ヴァラエティ

著者 :
  • 講談社
3.39
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本棚登録 : 688
レビュー : 127
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202268

作品紹介・あらすじ

「奥田英朗はぜんぶ読んでる」という人にも、じつはまだ読んでいない作品がある!かも。単行本初収録の短篇をはじめ、現在入手困難となっているアンソロジーの短篇、唯一のショートショート、数少ない貴重な対談などを収録。コアなファンからちょっと気になった人まで、レアな奥田英朗を楽しめるスペシャル作品集!

感想・レビュー・書評

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  • この本自体は2019年9月発行だが、2016年に単行本として出されたもの。
    下のAmazonより紹介にあるように、それぞれの短編は、ある意味あちこちから集めた作品集。
    2004年~2012年のもので、今読むと古さを感じさせる。でもそこは奥田英朗、クスッと、またはホロ苦く、懐かしさを感じさせるように読ませる。
    こんな時代が有ったんだよなあ、というノスタルジーに浸るひと時を過ごせた。

    Amazonより紹介*****************
    「奥田英朗はぜんぶ読んでる」という人にも、じつはまだ読んでいない作品がある!かも。単行本初収録の短篇をはじめ、現在入手困難となっているアンソロジーの短篇、唯一のショートショート、数少ない貴重な対談などを収録。コアなファンからちょっと気になった人まで、レアな奥田英朗を楽しめるスペシャル作品集!

  • まさしくタイトル通りの「variety」
    悪く言えば、寄せ集めーーとも言えようが、奥田さんの作品は全部読みたい、全部目を通したいという奥田英朗ファンにとっては貴重な一冊

    お蔵入りするところだった短編6編、ショートショート1編、尾形イッセーさん、山田太一さんとの対談

    奥田さんが常日頃影響を受けたと言われるお二人との対談では、なかなか聞けない本音や執筆秘話がちらほら
    とても興味深い

    例えば・・・
    読者の期待に応えないようにいつも逃げる。サスペンスが続き、そういうものを書くしかないだろうと本能的に感じると、伊良部シリーズとかでかわす。それが賞を獲って売れたから、また違うことをやる。期待されるのが怖い

    それで奥田さんはたくさんの引き出しを持っておられるのかと納得!

    「僕は書く前は臆病になる。書けるだろうか、面白くなるだろうか。この小説は受け入れられるだろうか」
    「十人に褒められても一人にけなされると、ものすごい落ち込みます」

    直木賞作家で、盤石の地位を築いておられるかに見える奥田さんでさえこんな気持ちなんだと再認識した

    最後の短編「夏のアルバム」は、奥田さんご自身が短編の中で5指の中に入る出来栄えで好きな作品とおっしゃっている。
    私も大好きだ。同じ年代のせいか、幼い頃祖父母の家に集まって従兄弟達と遊んだことが思い出され、遠い昭和の時代が甦ってきたようで懐かしく感慨深いものがある

    奥田さんの後書きなど読むことがないだろうが、これには後書きが付いている。これもまたお得感があった

  • ★3.5

    6編の短編と1編のショートショートと2つの対談。
    あとがきで触れられていますが、まとまらなかった短編集です。
    ・おれは社長だ!
    ・毎度おおきに
    ・<対談>イッセー尾形
    ・ドライブ・イン・サマー
    ・クロアチア vs 日本
    ・住み込み可
    ・<対談>山田太一
    ・セブンティーン
    ・夏のアルバム

    最初の2作品が連作短編で、大手広告会社を脱サラして会社を興した38歳の社長。
    余りの甘い考えにハラハラさせられ、最初は妙に自信満々で嫌な奴って思っていたけど、
    憎めない可愛さがあっていつの間にか応援していた。
    2本で挫折してしまったとご本人が仰っていましたが、面白かったので
    続きがないのが残念です。
    17歳の娘がクリスマスイブに初めて外泊をしたいと言い出した「セブンティーン」
    母親の葛藤や心理描写がとても丁寧で良かった(*´▽`*)
    いつも思うけど、奥田さんどうしてこうまで女性の心理がわかるんだろう。
    凄いなぁって感じました。
    「夏のアルバム」も切なくって良かったです。

    どのお話もプッと笑ったり、苛々したり、共感したりと色んな感情が湧いて楽しめました。
    「あとがき」が一番楽しかったりして~(笑)
    とっても楽しかったし引き込まれて一気読みしたのですが、やはり話がバラバラで
    ちょっとだけ物足りなさを感じてしまったので★0.5下げました。

  • 「ヴァラエティ」
    久々の奥田英朗作品。


    最新刊は「刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独――犯罪小説の最高峰、ここに誕生!」だそうだ。クソ、読みたい。が、まずは「ヴァラエティ」だ。タイトルからすれば様々な種類の文章が詰まってるとなるが、その通り。短編やら対談やらショートショートやら忙しい。浮いていた短編を纏めた一冊。


