白い衝動

著者 :
  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203890

作品紹介・あらすじ

小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。

「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」

千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。

「悪はある。悪としか呼びようのないものが」

殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。
はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。

社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • "衝動"
    それは、人の心に働きかけて行動に駆り立てる刺激のこと 


    スクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに凄まじい衝動をもったふたりの人物が現れる

    ひとりはスクールカウンセラーを勤めている学校の生徒で野津秋成
    彼は殺人衝動の持ち主
    彼は奥貫に語り出す
    「人を殺してみたい」「ぼくは、殺すべき人間を殺したい」と


    もうひとりは入壱要
    彼は嗜虐欲求のために衝動を起こしている
    ある家に侵入し女子高生と両親を暴行、監禁
    三日間にわたり、親の前で娘を強姦
    その都度マーキングのように損傷を加える

    しかも、同じ犯罪を三件も犯している


    このような異常な衝動をもつ危険分子は世間一般から隔離するべきなのか!?
    それともこんな危険分子でも社会は受け入れるべきなのか!?

    考えさせられるそんな一冊です




    そして、私がもつ衝動も考えないといけない…

    それは『チキンカツ』だ!

    昼食を食べに行く行きつけの店があります
    いつもは唐揚げ、鶏の照焼、野菜炒め、クリーコロッケ、日替わりとローテーションをしながら食べています

    しかーし、最近食べた『チキンカツ』が美味すぎた!Σ(゚Д゚)

    3連チャン、4連チャンで『チキンカツ』を食べてしまっている!
    チキンカツ衝動が抑えれない…

    この衝動は社会から認められるのだろうか…?

    • 1Q84O1さん
      ultramanさん
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      ultramanさん
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2024/03/17
    • かなさん
      チキンカツ~美味しいですよねぇ(*´▽`*)
      私も食べたいっ!!
      キャベツいっぱい一緒に食べたら
      大丈夫…かも、しれない…。
      チキンカツ~美味しいですよねぇ(*´▽`*)
      私も食べたいっ!!
      キャベツいっぱい一緒に食べたら
      大丈夫…かも、しれない…。
      2024/03/18
    • 1Q84O1さん
      かなさん
      ダメです!
      キャベツいっぱい食べてもダメです!
      それでも私はチキンカツは食べ続けます!
      かなさんもいっぱい食べてください!
      チキン...
      かなさん
      ダメです!
      キャベツいっぱい食べてもダメです!
      それでも私はチキンカツは食べ続けます!
      かなさんもいっぱい食べてください!
      チキンカツを!w
      2024/03/18
  • 社会の中で生きていく以上、他人に害のある衝動は抑えなければならないのではと思います。
    それを抑えることができない人は排除していいのか、それは自分に直接関係なければ考えないことでしょう。
    そしてそんなことからは関係ない立場でいたいと思ってしまいます。

  •  うーん。テーマがテーマなだけに期待度が高すぎたのか、正直残念な感じ。
     
     スクールカウンセラーの千早の元に通う殺人衝動を抱える少年。千早の住む町に複数の女子高生を強姦し、連続一家監禁事件を起こし、刑期を終え暮らしている青年。また、その青年は千早が学生の頃に教育実習で教わっていた。等々、面白そうなネタがてんこ盛りなわりに、なんだか尻つぼみというか、そもそも盛り上がりもなかったような・・・。

     せっかくの具材を活かしきれていないような印象でした。

  • 非常に興味深く好みのテーマだった。
    悪とは何か、加害者家族、加害者の更生、被害者遺族等色んなテーマが書かれてて一気読み。

    絶対悪ってのは存在すると思う。
    ただし悪は時代や価値観やら宗教やらで、何が悪なのかは変わってくると思う。


    白い山羊を殺したのが、加奈。ただし加奈は本当の加奈じゃなくて入壱の親戚の子。
    秋成が殺したのかと思ってたのでびっくり!

  • 人の命を奪ったり、尊厳を著しく踏みにじる重罪を犯した人が、自分の住む町に居住していると分かった時に、その人が既に罪を償っているから優しく受け入れるべきであるという建前ともいえる理想論と、実際に自分の家族に類が及ぶかもしれないから排除したいという感情は並び立つのかという問題があります。
    自分が当事者で無ければ、罪を償った人が静かに生きて行く事は何も問題ないと感じますが、陰惨な婦女暴行を行った犯人が近隣に住んでいて、自分の妻子に何かあったらと想像したら、とてもではないですが放置出来ないと思います。

    本書は悲惨な婦女暴行を3件行い十数年ぶりに釈放された元受刑者が、自分の住む町に居住していると分かり住民から排斥運動が起こます。そして主人公の学校カウンセラーの元には、殺人願望が高まって人を殺してしまうかもしれないと訴える生徒が相談に訪れます。

    人と人が安心して生きていけるルールからドロップアウトしてしまう「衝動」を抱えて生きる人々を社会は受け入れなければいけないのか。彼らの存在を「諦める」と表現した被害者親族の白石の言葉がとても印象的です。
    諦める、すなわち社会のルールに著しく反する人間は排除して、別個の存在として隔離すべきであるという論です。極論ではあり、間違っていると言われてしかるべき論なのかもしれませんが、僕にはとてもしっくりきました。
    人と人が安全に生きていく為に、リスクとしてはっきりと立ち上がっている違和感を無視して、溶け込ませようとする今の法はどうしても納得できません。「諦める」事って必要なんじゃないかなと感じました。

    何も結論の出ない本ではありますが、読んでいて自分のスタンスが良かれ悪しかれはっきり感じられる本である気がしました。読んだ人がどう感じるのかとても興味が有ります。

  • 第20回大藪春彦賞受賞作品。
    スクールカウンセラーの千早のもとに、高校生の野津が相談に来て、「人を殺さずにはいられそうもない」と打ち明ける。また、同じ街に「関東連続一家監禁事件」を引き起こした入壱が出所し、住んでいるとの噂が。被害者の叔父・白石は、千早の夫・紀文がパーソナリティを務めるラジオの生番組で入壱の現住所を話してしまい・・・
    人はどこまで人を許せるのか。夫婦、子供、友人・・・理解をすることができれば、考え方が相容れなくても共存が可能なのか。その考え方が、あまりに自ら考える”常識”とかけ離れていたら・・・
    考えさせられる一冊だった。

  • スクールカウンセラー千早のところに少年が相談にやってくる。「僕は人を殺してみたい」。その少年秋成と千早、同じ町に暮らす入壱という前科者の男。いろいろな人が共存していけるのか、という話。とても引き込まれて読んだが、最後は何を言いたいのかよくわからなかった。

  • サイコパスとの共存はできるのかという思考実験的な小説なのかな。
    現実的にも排除と人権との対立の構図になるだろうが、身近になるに従って、理性より感情が勝っちゃうよね。どうしても。

  • 主人公・千早の言う「包摂」、心情的に受け入れ難い。刑期を終えた人に対する差別はいけないという一方、実際のところ共同体において、他者を害したい衝動を持った人、他者に対して取り返しのつかないことをしてしまった人と一緒にいたくないというのは当たり前の心理だと思う。ただ「包摂」は千早自身を救うための祈りだと考えるとしっくりはくる。

  • 難しかった。
    受け入れることの大事さは頭では分かっていて、自分もそうありたいと思ってはいるのだが、現実に当事者になったとき、果たしてそれができるのか。
    ここに出てきた街の人達のように糾弾して追い出すほうに回るのではないか。
    寄り添いながら居場所を作る努力ができる人間になりたいと思うけれど、理想かもしれない。
    怖くて逃げる気がする。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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