誰かが見ている

著者 :
  • 講談社
3.53
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本棚登録 : 318
感想 : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062204705

作品紹介・あらすじ

第52回メフィスト賞受賞! 
4人の女には、それぞれ表の顔と裏の顔がある。ブログで賞賛されたいがために、虚偽の「幸せな育児生活」を書くことが止められない千夏子。年下の夫とのセックスレスに悩む結子。職場のストレスで過食に走り、恋人との結婚だけに救いを求める保育士の春花。優しい夫と娘に恵まれ円満な家庭を築いているように見える柚季。
4人それぞれの視点で展開する心理サスペンス! 
彼女たちの夫も、恋人もまた裏の顔を持っている。
もつれ、ねじれる感情の果てに待ち受ける衝撃! 
「この先、いったいどうなるのか?」 
ラストまで一気読み必至!!

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    夫婦にも親子にも恋人にも「裏」がある。
    女性4人が繰り広げる極限の心理サスペンス。

    不妊治療の末に授かった夏紀を可愛いと思えないのに、ブログで称賛されたいがために、
    虚偽の「幸せな育児生活」を書く事が止められない千夏子。
    年下の創と結婚したが、結婚した途端にセックスレスになり悩むアパレル勤務の結子。
    職場のストレスで過食に走り、仕事を辞めたいが為に婚活パーティで知り合った恋人には
    子供が出来たら結婚したいと言われ、子供が欲しくないのにと悩む保育士の春花。
    優しい夫と娘に恵まれ円満な家庭を築いている様に見える柚季。

    4人それぞれの視点で展開する。
    彼女達の夫も恋人もまた裏の顔を持っている。
    もつれ、ねじれる感情の渦。
    人間の負の感情がこれでもか、これでもかって描かれている。
    終始重苦しくって読むのが苦しいのに、これからどうなるのか先が気になって読んだ。
    人間の負の感情の描写がとっても上手で、リアリティがあった。

    人は皆、何かしら自分の持ってないものを持ってる人を羨んだりしがちだ。
    でも人それぞれ、皆、悩んで足掻いて余裕が無かったりする。
    悩みを自分の中で抱え込み膨らませることなく、
    そして、必要以上に他人を羨むことなく、
    今の自分に満足するよう生きていければと思う。

    「助けて」と言えない女性達の葛藤の物語でした。
    私は、重さに気持ちがどんよりしてしまい評価が少し下がりましたが、
    とても素晴らしい作品だったと思います。

  • メフィスト受賞作。作者初読み。
    ブログで虚偽の生活を発信することで、憂さ晴らしをする千夏子。年下の旦那とセックスレスなのに、不妊治療に通う結子。千夏子の子供が通う保育園の保育士で、婚活パーティで知り合った彼の異様さに怯え、千夏子の弱みを握り、千夏子をブログで攻撃する春花。そして、何かから逃げるように引っ越してきた柚希。
    主にこの4人の目線で、物語は描かれる。
    この4人以外にも、それぞれの配偶者や恋人も、闇の部分が多く、最初のうちは読んでいて、不快感しかない。
    実際、子供を巡る記述は読んでいて、気持ちのいいものではない。
    子供がいないから、共感出来ないのはしようがないかもしれないけど、そんなに自分の思い通りになると考えている人が多いのだとしたら、世の中を見る目が変わってしまいそうな内容だった。
    しかし、それぞれが持っている闇は後半で明らかになり、かなり救われる展開に。途中までは、不快感しかなかったけど、最後まで読むと、意外とすっきり。

  •  そんなに難しく考えるなよと言う世間の声に傷つく人は、やはり多いのだということを再認識。
     友達未満もそうだったが、最後に救いが来ることは、ほっとさせる。

  • なぜこうも誰かに利用されなければならないのか。
    図々しくも、持ち得ない権利を行使する人でなし共。
    でも自分こそその権利を行使したい。

    厚顔無恥にも、貰うことや奪うことにしか興味がない。そんな悪意に当てられ
    職場や家庭の繋がりに三者三様に苦しむ姿がこちらまで打ちのめす。
    けれど絶望だったはずの繋がりが希望にもなっていた。
    誰かに利用されることと、必要とされることは違った。
    人は善意を込めて誰かを頼れるし、そこには敬意があるから、頼られることもときに救いになる。
    一方的ではないもの。

  • いるいる…こんなオンナのヒト。
    ホント嫌だなぁ。

    さいごは綺麗にまとまり過ぎた感もありますが、
    イヤな感じで終わるよりは良かったです。

  • 嘘のブログを綴りながら、子供に愛情が持てない千夏子。
    新婚半年でセックスレスの結子。
    結婚退職を望む保育士春花。
    ママ友との関係からストーカー被害にあっていた柚季。
    育休明けに保育園の空きが無く職場復帰が出来ずにいた夕香。

    立場の違う5人の負の感情が渦巻いていて、終章に至るまで、嫌な気持ちになることが多かったです。
    女の子が欲しかった母親、セックスレス、不妊治療、特別養子縁組、保育園の待機児童問題など、どこかに自分と同じ境遇の人がいてもおかしくないほど、テーマは目白押しで、とても興味深く読みました。

