フォークロアの鍵

著者 :
  • 講談社
3.57
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本棚登録 : 232
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062205771

作品紹介・あらすじ

羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。出迎えたのは、「色武者」や「電波塔」などとあだ名される、ひと癖もふた癖もある老人たち。なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚える。記憶の森に潜り込む千夏と相棒の大地。二人を待っていたものは……!

感想・レビュー・書評

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  • 民俗学の口頭伝承の研究をしている千夏が、グループホームの入居者から聞いた言葉を頼りに謎に迫っていく話の中に、介護業界の問題点や家庭の問題など現実社会問題になっていることがメインとして書かれてるので、純粋に民俗学の知識を使った謎解きではなかったのですが、展開に引き込まれ楽しく読めました。
    最後も良かったです。

    千夏は昆虫捜査官の赤堀先生のような気持ちの良い女性でした。

  • 民俗学の口頭伝承という目の付け所はおもしろいけれど。。。
    すこーし、先が見えちゃうところがイマイチかな。
    これ、シリーズになるのかしら。
    コリン・ホルト・ソーヤーの老人探偵団を思い出した。
    そういえば、あれまだ読んでいなかったっけ。

  • 2020/8/6
    やっぱ好きやなぁ。川瀬七緒さん。
    止まらなかったわ。腰痛いのに。
    内藤さんもやけど、登場人物の会話がごく自然ですんなり入ってくるのよ。
    間違っても「絶対にNOよ!」とか言わない。
    ネタとしては面白いけどさ。「絶対にNOよ!」って使いたいけどさ。
    物語に入り込むには邪魔なそういうのがない。
    あっという間に入っちゃう。
    流行りのいい人ばっかり~とかじゃなく嫌な人もいるし、犯人はたいてい鬼畜みたいな奴。
    なぜ鬼畜みたいなのかみたいな理由付けもなし。潔い。
    素直なぽっちゃり千夏や立ち上がった大地、愛すべき風の里のじいちゃんばあちゃんたちにまた会いたいのだけど。
    続編ぜひお願いしたい。

  • 最初は取っつきにくくて、老人たちの行為に胸が締め付けられるようで最後まで気持ちがもつのか不安だったけれど、あれよあれよという間に謎解き仕立ての世界に。母と葛藤する少年の奮闘ぶりも素敵なスパイスとなって主人公が霞んでくるほどにくってくるさまがよかったように思う。頭でっかちの人をギャフンといわせることがこんなにも爽快だったとは。読後感は極めてよかったー。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    千夏は民俗学の「口頭伝承」を研究する大学院生。老人の“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。入所者の一人・ルリ子は、夕方になるとホームからの脱走を図る老女。会話が成り立たない彼女の口から発せらせた「おろんくち」という言葉に千夏は引っ掛かりを覚え…。乱歩賞作家の傑作長編・深層心理ミステリー

    徐々に人に心を開くことで、まともな時間が増える認知症の老人達の会話に感心と笑いが。一方大地の母上の毒親ぶりといい、嫌な人の描写が徹底して上手くこれも読み応え有り。
    何よりおろんくちで見つけた物!鳥肌が立った。ミステリーってよりホラーだよ。

  • 民俗学を専攻する大学院生羽野千夏は、「口頭伝承」を研究するため認知症グループホームに通うことに。そこには様々な老人がいたが、千夏が特に関心を寄せたのは最高齢のルリ子。彼女がつぶやいた「おろんくち」という言葉を頼りに、高校生の立原大地とともに、過去の記憶、そして現代の問題解決へと突き進むが・・・
    前半はいま一つであったが、後半スピードに乗るとともに、老人達のキャラクターも面白くなり、楽しく読めた。ただ、千夏がどうしても“法医昆虫学捜査官シリーズ”の赤堀とダブってしまう。

  • 認知症になっても〈消えない記憶〉。それを研究するため、主人公が向かった認知症グループホームは、曲者ぞろいで……。
    マイナスな面から始まるので、前半はやや気が重い。おどおどした主人公が吹っ切れ、展開がスピーディになってからが面白い。
    後半は明るいようで、意外と重たい問題を含んでおり、ぞくっとする。

  • 民俗学研究という馴染みのないものだったけど、興味深く読めました。高齢者施設や不登校、犯罪など現代の色々な問題がわかりやすく読めること、登場する人たちが前向きに明るくなっていくところが良かったです。

  •  大学院で口頭伝承を研究する女子大生が、不登校の男子高校生と共に、認知症グループホームに暮らす老人の言葉の謎を解き明かす民俗学ミステリ。
     介護の現場の苦労や疲弊する様子がリアルに描かれ、社会問題としての提起がなされる一方、六車由実氏の著作『驚きの介護民俗学』を参考とした聞き取りの手法による物語の構築が実に巧み。
     曲者揃いの老人たちを相手に、タフで大らかな主人公が真摯かつ陽気に語らい、入所者の深層心理を探り当て、施設外で起きている事件を解決に導く下りはドラマチックで、サスペンスとしての迫力も充分。
     読後感も爽やかで、人々の出逢いと触れ合いが、その境遇に希望の光を差す佳作となっている。

  • 口頭伝承を研究している千夏と、高校生大地の「おろんくち」を探るミステリ。どちらかというとおろんくちの謎よりも、老人ホームや認知症患者の抱える問題が印象的だった。全てマニュアルに沿った対処もどうかと思うし、介護士の苦労も実際は本当に大変なのだろうと思う。

    大地が大学生になってからとかの2人の活躍の続編を希望!

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。ロングセラーとなった人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)『シンクロニシティ』『水底(みなぞこ)の棘(とげ)』『メビウスの守護者』『潮騒のアニマ』『紅のアンデッド』『スワロウテイルの消失点』の7作がある。そのほかにも『桃ノ木坂互助会』『女學生奇譚』『フォークロアの鍵』『テーラー伊三郎』『賞金稼ぎスリーサム!』など多彩な題材のミステリー、エンタメ作品がある。

「2021年 『スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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