北斎まんだら

著者 :
  • 講談社
3.74
  • (8)
  • (19)
  • (12)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 86
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062204743

作品紹介・あらすじ

信州小布施の豪商、高井家の惣領息子・三九郎は、かの有名な絵師の葛飾北斎に会うために江戸へやって来た。浅草の住まいを訪ねてみると、応対してくれたのは娘のお栄。弟子入りを志願するもまともには取り合ってもらえず、当の北斎はどこかへ出かける始末。美人画で有名な絵師の渓斎英泉こと善次郎にはかまってもらえるが、火事見物につき合わされたり、枕絵のモデルをやらされたりで、弟子入りの話はうやむやのまま。そんな折、北斎の放蕩な孫・重太郎が奥州から江戸に戻ってきたことが伝わる。同じころ、北斎の枕絵や鍾馗の画の贋作が出回る事件が出来し、重太郎に疑いの目が向けられるが……。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 葛飾北斎に弟子入りした高井三九郎(鴻山)目線の物語。
    江戸っ子口調が軽快で人情味溢れていてとても読みやすい。
    北斎やお栄、善次郎といったお馴染みの面々も身近に感じられ親しみやすい。
    北斎を父として師匠として尊敬しそっと見守るお栄の姿には今回も心打たれた。

    「おれは、おれの思うがままに描くんだ。おれが真だと思うものが真になる。おれの画になる」
    威勢良く啖呵を切る北斎はさすがの貫禄…と思えば落ち込んでブツブツ愚痴ったりと、人間くさくて面白い。
    「画を描くってのはな、画の中にてめえを映すことでもあるんだ」
    抱え込んでいるものを吐き出したら自分の画が見えてくる、と皆から助言をもらった三九郎もいつか自分の画が描けるはず。
    「描きてえから描く、それだけだ。そこに、訳なんざいらねえ」
    こんなセリフをさらりと言うお栄は、やっぱり惚れ惚れするほどカッコいい。

  • 葛飾北斎と応為の物語。葛飾北斎に弟子入りしにやってきた、高井三九朗(高井鴻山)が主人公。べらんめぇ!な江戸っ子の雰囲気が面白くてさくさく読み進む。ラストは応為も北斎もまだ絵を描いていないところで終わってしまい物足りない。天井絵を描くところが読みたかったな。安田善次郎(渓斎英泉)はどの本でも魅力的だなぁ。善次郎が主人公の話も読んでみたい。

  • 2018/1/3
    北斎の話はどの人のものを読んでも、その人柄からか面白い!お栄さんにも興味がある。
    あと国芳という人
    この人たちから日本の版画が世界を魅了する芸術であると改めて思う

  • 2017.11.17読了

  • 朝井まかて「眩」は、北斎の娘・お栄視点だったけど、コレはその後ろに高井鴻山を絡ませてる分、北斎への距離があって、客観的。同じように作者は女性だけど、こっちのお栄の方が大分がらっぱちだなあw。そして同じように渓斎英泉がお栄にやたら絡むんだけど、そういう史実があるのか??
    いずれにしても、クソ孫の重太郎はどうしようもない奴だったらしい。

  • 北斎の娘、応為は火事を見るとジッとしてはいられない江戸っ子だ。そこには秘めた情熱が隠されていた。北斎に心酔し、北斎の求めに応じて絵を描くことで満足だという応為。枕絵を描くことも厭わない。三九郎は、応為自身の絵を描いてもらいたいと思っている。絵師の善次郎(渓斎英泉)もそう思っている。男女の仲は腐れ縁だが、応為は全て絵のためと言い切る。
    悪童、重太郎が現れると、物語に影がさす。重太郎が描いたという北斎の贋作が後半の事件。北斎の怪人ぶりが面白かった。北斎に弟子入りした小布施の高井三九郎(鴻山)のおかげで難を逃れる。
    女としての応為を描いたことが、のちの応為自身の作につながっていくように思えた。

  • コレは面白かった。応為がメインかな。三九郎もよかった。でもいつでもカッコ良いのは画狂老人の北斎だ。

  • 豊国の次は北斎。
    朝井まかての描き出す応為とはまた違った一面が楽しめる。
    そして、小布施の高井鴻山の活躍が面白い。高井家の蔵に残されていた鴻山の妖怪図には、こんな意味があったのか…。八方睨みの鳳凰図と一緒に残された、屋台の浪の絵は果たして…。想像力を掻き立てられる一冊だった。

  • 信濃の浮世絵師高井鴻山(三九郎)が北斎に入門するあたりの話.北斎と出戻り娘お栄のチャキチャキの江戸っ子ぶりが子気味良い.北斎の弟子でちょっとおとぼけの善次郎,困り者の孫の重太郎なども人物像が明確でわかりやすい.周囲に翻弄されながらも三九郎は絵師の道を歩き始める.

  • 『北斎』とタイトルには書いてあるが、どちらかと言うと、朝井まかてさんの『眩』と同じく、北斎とその娘・応為が中心。
    『眩』とは違い応為の恋愛はサラッと流してあり、後に北斎の門人となる三九郎の目から見ているので、少し引いた感じで、北斎と応為の画才の凄さや画を描くことへの執着、その葛藤などが表現されていた。
    応為との腐れ縁の相手・英泉も気持ちの良い三枚目として描かれているし、北斎と応為を長年苦しめてきた身内の重太郎もただの放蕩者ではなく描かれていて、北斎が重太郎と決着を付ける時のそのやり方も良かった。
    また三九郎も一見普通過ぎる出来の良い総領息子のようで、実は違う面もあって、それが後の彼の作品に影響するのだろうなと思えるところが面白い。
    ただ、個人的には応為が『応為』としての作品を描き出すその時を見たかったので、それがないまま終了したのは物足りなかった。それでも応為にはその描きたい思いが溢れそうになってきている予感は感じられた。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京都生まれ。05年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。08年「一朝の夢」で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビューを果たす。’15年、幕末に浮世絵を守り抜こうとした絵師たちの姿を描いた『ヨイ豊』で第154回直木賞候補になり、歴史小説家として大いに注目さる。その他の著書に『花しぐれ 御薬園同心 水上草介』『連鶴』『墨の香』『父子ゆえ 摺師安次郎人情暦』『赤い風』『はしからはしまで みとや・お瑛仕入帖』『番付屋新次郎世直し綴り』『お茶壺道中』『とむらい屋颯太』などがある。

「2019年 『北斎まんだら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梶よう子の作品

ツイートする