花や今宵の

著者 :
  • 講談社
3.27
  • (2)
  • (8)
  • (16)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 72
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202695

作品紹介・あらすじ

小学校4年生の12月、季節外れの桜が咲き乱れる山で姿を消した少女。彼女に何があったのか。
時は巡り、大人になって東京で暮らす元同級生の男が、事件の起きた山に帰ってくる。平家の末裔の里であるこの地には、不思議な力があるという。
郷愁ただよう少年少女小説は思わぬ展開をたどり、めくるめく世界へと読者をいざなう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表紙が綺麗だったから図書館で、「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ借り」をしてしまった本。
    「最後の部分がよく分からなかった」という感想が多い作品。わたしも読んでみたけど分からなかった。

    小学生の時に神隠しのように突然姿を消した少女。
    「しんの」という山の中に、冬に満開になる桜があり、それを見に行った亜菜(あんな)と智玄(ちひろ)。二人は桜の木の下でキャッチボールをしていたが、亜菜がボールを取ろうと身体をのけぞらせた瞬間に消えてしまう。

    29歳になった智玄は再び「しんの」へむかう。

    ラストは平行した別世界があることを表現しているように思いました。
    娘が消えて、暗く気味が悪くなっていった父親の善男、友人の“和田ラーメン”(和田姓が多い集落の中でそう呼ばれていた)、主人公の智玄の3人で満開の桜を目の当たりにする。

    智玄は娘を無くして狂ったように神隠しについて、根拠のない説を話す善男に「河守亜菜は戻ってこないんですよ」と言うが、そんな智玄に和田ラーメンが「そのへんでやめてくれねえかなあ!」と叫ぶ。
    (→このシーンがわたしの中で一番の盛り上がりでした。)

    お前こそ変わったんじゃないかと言う。二人とも同じだ、同じなくせに説教なんてすんな、と。友人をほんとうに大切に思うからこその言葉なんだろうなと思いました。ここは本当に感動して、このまま智玄が目を覚まして前向きな人生を歩んでいく話になるのかと思ってました(笑)
    でも、そのあと善男がすごく大事っぽいこと言ってるんです。

    善男はそんな二人を気にせずに自分の説を主張し始めました。
    「これから先、ぼくたちが全然違う世界に紛れ込んで、しかもそれわやなんの不思議とも思わず、今までずっとそうやって住んでいたかのように、そこで暮らす、ということだって………」

    そのあと風が急に強く吹き、ラストのシーンへと繋がる。
    ここで3人は互いの姿を見ていない。

    桜が吹く直前に智玄は「ぼくがいなくなればよかったんだ」と呟き風が収まったあと“何もなかった”
    次に文書が線で区切られている。これが1つ目の世界のラスト。
    この線をまたいで違う世界の話になっているようでした。

    2つ目の世界では“俺”と善男が桜を見にいってる。おそらく俺とは和田ラーメンのことだろう。それは、智玄も亜菜もいない世界だった。智玄が持ってきたはずのテントは善男が持ってきたことになっていた。桜を見に来た理由も曖昧になってしまっている。
    そしてまた文書の間に線が引かれている。

    一人称は“ぼく”。
    3つ目の世界は智玄と亜菜が桜を見に行っている世界。
    亜菜にプロポーズしてめでたしめでたしなラスト。
    その中で歌の解釈が述べられている「桜がその人の人生の、あるじになってしまう。」


    うーん、謎。
    ①智玄だけしかいない世界
    ②智玄も亜菜もいない世界
    ③智玄と亜菜がいる世界
    この3つに何の意味があるんだろう。
    そもそものわたしの解釈が間違ってるのかなぁ。
    誰かに解説してほしいです(笑)

  • これはハッピーエンドなのか。

  • 平家や源平合戦に詳しくないから「この始まり方は?」って思ったけど 二章目からは面白くなってきて一気に読んじゃった。
    彼女の父が神隠しや迷信、魔女と次々にオカルト系に向かう様は不気味で怖かった~
    19年後 主人公 彼女の父 友人の3人で山に登る最終章は思いもよらぬ展開!
    それぞれが幸せに終わって良かったと思う。

  • 両親が離婚し、主人公の鳴海智玄は母親の実家集落の一学年14人だけの小学校に転校することになる。鳴海家は、不思議な音が鳴る「しんの」と呼ばれる裏山を所有していた。同級生の河守亜菜という女の子が好きな主人公であったが、親に内緒でふたりで桜を観に行った智玄は、とんでもない事件に巻き込まれてしまうが・・・
    エンディングの奇跡が、味わい深い優しい小説になっている。

  • 「ぼく」という一人称で進む、センチでときにギャグかと思われる一言を差し込んでくる、藤谷さんの文章が好きです。
    大林監督の尾道三部作のような読後感。
    時間と空間の連続性を断ち切ったラストも良かったです。

  • 不思議な話
    ありそうで
    あったら怖い
    最後・・・???

  • すごく先が気になって、どんどん読んだんだけど、ビックリな結末。なに、コレ。どういうこと?

  • 両親が離婚して、母の実家のある田舎の町に引っ越した少年。そこには「しんの」と呼ばれる小さな山があって、不思議な現象が起きる山として恐れられていた。平忠度が真冬に桜が咲くのを見たのではないかという研究家が、少年と自分の娘を焚きつけて「しんの」に登らせる。
    満開の桜の下、少女は神隠しに合い、その19年後、再び「しんの」の地鳴りが始まった時、彼女と再会するために大人になった少年は友人と「しんの」に登る

    不思議なパラレルワールドの話。全く違う世界が存在していたというファンタジー。

  • SF?伝奇?

    平家の落ち武者が作った隠れ里…という伝説がある集落。
    主人公の母は、離婚して東京から、郷里であるその村に戻った。

    子供時代をそこで過ごし、今は東京でサラリーマン生活を送っている主人公・鳴海智玄(なるみともはる)は、年の瀬押し迫った頃、帰省する。
    19年前に幼なじみが神隠しにあった山に、再び入山するためである。

    東京から郷里に戻る彼の話と、子供時代を村で過ごす彼の話が交互に描かれている。
    これは多分、「何時の話?横溝の頃?」みたいになるのを防いでくれている。
    伝説の残る秘密めいた集落ではあるが、おどろおどろしい感じはせず、哀しい経験をしてふるさとを離れたにしては、子供時代は純粋で、輝いていたようだ。
    「あのこと」が起きるまでは。

    結局最後は…
    二人とも最初からいなかった世界と、二人ともいる世界が存在したのか…それとも分岐したのか…
    登場人物的には、「結局何も起こらなかったね」なのだが。

    しかし、星子さんのおにぎりだけは、どちらの世界にも存在し続けたようだ。
    おにぎり最強!である。

    それと、別の作品にも出てきた『世界五分前創成説』がまた出てきました。
    作者はよほど気に入っているらしい。

  • 平忠度。
    「行き暮れて木の下かげを宿とせば花やこよひのあるじならまし」。
    平家の末裔など、ネタは織り込んでいるものの、結局何が書きたかったのか…みたいになってイマイチ。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。2014年、『世界でいちばん美しい』(小学館)で織田作之助賞を受賞。主な作品に『おがたQ、という女』(小学館)、『下北沢』(リトルモア/ポプラ文庫)、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)、『船に乗れ!』(ジャイブ/ポプラ文庫)、『我が異邦』(新潮社)、『燃えよ、あんず』(小学館)など多数。エッセイ集に『小説は君のためにある』(ちくまプリマ―新書)など。

「2021年 『睦家四姉妹図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤谷治の作品

ツイートする
×