YKK秘録

著者 : 山崎拓
  • 講談社 (2016年7月20日発売)
3.52
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  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202121

作品紹介・あらすじ

YKKの誕生から四半世紀。山崎拓がずっとしたためていた日記を初公開。
「加藤の乱」の内幕、小泉のたぐいまれな政治センス、
友情と打算に満ちたYKKの真実がいま、明かされる。
迫真の政治ドキュメント!

YKK秘録の感想・レビュー・書評

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  • 先日お亡くなりになられた加藤紘一に捧げられるかのように出版されたYKKとしての活動回想録である。
    著者である山崎拓が衆議員手帳にマメにメモっていた内容をある程度そのまま書き出してドキュメントタッチにしたもので、時にはその出来事の感想であったり、あるいは政界の裏面話(割と知られた話ではあると思ったが)が記されたりで、たんたんとした箇条書きに近いものではあるもののなかなか面白いものであった。

    YKKは自民党内の派閥力学を前提に、第2派閥以下同士の連携を模索するための連絡将校達の情報交換の場だと思っていたのだが、そういう面もあったかもしれないが、今回本書を読んでみて、田中派・竹下派の自民党支配を打ち破る血気と情熱を持ったトリオであり、文字通り盟友が集い彼ら自身の政治集団として発信力と影響力を持ったチームであったことがよくわかった。
    本書を読んで感じるのは、YKKといいながらも立場は加藤が盟主的存在で、山崎がこれをサポートするという図式が主であり、小泉はやっぱりYKKの中でも一匹オオカミ的で付かず離れずにいるような存在だったんですね。
    加藤はやはり秀才イメージで、小泉は孤高の情熱家といったイメージ通りの感じになるのだが、山崎はというとあのおっさん顔といやらしい目つきのエロ親父の風情なようにも思えるが(笑)、本書を読んでいると義理人情に厚く、政治バランスに長け、外交・安全保障問題に力を尽くした政治家であったことがよくわかった。(まあぶっちゃげ自叙伝なんだけど)
    何で石原伸晃を山崎派の後継にしたのかなとか、何で武部勤が幹事長になったのかなと思っていたのだが、本書を読んでみると義理も大きかったんだな。
    経済界やマスコミトップ(特に日本テレビの氏家会長との親密ぶりは目を瞠る)、各国の有力者、与党や野党の議員たちなど様々な人と会いながら大した行動力・調整力で方向性や政策を決定し、一方で小さいながらも自民党内にオーナー派閥を作ったのだから、政治家としてはやはり大したものなんでしょうね。
    しかし、肝心なところはやはりといっていいのか記されていないとも思い、その時々の重大案件についての氏の動向が網羅されているかといえばそうでもなく、離散集合する派閥争いのことや何で経済界から相当の支援を得られていたのかというエッセンスも当然ながら無いため、深部を知りたい人にはちょっと消化不良になるかもしれない。
    本書の最大の盛り上がりはやはり加藤の乱の顛末で、こうして記されてみると加藤の間抜けぶりが際立っていると思った。そして、小泉政権での幹事長就任。
    浮き沈みはあったけれど本人とYKKというチームは政界にその名を残したのだから、まあ成功だったといえるのではないだろうか。

    「YKKは、友情と打算の二重奏だ」(小泉純一郎)

    政界の渡り歩きを満喫できる一書。(笑)

  • 日記をそのまま文章化した感じで、味もそっけもない。倉山満が伊藤昌哉の文章についても似たようなことを言っていたけど、味気無さはこっちの方が上。

    ただ、味気ないとは言っても、当時の政争とかに興味がある人にとってはワクワクするような内容なんだろうな…。僕はまだ勉強中。

    でも、加藤の乱と小泉内閣成立までの過程は面白かった。政治とはかくも義理と人情と友情と打算で成り立っているものか。

  • ・年月日・同席者・店名・会合内容(メモ魔ぶりをうかがわせる)資料集という印象。なのでWIKIPEDIAを読まされているようでノンフィクションの割にはかなり苦痛でした。
    ・加藤の乱の箇所だけはたしかに面白い
    ・やまたくの後援会が、三井・三菱・住友・安田、財閥それぞれ別個に組織されていたことに驚き。それが大企業なのね
    ・政治家が政治家以外に会う人の肩書が、企業トップ・海外トップ・メディアと実に多数に及んでいることがわかる。
    ・国会議員でない弁護士でゆいいつ登場した弁護士は荒木邦一氏(司法改革のことで)。
    ・料亭かホテルの部屋かホテルのレストランか日テレの食堂でしか会合しないのね。庶民とはまるでかけ離れてます。
    ・国会議員はとにかく多忙。議員報酬だけでは気の毒なくらい
    ・ナベツネが「読者1000万人を動員して倒閣運動をせざるをえない」と何度か料亭で言っているのが印象、読売新聞にとって政権を維持するも打倒するも自分の腹次第という本音なんだろうね
    ・女性スキャンダルで落選したことにわずか数行しか触れてないのは、腹切りみたいで辛いんだろうね。あれだけメモ魔なのにね
    ・小泉氏が金権政治を嫌悪していたルサンチマンを知ることはできた

