失踪者

著者 :
  • 講談社
3.66
  • (20)
  • (53)
  • (48)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 260
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202572

作品紹介・あらすじ

ありえない、そんなはずはない。
10年前、あいつは死んだはずだった――

極寒の氷雪峰に置き去りにされ、
“時”とともに氷漬けになったはずの友。
しかし、対面した遺体は明らかに歳をとっていた……


2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。ずいぶん待たせて悪かったな――クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ。なぜだ、ありえない。まさか、樋口はあの時生還していたのか?ならばなぜ連絡をよこさなかった?そしてなぜ同じ場所で命を落としている?樋口、お前は一体何をしていたんだ?

親友が過ごした、謎に包まれし“歳月”。
真相にたどり着いたとき、あなたはきっと胸を熱くする。

注目の乱歩賞作家が仕掛ける、哀しき罪と罰。
『生還者』につぐ感涙必須の山岳ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 雪山でクレパスに落ちた親友。10年後に死体を拾い上げに来たら、彼は10年分歳を取った死体となっていた、、、というとんでもなく引き込まれる導入。雪山という極限状態での男の友情の話。ちょっと同性愛的できついと感じる部分もあったが、作者らしい引き込まれる深堀りされた人物像が描かれている。
    スター登山家のモデルは不謹慎だが亡くなってしまったあの人かしら、と思って読んでいた。なんとなく事件の背景は序盤から感づくだろうが、幾重にも重なる思いにグッとくる小説。

  • 専門用語など、登山なんて全く未知の世界なので全くわからず、登山用具など一つ一つ調べながらの読書で少し時間がかかった。
    雪山登山って命がけだからこそ、ここまでザイルパートナーとの結束が強くなるのかな。
    お互いの命を預けるだけの信用がないとパートナーとはなれないのだから‥かもしれないけど、未経験者の私には何となく異常?恋愛感情?って思うくらいの2人のお互いを想う気持ちが強くて、少し引いてしまった。
    男女であれば、これは恋愛ものと思ってしまう感。
    男同士の嫉妬とか、うーんちょっと‥理解不能。
    男性読者だったら、男同士の友情ですんなり納得するのかな?


    ストーリーは、最後まで生還後の謎が分からなくて面白かったけど、年代が3つくらいに分かれていて、あっちこっちいって今どの年?ってなる事が多くて疲れた。

  • ★3.5

    ありえない。10年前、あいつは死んだはずだったー。

    2016年、ペルー。山岳カメラマンの真山道弘はシウラ・グランデ嶺を登っていた。
    10年前、クレパスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えに来たのだ。
    長い間待たせて悪かったなークレパスの底に降り立ち、樋口を発見した真山だったが、
    遺体の顏を覆う、氷雪を落として驚愕する。
    極寒のクレパスに閉じ込められた遺体は、歳をとることなく凍りついてしまうはず、
    しかし、樋口の顏は明らかに10年前より老いていたのだ。
    何故だ?あり得ない…まさか樋口あの時生きていたのか?
    ならば何故連絡をよこさなかった?そして同じ場所で命を落としている?
    お前は一体何をしていたんだ…?

    元相棒の謎の空白の10年間の謎解きの現在と、二人の出会いからザイルを結ぶまでの
    過去が交錯し、二人の友情と信頼の深さが深く胸に染み込んだ。
    そして、読み始めは登山用具の名称とかがわからないので、
    詳しく描かれている事が、逆に鬱陶しく感じていましたが…。
    いつの間にか二人と共に一緒に雪山に登っている様な気持ちになっていました。
    だから真山が山よりも会社を選び二人に亀裂が入った時は胸が痛かった。
    樋口が有名な登山家の山岳カメラマンとして8千メートル級の山に登っては、
    途中でリタイアしていた理由は早い段階で予想出来たのは残念でした(。•́︿•̀。)
    でも、それがあのラストに繋がるとは想像も出来なかった自分にガッカリしたけど、
    凄く驚いたし、二人の深い互いを想う気持ちに胸が熱くなりました。

