天子蒙塵 第二巻

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203708

作品紹介・あらすじ

張作霖爆殺事件から3年、息子・張学良は無抵抗将軍となり、清朝最後の皇帝・溥儀は玉座を追われたなか、満洲の野に放たれた猛獣と化した関東軍に一人反抗を続ける男・馬占山。
馬は同じ張作霖側近であった張景恵の説得を受け一度は日本に従うが──。
一方、満洲国建国を急ぐ日本と大陸の動静に目を光らせる国際連盟の狭間で、溥儀は深い孤独に沈み込んでいた。
ついに日本の軍部もその存在を知るところとなった天命の具体「龍玉」は今、誰の手に──。
『蒼穹の昴』シリーズ第五部、第二巻は日中の思惑が激突する満洲を舞台に、義と信に生きる男たちがしのぎを削る。

感想・レビュー・書評

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  • 年末年始の忙しい時期であまり読書時間がとれないなか、少しずつ読み進める。
    いろんな思惑が絡んでいて途中は頭が混乱気味に。特に軍人が出てくる場面では。それでも最終的にはつながってきて、何となくだけど理解できた。
    ラストシーンはよかった。『蒼穹の昴』が蘇ってきて胸が熱くなった。

  • 帯の通り、まさに満州の闇について。馬占山と志津邦陽がかなり印象に残る。もちろん春児の係累たち、そしてゆかりの人々、全てがいろんな糸でつながっているのが見えてくる。マンチュリアンレ・リポート読み直さんといかん。ともかく、この巻、感きわまるシーン多し。特にラストシーンは号泣。

  • 父・張作霖を爆殺された張学良に代わって、関東軍にひとり抗い続けた馬占山。
    1931年、彼は同じく張作霖側近だった張景恵からの説得を受け、一度は日本にまつろうが──。
    一方、満洲国建国を急ぐ日本と、大陸の動静を注視する国際連盟の狹閒で、溥儀は深い孤独に沈み込んでいた。

    馬占山は張作霖の意思を受け継ぐ真の馬賊だ。彼が取った思いがけぬ動きは彼が馬賊であれば容易に予想できた展開。

    相変わらず沢山の登場人物がそれぞれの思惑のもと、動き回る。各節の書き出しではそれが誰のことを書いているのか、すぐには分からない様になっていて読書欲を誘う。

  • 第一巻は中華皇帝溥儀の第二夫人の離婚に纏わるその当時の中国史。
    第二巻はいよいよ満州国の建国にかかる表舞台。
    難しい…なんとか浅田次朗なので読めてるけど、人物像が確立できてないと誰の独白かわからずにはじまるので、なおさらピンときたときは嬉しいのだけど。
    何度も巻末の地図を見直して、いっそのこと人物相関図なんかもあると助かるな…

  • おーっ!盛り上がってまいりました。1巻が溥儀とか後宮界隈の後日談で、”これって本編で取り上げる内容なのか?”って微妙に疑問を持ってしまっただけに、2巻以降の展開が気になってました。でもそれは全くの杞憂に終わり、ここではまた、張作霖亡き後の同軍団構成員が、それぞれ取り上げられています。これが読みたかった。結構バラバラになってしまってるのはちょっと切ないけど、それぞれの心の中にまだ反骨心は燻っていて、その爆発力がどこへ向かうのかがこれからの読みどころでしょうか。まだまだ楽しくなってきそうな予感。続きに期待大。

  • 第二巻。

    満州国の建国や利権を巡って、複雑に絡み合う関係を、登場人物それぞれの視点で展開していきます。
    もう本当、面白い!ページを繰る手が止まらないほど、グイグイ読ませられますね。
    吉永さんや、春雷兄さんも出てきて、懐かしさもひとしおです。
    終盤の、文秀・玲玲夫妻が故郷を訪ねる場面では胸がいっぱいになりました。
    春児と春雷は時々会えているようなので、彼らと玲玲・文秀が笑って再開できる日が、早く訪れるといいな。。。

  • 蒼穹の昴」シリーズ第5作目。

    初めての方は是非、「蒼穹の昴」第一巻から読むことをおすすめします。

    ロシア

  • 「礼が廃れたのち法が生まれた。文書無き口約束なればこそ、礼に鑑みて守ります」関東軍・武藤将軍のこの言葉は、文書が大前提の私たちが失ったものを、思い出せる警鐘です。

    ラストエンペラー・溥儀が、阿片中毒の婉容と共に、逃亡するように満州に入り、皇帝への復帰を願う。張作霖の仲間だった張景徳そして馬占山が関東軍に取り込まれてゆく。関東軍は、指揮官を方針を失ったまま満州国建設に向かう。

    日本が満州に。戦争に深入りしていく、その「あいまいさ」「無計画さ」がとてもやるせい。そして、それを止めることなく、新方針を決めることなく、流されていく優柔不断さは、日本らしい?でしょうか。誰も責任を取らないことも含めて。この時代も、こうだったんだって、あらためて感心してしまいました。

    物語は、大きなイベントもなく淡々と進み、最後に、梁文秀の里帰りのシーンでは思わず涙が。きっと、馬占山の「還我河山:我に山河を返せ」もこんな感じだったのかもしれない、と。(馬占山は馬賊だから)農民や民衆とは違うけど)

    あらためて、私たちが思うもの。軍隊が目指すもの。国が求めるもの。その違いを突き付けられたようでした。

  • 兄弟が繋がっていく〜

  • 『蒼穹の昴』シリーズ第5部、第2巻。
    今巻では、満洲国執政・溥儀に加え、第4部までの登場人物たちへ断続的にスポットを当てる構成になっている。
    登場人物たちが歳を重ねてきているからか、シリーズ中の他の長編作品に比べ、全体に湿っぽい雰囲気がある。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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