    個人的には奥田英朗は長編が好みだが、ちょっと短編も好きになってきた。今回の序盤2編がユーモラスだからだろうか。シリーズものに出来そうなのに残念だと思いながら読んだ。よくよく考えたら伊良部シリーズを書く人なのだから、これくらいのユーモラスはお手の物で、内装業のクセ社長も伊良部に比べたらお子ちゃまキャラに見えてくる副産物付である。ああ、このクセ社長は、結婚出来ない男の、棟梁だなとも思える(突飛ですが続編始まるから、ついつい棟梁の顔が笑)。


    イッセー尾形との対談の後は、肉感的な美人って最高じゃないか!と思っていたら、最悪の悲劇が待っていたのが「ドライブ・イン・サマー」。肉感的な美人を妻にした代償なのか。笑えるが、直ぐに辛すぎる、なんなのこれ?と主人公に共感してしまうのだ。それもこれも最初に乗り込んできた奴が悪い。「夏のアルバム」は、作者一押しの短編。他に比べて落ちつきを感じる。馬鹿らしい小説もうまいが、この手も上手いよね。と。


    読む読者がいなくなったら怠惰な作者は書くのをやめちゃうらしい。それは困るので、どんどん日本国民は読まねばならぬ。さて、次は、最新刊を。

  • お蔵入りになりかけた、短編、対談、ショートショートを集めて出版された。

    大手広告代理店のやり手広告マン。長年の夢だったった独立起業を果たす。念願叶って手に入れた一国一城の主の座だがーー「おれは社長だ!」

    会社を起こして2ヶ月で3キロ痩せた。悪戦苦闘を続ける続編ーー「毎度おおきに」。

    イッセー尾形との対談ーー「『笑いの達人』楽屋ばなし」。

    運転免許を持たない徳夫は、妻の運転で妻の実家の神戸に向かった。殺人的な都内の渋滞を抜けて高速に入る手前に、妻がヒッチハイクの若者を車に乗せてしまうーー「ドライブ・イン・サマー」。

    ショートショート「クロアチアvs日本」。

    DV夫から逃げてたどり着いた熱海の地。自分以上に訳がありそうな同僚のアパートを訪ねてみるとーー「住み込み可」。

    山田太一との対談ーー「総ての人が〈人生の主役〉になれるわけではない」。

    高2になった娘が、クリスマスイブに友達の家に外泊したいと言い出す。見え見えの嘘に、由美子は揺れ動く。なんとか阻止できないものか。いずれは体験するものとしても、高校生では早すぎる。母として心配は尽きないーー「セブンティーン」。

    小2の雅夫は、自転車の補助輪が取れていない。友達の自転車を借りて練習するが、なかなか上手くいかない。そんな中、体調を崩しているという伯母さんのお見舞いに家族で出かけることにーー「夏のアルバム」。

    「車の窓から通りを見ると、サラリーマンたちが忙しそうに行き交っていた。全員、何かを背負っている男たちだ。自由は制限され、人間関係に縛られ、それでも一生懸命生きている」(毎度おおきに、P87)

    取材はしないが、徹底して自分の中にあるものを絞り出して書くという筆者。
    その絞り出した何かに、大きな共感が生まれ、ベストセラーになっていくのだろう。シャイで皮肉屋で、でも人一倍純粋な筆者にしかかけない世界。

  • お蔵入りしていた短編をまとめたもの。シリーズものではなく寄せ集めのごった煮。まさにバラエティ。だけど、どれもこれも実にいい。作品ごとにガラリと装いをかえ、引き出しの多さに本当に驚かされる。人生の処世術といった教訓が随所にあり物語としても面白い。あっという間の一気読みであった。心の琴線にやにわに触れられ、何度も涙腺が襲われた。圧巻はあとがきの最終行。これにはまったくもって油断していたので激流が止まらなかった。もう最後の最後までやられっ放し。最後の行だからいつでも目を通せる。何度読んでも、じわりと濡れる。この人すごすぎ。

  • 最近はYouTubeばかり見ていて久々に小説を読んだ。
    どれも良いが、「俺は社長だ!」と「セブンティーン」がお気に入り。

  • 「おれは社長だ!」、「毎度おおきに」、「ドライブ・イン・サマー」、〈ショートショート〉「クロアチアvs日本」、「住み込み可」、「セブンティーン」、「夏のアルバム」七つの短編と、イッセー尾形、山田太一との対談2篇を収録。「おれは社長だ!」と「毎度おおきに」は、代理店を独立起業した男が主人公の連作。どれも面白かった。

    また、直木賞受賞直後の山田太一氏との対談で、著者が「タレント主導のドラマや、プロットありきの小説もいいけど、僕は人間の曖昧さ、滑稽さなどのディテールを細かに「優しい」目線で描く小説を書いていけたらと思います。」と発言していたのが印象的。