  • 山岳カメラマンの真山は、10年前に遭難しクレバスに置き去りにしてしまった親友の樋口を見つけるために単身で向かう。そこで見つけた樋口の遺体は、どうみても10年前より年を取っている姿だった。
    樋口はあの時死なずに済んでいたのか、そして何故生きていたのなら・・・
    真山と樋口の友情が熱く描かれている。途中でなんとなく感じる違和感が、真相へと繋がる。
    樋口の人となりを表すために書いたのかもしれないが、恋愛の部分はそれほど必要なかったような気がした。

  • 山に登る。なぜあんな苦しいことをするんだろう。
    自分との闘いか。自然との闘いか。
    10年前置き去りにした友人を迎えに行った山岳カメラマンが見た事実。いったい何がどうなっているんだ。10年間の間、クレバスに埋もれていたはずの友人になにがあったんだ。
    さまざまな可能性を思いながら読んでいく。
    圧倒的な大自然の中で、人間なんて無力でしかない。その無力な人間の、それでも命や人生や生活のさまざまを思い胸が熱くなる。
    山岳小説、ってなんでこんなに心惹かれるのだろうか。

  • 登山の最中に亡くなったはずの友人が生還していた、という事実に直面した山岳カメラマンが、真相を追うミステリー。

    前作の『生還者』同様、未知の登山気分を味わいながらすらすらと最後までたどり着く。
    最初に提示された謎にはひかれるが、あえて時間を前後させた部分はどこにどうつながるのか今ひとつわかりにくかった。
    また、主人公をはじめ孤独な友人や悪役などステレオタイプの人ばかりが登場するので、それぞれの人物にもう少し深みがあると渋い山岳小説になるのでは。

  • ジグムント・ミウォシェフスキ「怒り」(小学館文庫)と同じ。めちゃくちゃキャッチ―なつかみの謎が開巻すぐにあっさり解かれ、さりとて、それを凌駕するものを用意できているわけではない。結果、肩すかし感が漂う。
    一応ふたひねりほどあったり、「怒り」よりはできは良く、こぎれいにまとまってはいる。他レビューには、主人公2人の関係性を評価するものが多かった。
    が、私はそこに乗れなかった。いや、この樋口という男、ちょっと気持ち悪すぎでしょ。いくつになっても「捨てられたガキ」のまま、精神的にまったく成長していない。「誰ともザイルは結ばない」なんてうそぶいて孤高をきどりつつ、いったん気を許した相手へは気持ち悪いくらい執着する。そのトラウマ()で辺りかまわず切りつけ、他人を傷つけて憚らないくせに、自分が傷つけられた()時は「オレより同僚の過労を重んじるなんて! オレのために仕事を辞めてくれないなんて!」と被害者ヅラ。
    登山技術のたちどころの向上ぶりや「とうてい無理なのでは?」という状況での登頂成功など、眉唾要素も多々。まあ、それはフィクションとして許すこともできるけど、樋口のキモさはガチである。

    2019/8/3読了

  • ペルーのシウラ・グランデ峰で親友、樋口を遭難で亡くしてしまった真山道弘。その10年後、真山は再び山に登り、氷の中に閉ざされた友の遺体と再会する。が、樋口の風貌は10年前よりも明らかに年を取っていた。

    衝撃的なプロローグからはじまる山岳ミステリー小説。遭難後の樋口の足取りを追う真山の前に現れるのは謎の登山家谷本、アイドル登山家榊などなど。次々と起こる疑惑を乗り越え、到達した結論に真山は樋口との友情を再確認する。

    それにしても、遭難者が実は生きていて、再び同じ場所で死ぬなんてありえない展開を、どうにかこうにか着地させてしまった作者の筆力はすばらしい。

    本書のミステリー性もさることながら、様々なタイプの登山家が登場し、彼らの孤独、苦労などがストーリーを盛り上げる。改めて思うのは、登山家という職業がハイリスク・ローリターンだということ。

  • 最初の謎で、引き込まれる。途中、予想は半分当たったけど、理由までは分からなかった。自分では、肉眼で一生見ることができない景色なんだろうと思うと余計に見たくなる。

  • 下村さんの登山小説面白い。二人の友情に涙。

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著者プロフィール

1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は数々のミステリーランキングで高い評価を受ける。短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補、『黙過』が第21回大藪春彦賞候補に選ばれた。他の著作に、『悲願花』『刑事の慟哭』『絶声』『コープス・ハント』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』などがある。

「2021年 『白医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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