかなりのクラスに属する人間だ。
大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。
そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、あの女の出現から始まった――。

還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!

週刊現代読者の圧倒的支持を得た人気連載が、ついに書籍化!

猿の見る夢の感想・レビュー・書評

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  • 銀行からの出向先で次期社長を夢見る60間近の男性が、様々なトラブルに見舞われていく。

    会社内のセクハラ、長年の愛人、実家の相続を巡る確執など、次から次へと下世話な問題が発生する。加えて、夢で未来を見るという老女を妻が家に連れてきたことから、ますますややこしくなってくる。
    右往左往する主人公を筆頭に、周囲の人たちも常識はずれな面が強調されていて、よくこれだけの面々を揃えたなというほど。

    何より、主人公がことごとく情けない。
    女性と見れば尻尾を振り、お金にも地位にもしがみつき、本人はすべて計算ずくのつもりが浅はかで失敗を重ね、でも反省もなく傷つかないから懲りない。
    現実に側にいたら嫌悪感しかないが、そこは作者の懐の深さで、「これまでで一番いとおしい男」としてすべてを母性愛でくるんで、笑い飛ばしながらさばさばと描いている。
    だから、最初はダメダメ振りにうんざりしていたけれど、徐々に作者の俯瞰する目線と同化して、しょうもない奴の結末を見届けてあげよう、という余裕が出てくるから不思議。
    ある程度の年を重ね、魅力のない主人公を楽しむゆとりのある人向き。

  • 読み終わっての感想はとりとめない印象。
    訳の分からない占い師が出て来て、振り回される中年男性が描かれているけど、恐いという訳でなし、感動する話でもないし、笑える話でもないし・・・。
    深刻なのと滑稽なのを行き来しているような印象の話だった。

    主人公は銀行からファストファッションの会社に出向した50代の男性。
    彼は仕事でもプライベートでもどっちつかずの態度をとっている。
    仕事では会長と社長、どちら側にもつかず。
    プライベートでは家庭をもちつつ愛人がいる。
    そんな彼の家に占い師の女が居つくようになる。
    彼女を家に招いたのは主人公の妻で、その占い師は夢を見る事によって占いをすると言う。
    主人公は一時はその占い師を追い出すが、その後、良くない事が続くようになり、またその占い師を呼び戻すことに。
    所が、その後も会社は社長のセクハラ騒ぎというトラブルが起き、プライベートでは実母がなくなり、遺産問題で妹と揉める。
    さらには愛人がいる事が妻にばれて家を出るはめにまでなる。

    読んでいて、占い師の常とう手段ってこういうのだろうな・・・と思った。
    まず、占い師の女の言ってる事が抽象的すぎる。
    「履きつぶした靴は捨てよ」とか。
    それを聞いた人がどうとでもとれる内容で、誰にでもあてはまるような事を言う。
    「お父さんに問題がある」なんて、問題のない中年なんてほぼいないんでは・・・?と思うし、ズバリ当てたと思われる遺書の事についても後でどうとでもいい訳できる事だと思う。
    あったらあったで「占いが当たった」となるし、なかったら「どこかにある」とか「実はあったけど、既に処分された」とか、どうとでも言える。
    だけど、そんな占いに翻弄されていつの間にかがんじがらめになっている主人公やその周囲の人々・・・。
    客観的に見ればおかしいけれど、渦中にいるとそうなるのかもな・・・と思う。

    私はこの物語の主人公の話よりも占い師の女がどういう人生を歩んで実はどういう人間なのかが知りたいと思った。
    むしろ、そういう話の方がゾクッとくる、桐野夏生さんの書く小説らしいという気がする。

    主人公は50代だけど、ファストファッション業界で働く、どちらかと言えばシュッとした男性のようだけど、どうにも本の表紙がかぶってハゲでデブのイメージで読んでしまった。

  • デフォルメされた60歳直前のしょぼくれた元金融(現転出)の親父の生活。
    あまりに自分の状況と似ているが、まあ、こんな親父もいるかな? こんな環境もあるかな?というレベル。
    あえて読まなくてもよかったかなという徒労感だけが残った。

  • 定年前のおじさんが主人公。愛人や綺麗な秘書にしっぽを振り、相手がつれない態度をとるとすぐに拗ねて関係を断とうとする。あっちにふらふら、こっちにふらふら。自分さえよければいいという態度が不幸を呼び寄せる。なんてしょーもない話!

  • 銀行からファストファッションの会社に出向となり会社の成長に乗り役員となった薄井。
    薄井は銀行時代の愛人美由樹と付き合い、会長秘書にも興味を持っていた。妻が夢見をする女を家に引き入れたことから人生の歯車が狂っていく。

  • 衝撃的なOUT以来、桐野作品は見ると手に取る。そして、ハマる作品とそうでない作品にハッキリ二分される。今回は後者…
    全く共感を持つことのできない主人公にイライラしつつも、どこかで何かがあると思いながら読み続けてのこの終わり…
    どっと疲れた。

  • 女性の視点からの作品のイメージの桐野さんだけど、珍しく男性のおじさん視点の話。
    しかし、この主人公が最悪で小心者で単純でスケべでもう嫌悪感しかないような人物。共感できることが一切なく、読み続けるのが苦痛だったほど。
    こんな男に早く天罰が下ればいいと思う一心でなんとか読み進めたけど、なんか終わり方も中途半端で、結局何が言いたかったのかさっぱりわからない。
    読後感も悪く、読む価値なしでした。
    お口直しに心が洗われるような話が読みたくなりました。

  • 銀行からの出向,一応大手企業の役員である主人公。出世,金銭,女…,品性下劣な俗物であり。自己保身や欲望の実現に余念がない。そこに怪しげな占い師が絡み…。ひたすら嫌な男の行動とつまらない人間関係を読まされてなんの盛り上がりもドラマもなし。読後感も後味悪シ。いったい何が書きたかったのか…

  • 薄井、今でいうところのゲス野郎ですな。
    読んでる間中ここまで不愉快な気持ちになれるなんて
    ある意味貴重。

  • 男の人ってしょうもないないなぁ(笑)

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