  •  総ての人が<人生の主役>になれるわけではない。
     誰かの人生の脇役にはなっているはずだ。

     それぞれの人生があり、自分ができる範囲の中で人生を演じている。

     広告代理店を脱サラして独立した新米社長の苦悩、
     お盆の帰省ラッシュと増える同行者に男の増大するストレス、
     暴力夫とサラ金地獄から逃げてきた女の住み込み先、
     クリスマスイブに友達の家に行くという娘の嘘を見抜いた母親、
     補助輪なしでは自転車に乗れない男児のひと夏、

     バラエティに富む、人生を演じる彼ら彼女らを描く短編集。 

  • 6つの短編、ショートショートが収録された本。
    そのどれもがイメージの違う話で、テーマもバラバラ。
    まるで、ごった煮のような印象の本になっている。
    何でこんな本になったのか、というのは作者のあとがきから分かる。
    どれも軽いタッチで書かれた話で読みやすい。
    そして、イッセー尾形さん、山田太一さんとの対談が話の合間に収録されている。

    最初の話、2話は同じ主人公の話。
    主人公は30代で起業をする男性。
    彼は大手広告代理店に勤めているが、独立する事を決意。
    同僚を引き抜いて、ある程度の目算がありの独立のはずが、古巣の広告代理店に妨害されたり、あくの強い下請社長に翻弄されたり・・・紆余曲折ある様子が描かれている。

    最初は独立してまだ採算もとれてないのに贅沢な事務所を構えたり、大盤振る舞いでお金を使う様子に大丈夫か?とハラハラさせられる。
    だけど、そこは奥田さんの本なので、あまり深刻にならずコミカルに描かれている。
    思わずクスッと笑ってしまうシーンもあった。

    続く「ドライブ・イン・サマー」は全く違う内容の話。
    話は、中年夫婦が帰省のため、渋滞の高速道路の車の中にいるという状況から始まる。
    ハンドルを握るのは妻の方。
    妻はお人よしでその後、ヒッチハイクの青年を車に乗せるが、彼は非常識な人間で妻に性的な目線を向ける。
    ハラハラ、イライラする夫を横目に妻はそれから後もバスに置いてけぼりをくらった老女を乗せ、追突してきた車の子供を乗せる。
    その後もありえないようなトラブルが続き・・・というコミカルな話。

    まるでコントでも見ているような話で、軽く読める。
    最初、青年を乗せた後のくだりを読んでいて、この調子でこの男にイライラさせられる様子を描くのかな・・・と思いきや軽く予想を裏切ってくれた。

    ショートショート話の「クロアチアvs日本」は日本対クロアチアのサッカーの試合の様子をテレビ観戦しているクロアチア人の目線から描かれた話。

    「住み込み可」は、夫のDVから逃れて温泉地の食堂で住み込みの仕事を始めた女性の話。
    そこには人をいじめるお局さまがいて、特に目をつけられていじめられている女性がいる。
    彼女は暗い印象だが美人で、同年代の人との会話に飢えている主人公は彼女と親しくなりたいと思う。
    所が、彼女は自分の事をあまり語らず、自分の中に人を入れないようにしている。
    彼女には男がいるのでは?と想像し、確信していく主人公だったが・・・。

    これはオウムの逃亡犯をモチーフにした話。
    読んでいて、住み込み可の食堂なんてあるんだな・・・と思ったし、何もなく逃げてきた人間は健康保険証もなく不安な状態で、でもそんな人を救済するような方法とか場所もあるんだな・・・と、そこに関心がいった。

    「セブンティーン」
    友達の家に泊まると嘘をつき、彼氏と初めてのお泊りデートをしようという娘にヤキモキする女性の話。

    はっきりそうだと分かっていても、それを言葉にして注意する事ができない。
    だけど、心配・・・という母親の心が描かれている。
    同性どうしの暗黙の了解的な事を男性目線からこうも見事に描けるというのがスゴイ!

    「夏のアルバム」
    補助輪を外して自転車に乗る事がまだできない小学生の男の子が主人公。
    友達に自転車を借りたり、アドバイスしてもらったり、自転車がやっと乗れるようになった彼はひとつ大人になる。

    対談で、奥田さんが小説を書く時は何も決めてないというのを見て、それであんな長編小説が書けるのか・・・と感心した。
    だから登場人物がある意味、好きなように本の中で動いていて、展開が読めないのか・・・と思った。
    また、読者の期待を裏切りたいというのもあって、この人の本を読んでいるとその考えにも納得。
    この本にもその要素がつまっている。
    最初の話を読んだ時は「これは短編だな、これで完結したよね」と思いきや、次の話は続編。
    そして、この話でずっといくのかと思えばその次の話は全く別の話。
    そして、どの話も正にバラエティー豊かで、全くつながりのない話や登場人物の設定。
    肩の力を抜いて軽く読める本だけど、クオリティーは相変わらず高いな・・・と思わせてくれる本だった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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