    終章に至り、それぞれの問題にそれぞれが向き合い、解決へ進むような終わり方で良かった。

    自分の子を否定するような言葉を発する千夏子には、嫌悪感を感じていましたが、ラストシーンでその気持ちは彼女達を応援する気持ちに変わりました。
    夏紀の心の傷を埋められるよう、頑張って欲しいと思います。
    素晴らしい作品でした。

  • ブクログのお仲間のしのさんのレビューで知った本。
    一気読みした。
    前半はミステリー調、後半から人間ドラマと、急に物語のイメージが変わったな・・・という違和感はあったけど、読者をひきつけながら作者の言いたかったことを書いてるな・・・と思った。
    読んでいる途中に作者の紹介欄を見ると、著作が何もない。
    多分、これが一作目なんだと思うけど、それだとすごい新人さんだと思う。
    何十作書いてたって、何じゃこりゃいうのを書く作家をいるのを見ると、才能がある人って最初からこうなんだ・・・と改めて思う。
    そして、この作者は人の心が心で感じられる人なんだな・・・と思う。

    この物語の主人公は主に4人の女性。
    一人目は自分の言う事をきかない子供にイラつく主婦、千夏子。
    彼女はブログに虚像の自分を描くことで日々のストレスを発散する。
    そのブログというのが最初は不妊治療について書かれた日記だったのが、引っ越したと嘘をつき、知り合いのタワーマンションで暮らす素敵な女性ー柚希の生活を自分のものと偽るものと変わる。
    ブログは読者も増えて彼女はそこに生きがいを見つけるがー。

    その女性、柚希は優しい女性で、千夏子とはスーパーで知り合い、同じ年ごろの子供がいる事で仲良くなった・・・と思われたが、実は柚希の方はその前から千夏子の事を知っていたー。

    結子は夫との関係に悩み、不妊治療に踏み出せないでいるキャリアウーマン。
    彼女は悩みを誰かに聞いて欲しいと思い、探した不妊治療について書かれたブログの主にメッセージを送る。
    その女性とは千夏子。
    千夏子は自分にないものをもつ結子を妬み、優しいふりをしながら悪意のこもったコメントを返す。

    春花は千夏子の子供の通う保育園の先生。
    先輩との人間関係に悩む彼女は結婚して仕事を辞めたいと思っている。
    そして、結婚相手として理想的な男性と結婚寸前までこぎつけるがー。

    そんな4人の女性を通して、女性同士の確執とか嫉妬、悪意が前半は描かれている。
    その感情は私自身の中にあるもので、分かるな・・・と思うものだった。
    反対に、自分の子供が周囲に愛されて、それを見て自分と比べてあんたは・・・と思う感情は、「私もそう思われてたんだろうな」とも思った。

    私はこの本を読み始めてすぐに、「あ、この表現いいな・・・」と思った。
    それは千夏が寝転がっていて、そうしていると幼子のままのような錯覚を覚えるという表現。
    ありそうでなかった表現で、繊細な感覚だな・・・と思って心に残ったけど、読み進めていく内にその場面がどんどん印象深くクローズアップされてきた。

    大人は誰でも自分の中に子供の心をもっているんじゃないかと思う。
    それはここに登場する女性たちも同じ。
    子供はワガママで時に残酷で意地悪。
    そういうのを自分の内に抱えながら、外では役割の自分をある意味演じて生きている。
    その苦しさ・・・。
    それがあふれ出した時に他者に攻撃をする。
    柚希のような優しい人がその標的にされてしまうのはとても理不尽だと思う。

    ただ、子供は大人にない良さをもっている。
    それは素直さだと思う。
    素直に「ごめんなさい」と言えたり、自分のありのままの気持ちを素直に話すという大人にはできそうで中々できないこと。
    私も自分に子供の心をぶつけてくる人たちがそんな素直さを見せたら今と違う気持ちでその人たちと接することができるのにな・・・と思う。

    そういう事を思いながら読んでいると自然と最初に気になった、主人公が寝転んで子供のような場面が印象的になっていった。
    それを仕組んでたんならすごいな・・・と思う。
    これからもこの作者は注目して読んでいきたいなと思う。

  • キラキラしているSNSには
    悩みなどない、幸せいっぱいだ!という空気がむんむんと放出している。
    イイネは、いいなぁになり
    イイネを押すたび自分がヨクナイネになってる気がして他人が羨ましくなったり。

    でも隣の誰かが幸せそうに笑ってるからって
    その人の孤独や悩みは見えない。

    最近思うのは、見たいものしか見えていないということ。
    『見たいもの』と、『本当』は違うということ。
    SNSをみて他人が無性に羨ましくなったら
    少し距離をおいたほうが無難。
    それはフィクションだということをきちんと
    理解して受け入れられるまでは。

  • 《図書館本》最初は登場人物が虚栄心の塊でドロドロとしていて、読んでて気持ちの良いものでは無かったけど、終盤それぞれの事情がわかってくると、「大変だったんだね。頑張ってたんだね」と言ってあげたくなった。たまには素直になって弱音を吐いて誰かに頼る事も必要なんだなと思った。読んでよかった。

  • おーこわ。
    夏紀

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著者プロフィール

1984年山口県生まれ。『誰かが見ている』で第52回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著作に『首の鎖』(本作)『友達未遂』など。

「2021年 『首の鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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