産まなくても、産めなくても

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 237
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062204750

作品紹介・あらすじ

妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語──「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。/「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。レース前、胸に去来したものは?/「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。/「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。/「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは?/「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。/「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。

感想・レビュー・書評

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  • 出産は女性にとっての一大イベントだ。
    しかしそれを選択しない人もいる。
    それは自ら望んで、の場合もあるし、様々な事情から選べない人もいる。
    私の母は言った。
    「産んでも、産めなくても、悩みは尽きないもの」と。

    本書では七人の出産しない女性を描いている。
    第一話では、妊娠できないことを理由に離婚しようとする女性から依頼を受けた、女性弁護士が主人公だ。
    ファンタジーと現実の狭間で悩む女性の姿がそこにあった。

    第三話では、それに加え、羨望という欲が加えられた話になっている。
    お互い、「歳も歳だし子供なんて、もう」と言い合っていた仲なのに、片方だけが妊娠した。
    おめでとうの気持ちと、それ以上になんであの人だけ、という拭えない思いが溢れ出る。

    第五話では、出産した女性と、していない女性の間の葛藤が描かれる。
    よくネットなどで揶揄する言葉として使われる、「脳内お花畑」な女性が登場する。
    しかしその女性だって、全く悩まないはずがない。
    浮き沈みのある自分でコントロールできないところに、難しい点がある。
    そして、そんな「お花畑さん」に対して冷たく見える女性が敵とは限らない。
    みんなにとって最良の方法を考えているだけで、ことさらに意地悪なわけではないかもしれない。
    その二人の間に、見えない壁があるだけで、きちんと話して見たら、その壁は元からあったものではないと気付けるかもしれない。

    悩みとは他人には見えないし、たやすく理解できるものではない。
    今一番苦しいのは私、世界中で一番どん底にいるのはこの私、そう感じることもあるかもしれない。
    現実には他人の人生を生きることなど不可能だ。
    しかし、読書によって、誰かの苦しみを知ることができれば、立場を、悩みを、体験できるとしたら、他人に対してもっと慈悲深くなれるはずだ。
    そして何より、自分自身をもっと慈しみ、愛してあげることができるはずだ。

  • 初めての作家さん。
    かなりリアルな話なので、子どもが欲しくてまだ授かっていない人には辛いかも。
    何を人生で選択するかという気持ちというか決心というかが綴られています。こんなにみんな苦労しているんだ。時間と戦っているんだというのが実感しました。
    第7話のマタニティ・コントロールは2030年頃の未来が描かれていますが、これが安心して読めるかも。

  • 不妊治療を中心とした、妊娠出産に関する短編集。

    前作も読破済。
    今作品は、不妊や人口妊娠、高齢出産などに焦点を当てている。

    結婚、出産を、所謂普通にやり過ごして来た自分には、考えされられる話が多かった。
    子供を持つことが全てではないとは思うが、それによって人生が変わるということもあるとは思う。
    難しい問題を多数含んでいると、色々考えた。

    特別養子縁組については、他の本、ドラマなどでも、最近は多数取り上げられていて、興味深い。

    いずれの場合も、子育てしやすい国、環境であることが一番なのだと思います。

  • 一言で言うならば、時間の有限さへの、恐怖だ。

  • 「産む、産まない、産めない」
    も以前読んだことがあり、今回こちらを読みました。

    まぁきっかけは自分が不妊治療をバリバリやってたからなわけです。

    上記の作品を読んだときは治療中だったからカフェで号泣してしまったことを思い出しましたね。。
    なるべく不妊治療してる人のブログとかSNSは見ずに過ごしていました。小説なら、と思ったけどそのときは読んでよかったとは思わなかったかな。
    不妊治療のこと話してくれる人って結局最終的に子供できた人が多くて、なんの慰めにもならないと思ってました。最終的に子どもを諦めましたという人の話を聞きたかった。子どもがいない人生がどんなものなのかわからないし、世間の中でマイノリティになるのが怖かった。

