フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 116
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062205757

作品紹介・あらすじ

人工人格家電の自殺疑惑、非実在キャラクターを殺したと主張する被告人、雇用を迫る対人支援用ロボット。起こりえない事件を解決するため、男たちは燭台に火を灯す。それは「真実を映し出す」と語り継がれる、フォマルハウトの三つの燭台。

感想・レビュー・書評

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  • 神林長平の世界観がコミカルに楽しめるのが良い。神林中級者向けかも?と思いつつ、雪風 (アンブロ)などで語られる”リアル”にこの作品でも出会えるのですが、彼処が苦手でも此方は楽しめるんじゃないかなと。機械と人間について長く書き続けてきた方が見つめる視点は、私の様な凡人では考え付きもしないもので吃驚します。楽しい驚きです。近年はど当地要素もあって一度は聖地巡礼をしたくなりますね。

  • 1:買って積んでたのをようやっと読めた。本腰入れてからはすぐでした。「ライトジーン」でコウがえらい有り難がっていたこともあって、なんとなく難しめの幻想SFかと思っていたけど、真実の重さを軽妙な筆致で描いた、いっそコメディとも思える作品でした。
    それでいて、自己の同一性であるとか、人体・肉体の拡張であるとか、ライトジーンにも共通のテーマにも触れられていてニヤニヤ。
    「男女の人格入れ替わりモノ」についてこの時、長野を舞台にしたお話で語られていた偶然にどきどきしつつ、ジャカロップ可愛い。つつこう潰そう。きっとジャカロップはどこにでもいるし、今も私のIFを潰しているに違いない。

  • 人工家電の自殺。そんなあらすじに引かれ購入。神林さんの作品はあまり読んでいませんでしたが、奇妙な状況から現実に侵食してきそうなテーマを描き出す作風に感服しました。 対となる作品があるそうなので、是非とも読んでみたい

  • かなり理屈っぽいよ。嫌いじゃないけどね。意識とは、存在とは、ていう話が永遠と続くよ。

  • 『三つの燭台に火を灯すとき世界が終わる
    光に圧殺されて闇が息絶えるからである』

    火を灯せば真の世界が見える。しかし、三つあるすべての燭台に火を灯せば世界が終わるという「フォマルハウトの三つの燭台」。
    その周辺では、奇妙な事件が起こる。
    トースターに積まれているAIが自殺したり。自分の意識をロボットにコピーしたあと、自分を殺したと主張する男がいたり。教義のわからない新興宗教の教主になってみたり。

    さらには奇妙な生き物も現れる。
    世界という存在は〈あぶく〉のように無数にあり、常に生まれてきているし、常にはじけて消えていくもの。そして、「私は世界という〈あぶく〉をつぶして楽しみたいんです」と無邪気にのたまう角のある兔、燭台の眷属ジャカロップ。

    物語は、いまだかつて職に就いたことのない筋金入りの引きこもり中年ニート、太田林林蔵がその事件の謎を追ったり、当事者になったりすることで進んでゆく。

    ちょっととぼけた林蔵やジャカロップのキャラクター性のためか、作中で起こる事件に陰惨さや凶悪さは感じないが、謎の果て、燭台の明かりに浮かびあがる真実は非常にシリアスだ。

    当たり前のように高度なAIが搭載された家電が陥る、所有者やほかの家電とのコンフリクト。近づきすぎた人間とAIの思考の峻別。“わたし”と“わたし”以外の差。生と死の違いがわからなくなってゆく――。


    神林作品では仮想と現実入り混じるSF的世界観のなか、一貫して意識とは、記憶とは、現実とは、そして私とは何かを問い続けている。IoTやAIを活用する第4次産業革命の動きが活発化している現在、ようやく時代は神林作品に追い付いてきたのではないか。そして彼が問い続けてきた命題は身近になり、いよいよ実体を伴うのだ。
    私たちが想像するよりきっと突然に世界の終わりは訪れるだろう。予兆もなく、覚悟も定まらないうちに。そして世界が終わっても、誰も気付かないのだ。

    この本を開いて読み終わるまで。それがまさに一つの世界の始まりと終わりになっている。
    難しくとらえることはない。ほら、もう、すぐそこに。

    『――語り手が消えて闇、来たる。』

  • 正直、よく分からなかった。理解が追いつかず、モヤモヤする読後感。

  • 神林長平の「人の鼻をつまみに来る」サイドのお話。
    状況整理しながら読まないと、訳が分からなくなります。文章を手燭がわりにして、暗闇に包まれた物置を探るような感じ。
    思弁的で面白いんですが、疲れました……。

  • 面白かったー!!私好みのファンタジー!角が生えている兎、ジャカロップは燭台の眷属で、リアルな世界に住んでいる。燭台に火を灯すと現れるハンモクたち。過去にトースターのミウラに意識を乗っ取られたことのある知能家電管理士さんの本名を知るために、林蔵は三本目の燭台に火を灯す。「三つの燭台に火を灯すとき世界が終わる」あぶくのような人の世界。いったい何が現実なのか。誰が実在するのか。〈倭編〉ということは、続編もあるのかな。読みたい!

  • 始めは引きこもりの中年男林蔵くんののらりくらりしたちょっと不思議な話だったが徐々に雲行きが怪しくなり,世界の破滅やら装甲車,カーチェイスまがいのシーンもあり緊張感が高まる.自分も含めてどこまでが現実世界なのか判然としない.背表紙の反対側,右から見たのと左から見たので絵が変わる.とても象徴的.

  • フォマルハウトの燭台や角のある兎(とにかく)ジャカロップの魔術のような話かと思って読んでいたら,神林氏お得意の意識のありよう,存在の定義に関わる話となって,こちらの頭を整理しながらではあるが,とても面白く読んだ.で,結局林蔵どうなったの?

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著者プロフィール

1953年、新潟県新潟市生まれ。79年、短編「狐と踊れ」で作家デビュー。『敵は海賊』、『戦闘妖精・雪風』シリーズなどで数多くの星雲賞を受賞し、95年、『言壺』で第16回日本SF大賞を受賞した。『魂の駆動体』、『永久帰還装置』、『いま集合的無意識を、』、『ぼくらは都市を愛していた』など著書多数。SFファンの圧倒的な支持を受けている。

「2017年 『フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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