浜の甚兵衛

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 25
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203319

作品紹介・あらすじ

明治三陸地震で2万人を超える犠牲者が出た19世紀末。三陸の仙河海港で沖買船の商売をしていた菅原甚兵衛は、富裕な魚問屋マルカネの社長と女郎屋の女将の子で、正妻の子である兄とはそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いに込めて暮らしていた。海上の事故で船を失った甚兵衛は、大きな借金を抱えつつ、北洋でのラッコ・オットセイ猟に賭けて出る。
東北からはるか北の海に繰り出し強く生きた甚兵衛の覚悟と男気。
東日本大震災を機に、震災をさまざまに描いて小説に昇華する著者ライフワーク「仙河海サーガ」の出発点にして最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 後半は何故かページをめくるペースが落ちた。
    フィクションとは言え、民間の漁師が国を相手に武器持ってしかけていくかなぁ。

  • 自然との対峙、男の生き様を謳いあげる熊谷作品。あの「邂逅の森」の感動が蘇る。時は明治、場所は三陸・仙河海、名は菅原甚兵衛が織りなす波乱万丈の生涯を描く。 根性、 豪快、強情、熱血、情け、商才、先見・・およそ人間的魅力のどの言葉を着せても似合う一線で踊る男が、カミさんの前では幼子、犯罪者の如く素直に自白する・・古の昔よりの定めなのか?鰹漁・ラッコオットセイの毛皮で財を成した甚兵衛でも大火、震災そして人の妬みの恐ろしさだけは及ばぬ処、財を成した後ほど難なのは全てに通ず。方言での会話も独特の雰囲気を醸し出す。

  • 仙河海シリーズ。うーむ。面白いと言えば面白いが‥。昔の熊谷達也の方が好きだな。

  • 久しぶりに熊谷達也を読み始めた理由は、仙台出身、仙台市在住の熊谷達也が、明治三陸沖津波を描いたらしい、と情報を得たので、6ー7年前にはかなり愛読していた彼の大震災に対する姿勢を確かめたくて、紐解いたのである。

    ところが、先ずはがっかりした。別に三陸津波を正面から描く必要はない。しかし、主人公の人生にその経験は決定的な影響はもたらさなかったのである。これは津波から波及する物語ではなかった。むしろ最終章を読むと、一ヶ月前の大惨事のことを思い浮かべてしまった。もちろん著者とは無関係ではある。ただし、主人公は明るい。あらゆる厄災も乗り越える。これがこの作品の基底を作っている。

    そして、最後の著者プロフィールを見て驚愕した。「近年は宮城県気仙沼市がモデルの三陸の架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」を書き続けて」いるというではないか。本書は、その七作目ほどに当たっているらしい。

    海の男たちの「サーガ」というと、真っ先に思いつくのは中上健次の「紀州サーガ」である。時代も少し被っている。しかし、読めばわかるが、ここには中上健次と対極の世界観が広がっている。登場人物たちに部落出身者は1人も見当たらない。子どもは、ウノコ竹の子のように産まれはせずに、複雑な家系図は必要ない。必然ドロドロした確執は、あまり描かれず、甚兵衛に至っては、あまりにも順調に成功してゆく。

    どうもこの「浜の甚兵衛」は、仙河海サーガの始まり部分に当たるようだ。彼らの関係者がどのように絡んでいるのか。古事記から始まる日本のサーガの行く末を見守りたい気分に今、非常に思っている。

    2017年2月読了

  • 明治10年、三陸、仙河海に生まれた漁師、菅原甚兵衛の波乱万丈、怒涛の人生を描いた作品。熊谷達也ここに在りでしょうか。「浜の甚兵衛」、2016.11発行。私は小心者なるがゆえに、甚兵衛のような放胆な生き方にある種の憧れを抱きます。そして、人を大切にする、最後まで面倒をみる太っ腹さ。お金があっての甲斐性でしょうけどw。読後感は爽やかとはいいがたく、やや複雑な思いがいたしますが、熊谷達也さんの「故郷」を思う気持ちが処々に散りばめられた大作だと思います!

  • 仙河海で生まれ、育った甚兵衛の半生。

    三陸の港町に生きる人達の生きざまが、そのままの方言で描かれており、宮城出身の人間には、たまらなく懐かしい。
    熊谷さん、ずっと方言での、描写をお願いします。

  • 自分でも結構な数の本を読むのだとと思っている。 趣味「読書」!
    なので、いつも面白い本を探している。 しからば、今読んでいる次に読む本が手元にないと結構不安だったりする。

    そう言う事情からすると時々何の前触れもなくすんごく面白い本に出会う。 この本がすそうです。 熊谷達也は前からよく読んでいて贔屓の作家さんでわありまするが、なんだかあまり冴えないこのタイトル作品がここまで面白いとはちょっと嬉しい誤算でござんしたw

    ちょっとした個人感想的本作品特徴を述べると、この本は百田尚樹さんの『海賊と呼ばれた男』に限りなく雰囲気の似ている作品です。
    あいや、真似してるべぇよ とかそういう事でわなくて、凄く面白かったでがんす、という意味でございまするのでお間違えなくw。

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