- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062202480
作品紹介・あらすじ
NHK連続テレビ小説「あさが来た」の原案者・古川智映子さん84歳が、自身の波瀾の人生をとおして掴んだ幸せの秘訣を初めて伝えます。
それは究極「負けない心」を持つこと。人生、良いことが不思議、悪いことが当たり前です。何があっても「負けない心」が幸福に向かっていける原動力となるのです。
高視聴率を記録した「あさが来た」。「前向きになれる」「真っ直ぐな生き方にひかれる」などと視聴者の心をつかんで離さず、あさロス現象まで引き起こしました。原案に込められた古川さんのメッセージは、朝ドラにも引き継がれていたのです。
人としてどう生きれば幸せか。主人公の広岡浅子は何度も挫折し七転び八起きどころか九転び十起きを味わいます。しかし、いつしかそれを笑い飛ばせるくらいの浅子になりました。
古川さん自身も九転び十起きを経験しています。心を引き裂かれるような離別、借金、病、教師をしながら目指した小説家への険しい道。
生き方のお手本を探して出会ったのが浅子でした。原作で、浅子に五代友厚が励ましの言葉を送ります。「勝たなあかんで。負けの人生はみじめや。負けたらあかん、他人やない自分にや」と(『小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯』より)。
本作は、日々いいときも悪いときも心豊かに生きる智恵を、さまざまなエピソードから教えてくれる人生の教科書と言っていい一冊です。
感想・レビュー・書評
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先週の金曜に、作家の古川智映子さんを取材。
朝ドラ『あさが来た』の原作(原案)『小説 土佐堀川――広岡浅子の生涯』の作者である古川さんの初エッセイ集『きっと幸せの朝がくる――幸福とは負けないこと』(講談社/1188円)の著者インタビューだ。
『土佐堀川』執筆の舞台裏や、『あさが来た』放映の波紋についても書かれているが、全体としては自らの来し方を振り返った自伝的エッセイ集である。
帯に、「私は人生の敗北者になり、福の積み方を知りました」との言葉がある。
「敗北」とは、30代初頭のころ、大学助教授だった夫が女子学生と不倫関係になり、家を出ていったことを指す。何不自由なく育ち、人もうらやむ暮らしをしてきた古川さんは、そのとき初めて人生のどん底を味わった。
そこから、教師として働いて暮らしを立て、夫が出ていった家のローンを一人で払う。そのかたわら、「自分の生きる指針」を追い求めて、「一人立つ」生き方をつらぬいた近世・近代日本の女性たちについて調べ始める。
《なんとかして立ち直りたいと思った私は、過去の女性たちから何かを学びたいと考え、女性史関係の本を探しました。》
そのときに出合ったうちの一人が、広岡浅子であった。この運命的な出合いから、古川さんは小説家として立つ決心をする。
本書は、自伝的エッセイの形を借りた幸福論でもある。
恵まれた暮らしが幸福なのではなく、どんな逆境に出合ってもそれに負けない強さを持つことこそが幸福なのだと、古川さんは言葉を変えて何度もリフレインしている。ゆえに、副題が「幸福とは負けないこと」なのだ。
物書きのハシクレとして、随所に示された「作家としての覚悟」にも胸を打たれた。たとえば――。
《本を出してくれる出版社がないときには、生活をきり詰めて貯金をし、自費で出版しました。小説は私にとって損得を超えたものでした。たとえ一生名前が出なくても、売れないもの書きで終わっても、こうした自分の生き方に後悔はしないと決めて続けました。》
本の売れ行き、賞の当落、読者や評論家からの評価……そんなものに一喜一憂して揺れ動いてばかりいるのが小説家というものだろうが、古川さんの心は一点に定まって微塵も揺るがなかった。長い長い雌伏の時代にあっても、いつか花咲く日を確信して、けっしてあきらめなかった。そこがすごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「幸福とは負けないこと」つまりは、弱い心の自分、諦めそうになる自分、怠けそうになる自分…との闘い、そうした自分に負けない心、それが人生を大きく開く。
う~ん。私が最も苦手とすることだけど、少しは頑張ってみようかな。