野良猫を尊敬した日

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 531
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203951

作品紹介・あらすじ

現代を代表する人気歌人であり、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍する著者による最新エッセイ集。無邪気になれなかった子供時代、何もなかった青春、そして大人になっても未だ世界とうまく折り合えない日常をユーモアを込めて描く、魅力のエッセイ62篇

感想・レビュー・書評

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  • ほっと肩の力を抜きたいとき、穂村弘さんのエッセイを読みたくなるのだと思う。苦手なこと、避けてきたこと、失敗とか。見たくも振り返りたくもない過去にあえて触れることは痛々しくも感じるが、そうやって自分を自覚することが前進の一歩ではと思わされました。
    弱みを強みに変えるというか。自分には、共感と安心感だと思う。是非、短歌も読んでみたいです。
    コンプレックスと葛藤、奮闘される姿に必死さを感じ、勇気をもらえました。
    今まで読んだものより、シビアで真面目な部分が見られしんみりきた章があった。
    学生時代片思いの女子と賭けをしたという「片思い」。片思いの子と秘密を共有したなんて、なかなか青春しているなぁ、ちょっと意外(失礼)だった。
    地域猫と飼い猫の行動パターンの違いを元に描かれた「行動パターン」が印象的でした。生まれた時代、生きている世界が違う以上行動パターンの合意はあり得ない。

    個人的にふと気づいた。今、トップで流れる悲しいニュース。妥協点、合意はあり得なかったのか。

  • 現代を代表する人気歌人であり評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍する著者による最新エッセイ集。無邪気になれなかった子供時代、何もなかった青春、そして大人になっても未だ世界とうまく折り合えない日常をユーモアを込めて描く、魅力のエッセイ62篇
    「講談社BOOK倶楽部」内容紹介より

    ことばって目にするだけで人を幸福にもどん底に突き落としたりもするんだなとあたらめて思う.

  • 劣等感を話のネタにする人は少なくない。

    自分のレベルをあらかじめ低めに設定すると、
    確かに生活上のハードル(世間の目とか)も、跨いでいけるほど楽になる。
    (ただし格好は良くないけれど。)

    穂村さんは大変才能があり、常識的な紳士であるにも拘らず、なぜかハードルを最低位置まで下げるようなエッセイを書く。(本書もいつもと同様)
    でも、それは楽に生きるが為の強かな策じゃなく、
    そうなのだから、そう書かざるを得ないのだ。
    すべてが眩しい程の本音。

    書きたい事があるから作家になる、ばかりじゃなく、
    書きたい事がなくても作家になってもいいんじゃないかなぁ?
    活きた言葉が独り歩きしてくようなエッセイ、今回も楽しかった。

  • いつも共感する話が凄く多い穂村さんのエッセイ!今回も「わかるわ~(^.^)」の連続♪年代も住んでいる所も全然違うのに、なんでだろう~?(^^;)

  • 北海道新聞に掲載されたエッセイを中心にまとめた1冊。

    家にインターネットを引くのがめんどうで、原稿を送るために毎日のように近所のネットカフェに通っていた、というエピソードに苦笑。
    その後の便利さはわかってる。
    わかってるけど、目先の手続きのめんどくささに勝てない。ああ、私とおんなじだ…。

    日常生活の中でたびたび感じる「あちゃー、こんなはずじゃなかったのに…」と思う瞬間を言葉にしてくれるのが親近感を感じる理由なのだと思います。
    新聞というメディアを意識してか、ほむらさんにしては落ち着いた内容かも。
    けらけら笑うよりも、我が身を振り返らせてくれる文章が多かった気がします。

  • 相変わらず独特な自虐と、ノスタルジーを感じる文章。読んですっきりするとか、温かい気持ちになるというのとは違うんだけれど、確かな中毒性がある気がする。自分は穂村さんのようでなくてよかったな、と思う反面憧れたりもする。

  • 共感と安堵。そうなんだよ。こういうことなんだよ。よくぞ言ってくれましたと共感し、仲間に出会えて安堵する。私にとってそんな本です。
    でも、実名は出ていないにしても、こんなに身近な人のこと暴露しちゃって大丈夫なの?と思ったりもします。著者自身のこともだけれど。
    相変わらずツボな描写満載で、吹き出してしまうので、人前では恥ずかしくて読めません。

  • この本と出会えてよかったなあと、もしかしたら初めて思ったかもしれない。
    そのくらいエッセイひとつひとつに人間味が溢れてて、共感できて、自分の形にならない気持ちをこんなに上手に言葉にしてくださって有難うという気持ちになる(笑)
    このままでいいんだな〜自分だけじゃないんだな〜、と、暖まった。

  • この人のゆるさに安らぐ。
    ただ時々ドキッとする事書いてあるから気が抜けない。

  • 自虐というのでもない、弱さ、ダメさを直視でき、その悔しさも直視できるのは歌人だからかな。

    [more]<blockquote>P24 それが最後の会話になるから、ちゃんと目を見て話せ

    P202 何の悪気もない心からの言葉たちだ。現実の表面がぺろっと剥けて、その素顔が現れる瞬間はおそろしい。でも隠されたままというのも、別の意味でおそろしいのだ。</blockquote>

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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