ヴィジョンズ

  • 講談社
3.12
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本棚登録 : 233
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062202947

作品紹介・あらすじ

宮部みゆき「星に願いを」
飛浩隆「海の指」
木城ゆきと「霧界」
宮内悠介「アニマとエーファ」
円城塔「リアルタイムラジオ」
神林長平「あなたがわからない」
長谷敏司「震える犬」

大森望編集。全編書き下ろし!超豪華執筆陣が集結!!
SFの枠を超えたエンターテイメントアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 飛浩隆さん『自生の夢』文庫版を読んで「霧界」も読みたくなり、本書を手に取りました。
    どの短編も読みごたえがありました。
    神林長平さん「あなたがわからない」、長谷敏司さん「震える犬」が特に好きです。
    「震える犬」は、観察対象のチンパンジーと観察者である人類とが、ある状況下で重なっていきます。愛は知性か本能か?ヒトとチンパンジーの境界はどこか?と、読みながらゾクゾクしました。
    そして飛浩隆さんの「海の指」は再度読んでも素晴らしかったです・・・。

  • SF界の重鎮、大森望による新作書き下ろしSFアンソロジー。珍しく(?)メジャー出版社だからか、なかなか良いメンツが集まってるとは言え、この作品数で単行本か、と。早川ならもっと作品数が多くて、かつ文庫(安価)で提供してくれることだろうよ。

    宮部みゆき「星に願いを」★★★★☆
    • リアリズムかと思いきや、宇宙人襲来もの。(地球人の身体の中に入り込んで、代わりにしゃべったりしよる)女子高生のセリフにしてはおばさん臭いなと感じるのは宮部みゆき作品あるある。

    飛浩隆「海の指」★★★★★
    • 別の短編集にて既読。
    • 21世紀に存在した世界はことごとく、消滅しており、いま世界は灰洋(うみ)で覆われている。世界には1000万人ほど人類が生存してるらしい。
    • 「海の指」が発生すると海から様々な物語が押し寄せてくる。海に音を当てることで海に沈んだものを引き寄せられる。ある時、大きな海の指が発生し、町を飲み込む。かつて死んだ昭吾が灰洋から現れ、志津子を狙う。

    木城ゆきと「霧界」★☆☆☆☆
    • 「海の指」スピンオフの漫画。別に面白くはない。

    宮内悠介「アニマとエーファ」★★★★☆
    • アデニアの国最後のアデニア語で物語を書くセメレ爺さんが、作った人形がアニマ(この短篇の語り手)。アニマは物語を紡ぐことを命令される。少女エーファはその物語が好きでアニマと共に成長する。

    円城塔「リアルワールドラジオ」★★★★☆
    • 円城塔にしては読みやすい。あらすじを書くことはもはや無意味だけど、なかなか良かった。(というか情景を脳内で想像できただけで嬉しくなるのが円城塔。おぉおれついていけてるぞ、と)
    • フォックストロットは、暗号で構成された"ワールド"という空間にいる100億体のエージェントの1つ。相棒は"十一月"。セキュリティが破られた"変容者"を見張っている。ワールドを生み出した"アルファ"は幻肢者。幻の後ろ足を持っている。

    神林長平「あなたがわからない」 ★★★☆☆
    • 共感する、という能力について語り合う僕と君。
    • 死んだ人をクローン技術により、一時的に再生させるエンバーミング技術というSF設定はあるものの、主題はSFというより、人の心について。最後に死んだのは君ではなく、僕の方だったというどんでん返しはインパクト大きかった。

    長谷敏司「震える犬」★★★★☆
    • インパクト強い。ARチンプと呼ばれる脳に細工を施されたチンパンジーの目線と、それを観察する人間の目線で物語は進む。
    • 長谷敏司らしい、暴力的な凄みがある。

  • 最近のSFは分かりづらいようだ。
    かつて読んだ小松左京氏のような正統的SFが懐かしい。
    七人の作家のアンソロジーであるこの本は、途中で読むのをやめようかと思ったくらいだ。
    それでも最後の「震える犬」は七作品の中で一番読みやすかった。

  • 「きみが死んだら哀しい」とぼくは言う。「自分が死ぬことより、ずっと」
    「だから」ときみは応える。「ヒトは花で飾るのよ、死者を」
    (P.221)

  • 5:買ったの去年だけどようやく読めました……。長谷さんのが圧巻だったけど、好きなのはやっぱり円城さんかな。ところで、SF的ガジェットが二十年前のSFより断然「今風」で「ありそう」なのは時代が進んだからだよなあ……。

  • 宮部みゆきのみ読了。途中ドキドキしたけど収まるところに収まってホッとした。地に足のついた短編SFだった。

  • 図書館より。

    読みたい宮部みゆきのみ、読了。あと、漫画も読了。
    SFというよりは、私的にホラー。怖いよね。

  • SF。短編集。
    飛浩隆「海の指」は既読のためスルー。好きな作品です。
    円城塔「リアルタイムラジオ」もスルー。苦手な作家さんなので。
    全体的に高水準の、完成度が高い作品揃い。☆3.5。

    宮部みゆき「星に願いを」
    あまりSFの印象がない作家。しかし上手い。SFホラー的な感じ。

    木城ゆきと「霧界」
    マンガ。飛浩隆「海の指」原案。「海の指」の設定プラス、小林泰三「海を見る人」の読後感という印象。良い。

    宮内悠介「アニマとエーファ」
    物語を紡ぐロボット。この設定が好き。

    神林長平「あなたがわからない」
    意識。共感能力。難しいが、結末の世界が反転する感覚が刺激的。

    長谷敏司「震える犬」
    中編。AR。チンパンジー。進化。チンパンジーの社会性の変化が非常に興味深い。

  •  6編の短編と1編の漫画からなる作品集。
     飛浩隆目当てで購入したのだが、他の作者の作品も充分に堪能することが出来た。
     短編小説は、宮部みゆき「星に願いを」、飛浩隆「海の指」、宮内悠介「アニマとエーファ」、円城塔「リアルタイムラジオ」、神林長平「あなたがわからない」、長谷敏司「震える犬」、そして木城ゆきと「霧界」は飛浩隆の「海の指」を原作とした漫画となっている。
     いつもなら衒学的であまり面白みを感じない(そんなに何冊も読んではいないけれど) 円城塔の作品も面白かったし、飛浩隆も相変わらずグロテスクで壮大なスケールの作品だった。
     神林長平の作品は、読み始めは「なんか一番つまらないなぁ」と思えたのに、読み終ると「一番面白かったなぁ」に変わっていた。
     実は初めて読む作者だったので、色々と調べてみたら、なんと生まれた月日が一緒だった(彼の方が年上)。
     長谷敏司の作品は「五十枚を目安に書いてください」という依頼に対し百八十枚越えの中編となっており、人類の発祥の謎とチンパンジーのフィールドでの実験過程がオーバーラップしていく様は、ベタだと思われる人もいるかも知れないが、僕にはとてもスリリングで妙に納得できる内容でもあった。
     宮部みゆきも(彼女の最高傑作ではないとしても)いい意味で安心して読めるし、宮内悠介の、小説を書く人形を軸に人間世界の縮図を描いたような作品もグっとくるものがあった。
     木城ゆきとの漫画も、飛浩隆を原作としてはいるが、内容は全くのオリジナルと言っても過言ではないと思う。
     いずれの作品もSFというジャンルを意識することなく、面白く読み進めることが出来た。

  • SFアンソロジー。
    宮部みゆき『星に願いを』、神林長平『あなたがわからない』、長谷敏司『震える犬』がよかった。
    自分には難しすぎる作品もありました。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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