  • 山崎拓によるYKK時代の回顧録である。細かな人物との接触記録が多く、全体の流れが見えにくい。現在の政治家もこのように頻繁に会合を開いて、各界の人物との根回しをやっているのだろうか。
    民主の岡田の話が出て来るが、真面目なだけでは、政治は動かないのだと感じる。

  • 山崎拓代議士のYKK時代を記録した自伝。

    本人が当時つけていた手帳メモに基づき、政治現場の詳細状況が簡潔かつ著者の見識も添えて述べられており、スピード感をもって読むことができる。

    55年体制崩壊時における小沢一郎の政治センスの凄さ、小渕元首相との確執、加藤の乱における小泉純一郎の振る舞いの描写が特に面白い。

    印象に残ったのは以下の点。

    ①小泉純一郎の半経世会のマインドが、福田元首相が田中角栄に敗れた際のヤケ酒に付き合った事から始まっておち、小泉純一郎の郵政民営化はそのマインドに基づく信念的な政策であった事

    ②自民党総裁選出馬による小渕元首相との確執や加藤の乱の描写から見える、加藤紘一の政治家としての脇の甘さ・線の弱さ・視野の狭さが「大器晩壊」につながった事

    惜しむらくは、山崎センセイの艶話が全く触れられていないこと。番外編でもいいから話は残して欲しかった。

  • 1972年衆議院当選、自民党一筋で様々な政局に立ち会った山崎拓氏が自らの手帳に記した「秘録」を公開。この人自身は首相になったわけでなく、ドラマの中心になったこともない。地味で堅実な政治家人生だった。そんな彼の手帳が注目される理由は、生涯の盟友に加藤紘一、小泉純一郎がいたからだ。3人の頭文字をとり「YKK」グループを結成、ことあるごとに集い、政局を語り合った。そして、KKの2人は自民党をぶっ壊す役割を担い、1人は失敗、もう1人はその失敗を踏み台にして成功を果たす。

    そんなドラマを目の前で見てきた著者の手帳は政治史の貴重な文献だ。

    本書で一番の読みどころはやはり、小泉純一郎の行動・言動。自己紹介で「エキセントリックだ」と名乗り、郵政民営化、首相公選などをぶち上げる。政治生命を失う結果的に盟友加藤の失脚をきっかけに首相に就任する。小泉氏にとっては、YKKとは友情の証ではなく、道具の一つだったのだろう。だからこそ、首相として歴史に名を残した。

    そんな小泉首相を著者は幹事長として支えることになる。田中真紀子外相を更迭するシーンはこれぞ政治劇という感じだ。

  • YKKってどうでもいい政治屋3人組だと思っていたのだが,やっぱりそうだった。
    小泉は首相になって無茶苦茶やったし,今も無茶苦茶やってるし。息子は輪をかけたおバカだし。

    加藤はおバカでないはずなのにやっぱりダメだったし。

    著者のヤマタク自身が変態のくせに自画自賛が多すぎ。
    ようするに三馬鹿!の話し。

    新聞の書評かなにかで知って図書館から借用。自分で買って読む本でないことは確か。

  • 時系列の日記調。読みにくいが、その当時の緊迫感的なものは多少伝わって来た。会議室が料亭ばかり。呑気なもんだ。加藤の乱についての章が読みたかったので満足。

  • まず、最も感心したのが、日付の克明さである。いつどこで誰と会談したかということが、事細かに書かれている。挙げ句の果てには奥さんが美容院に行ったことまで書いてある。

    逆に「書かれなかったこと」は何なのか気になる。邪推するしかないのだけれど。特にご自身のスキャンダルについては一言も言及されていない。

    YKKの成立。リクルート、政治改革、細川内閣、自社さ政権、加藤の乱、小泉政権樹立と、我が国の世紀をまたいだ政治状況の生き証人であるので、非常に面白かった。

    他の書評では、加藤の乱の内幕を描いた点が評価されていたが、個人的には、その後の小泉政権時に小泉首相が加藤氏のことを気にかけたいた点が新鮮であった。

    このような、政治家のダイナミックな動きを、他の政治家も執筆してくれることを望みたい。

  • 政治家は当時、日本テレビ本社内「四阿」で会食していた。
    住専処理法で野党が座り込み戦術をとったので、山崎は一計を案じ、衆議院事務局と相談して、エアコンで院内の音頭を上げ下げすることで赤じゅうたんに寄生するダニを跳梁跋扈させ、座り込みを続けられないようにした。
    小泉が当選1回のとき大蔵委員になったが、当時この委員会は夜に開かれていたためほとんどの議員が途中退席した。最後まで残っていた自民党代議士は小泉と日本一の税財政通と言われた山中貞則だった。
    司法改革についても、たまたま本件担当の荒木日弁連副会長が山崎の親友で、さらには下川日本司法書士連合会副会長も山崎の強力な支援者でったことから、保岡(田中角栄事件の弁護士)政調会総括副会長と3人とリオで政調会長室自室に陣取り、法務省の役人と改革案の取りまとめに余念がなかった。
    谷垣は加藤派だった。
    中曽根は森首相に、アーミテージレポートを読むようアドバイスした。
    山崎と渡辺恒雄は、8月15日参拝を避けて前倒しするよう小泉にアドバイスしようとし、もし前倒しするならそれを援護する支持声明を主筆として読売新聞に掲載すると言った。
    今では9条改正否定論にも一定の理解を示せるようになってきた。つまり平和は大切。

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