    今は妊娠中で、結局子どもできたんじゃん、て感じなので不妊治療してる人に気軽に色んなこと言えなくなってしまったけど。だからこそこの作品の中のターコイズがめちゃくちゃ怖かった。1番気持ちわかって感情移入するけど臨月近くで亡くなっちゃうって…と思って。妊娠高血圧症候群について死亡例とか重症例調べちゃったよ。。
    不妊治療してる人同士で馴れ合うのは私は無理でした。どっちもできたり、どっちもできなかったりすればその関係は強固になるかもしれないけど、何度も何度も友達が、職場の人が、妊娠したって聞いて落ち込んで。芸能人の妊娠報告ですら落ち込んで。さらにまた友達を増やすことで落ち込むことを防ぎたかった。だから孤独だったんですよね。旦那の職場にも不妊治療してる人がいて、その人の奥さんと職業も同じで歳も近くて、ご飯も行ったりしたから本当は友達になれたけどならないようにした。こわかったから。自分自身も別に悩んでないとか気にしてないと言い聞かせてた。
    結局仕事の色々もあってメンタル崩して休職して、休職中に採卵してOHSSになって死にかけて。半年後くらいにやった移植でなんとか妊娠。もう笑えないしどっぷり不妊治療してましたね。そしてトータル100万以上かかるという。
    妊娠したときに不妊の病院で卒業のメッセージカードみたいなのを書かなきゃいけなくて。それは院内に飾ってあって私ももちろん卒業した人たちのやつ隅から隅まで読みましたけど。私が不妊治療してる人に伝えたかったのは、どんな結果でも無駄じゃないよということでしたね。この経験を通して普通って何?幸せって何?てすごく考えたし、人への配慮も学んだと思います。高い学習代だけど。

    妊娠してからはじめて不妊治療してる人のYouTubeを見たりできるようになりました。で、諦めた人のYouTubeも見たりしてます。
    私は自分が出産してもこのことはずーっと思い続けるんだろうなと思う。
    なのでこの手の本は定期的に読みそう。

    感想じゃなくてただの自分語りになってしまった。

    多様性といわれてはいるけどやっぱり子どもがいない人の生きづらさはものすごくあると思う。特にご高齢の方…。自分の祖母ですら子育てをして女は一人前なんて私に言ってくるくらいだから。

    今、不妊治療してる人には
    いつか妊娠できるからがんばれ!じゃなくて、結果はどうであれ今頑張ってることは無駄にならないし、人よりも成長できる!今のあなたで十分素敵だよ!ということを伝えたいと思います。

  • 妊娠、出産などに関わる女性の悩みや気持ちがよく伝わってくる内容であった。
    自分は男性であるが、こういうものを読む度に、自分が妊娠できない性であることが辛く悲しく思う。
    最後の話は思ってもなかったどんでん返しがあり、読後の満足感がさらに良くなった。

  • 出産時の年齢は現代では平均だと思うけど、それまで親や友人から早く産んだ方がいいとよく言われたな…と思い出した

    最後の短編が現実になればいいと思う反面、そうなってほしくもないような

  • 前作の「産む、産まない、産めない」が良かったので、引き続きこちらの本も読んでみました。

    短編の7つの物語は前作を読んでいなくても、色々な人生を歩んでいく女性たちの物語に引き込まれました。まるでノンフィクションを感じさせるかのよう。
    ある意味、第7話目のマタニティ・コントロールにはびっくりしましたが 笑 、面白かったです。

    個人的には第三話のターコイズの最後が衝撃的でした。

  • 妊娠も出産も不妊治療も産後復帰も経験してるから、このテーマは胸にぐっとくるものがあった。ああ、この道通ったことあるな…と全部のストーリーで一度は感じた。

  • 出産をテーマにした短編。男性にはタイムリミットはあまりないかも知れないけれど、女性にはタイムリミットがある。産む選択、産まない選択。特別養子縁組を受け入れる選択。どれも良いと思います。
    どの短編も良かった。最後のファンタジー?だけは要らなかったと思う、、笑

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著者プロフィール

1964年、神奈川県生まれ。玉川大学文学部英米文学科卒業。ファッション、グルメ、映画、車などの最新情報を盛り込んだエッセイや小説で注目される。2014年に刊行した『産む、産まない、産めない』は、妊娠と出産をテーマにした短編小説集として大きな話題を集めた。ほかの著書に、『みちたりた痛み』『肉体派』『中年前夜』『マラソン・ウーマン』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』『鎌倉の家』などがある。また、読書会「ヨモウカフェ」を主催している。

「2019年 『産まなくても、産めなくても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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