もう生まれたくない

著者 :
  • 講談社
3.18
  • (7)
  • (28)
  • (46)
  • (14)
  • (5)
本棚登録 : 442
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206273

作品紹介・あらすじ

「誰にも言わないままの言葉をいつか私はしたためよう。亡くなった人に、友達だと思っている人に。ネットに載せて読めるようなのではなくて、そう、空母の中の郵便局にたまる手紙のように」――。
マンモス大学の診療室に勤める春菜、ゲームオタクのシングルマザー・美里、謎めいた美人清掃員の神子。震災の年の夏、「偶然の訃報」でつながった彼女たちの運命が動き始める――。 スティーブ・ジョブズ、元XJAPANのTAIJIなど有名人から無名の一般人、そして身近な家族まで、数々の「訃報」を登場人物たちはどこで、どんなふうに受けとったのか。誰もが死とともにある日常を通してかけがえのない生の光を伝える、芥川・谷崎賞作家の新境地傑作小説!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 震災から数年の間の、実際にあった人の死のニュースを受けて、派生した物語。知らないニュースも多かった。時々、震災の爪痕を感じる描写があったが、どんな意味だったのだろう。あの時の気持ちを思い出して、お腹がスッとなるが、どんなエッセンスになっていたのか。

    人って簡単に死んでしまうんだなあと思ったり、人の死に対する温度差やその重さについて考えた。

    もう生まれたくないっていうのは、死にたくないってことなのかな。死にたくないなー。

  • A大学を舞台にした群像劇。
    それぞれの登場人物を繋ぐのは、著名人の訃報。
    出てきた訃報や事件のニュースは、ほぼほぼ覚えていましたが、自分がその頃何していたかは今ひとつ思い出せませんでした。それ程訃報は多く、さらっと流してしまっていたのかも。

    タイトルは、著者のインタビューから「もう生まれたくないから、今を精一杯生きていくんだ」という様な意味だとか。
    精一杯生きている、と言うような強い思いを持つ人たちはあまりいなかったように思いますが、そのゆるりと穏やかな人たちが心地いい本でした。
    その中で唯一激しい行動を起こしたエレーナには驚かされましたが。

    飛行機の中での紙風船のシーン。
    映像が目に浮かび、すごく好き。

  • ーーー誰かが死ぬというだけで、劇的だ。
    誰もがいつか死ぬことを認識している。でもそれが次の瞬間だと知ることだけは、できない。ーーー

    著者が得意とする群像劇だが、今作はテーマが「死」。
    2011年から2014年までを舞台に、有名人も、登場人物も幾人か死ぬ。死ぬことがメインではない。生活があって、それぞれの物語があって、そのなかで誰かが不意に亡くなったり、亡くなったことを思い出したりする。
    わたしたちが日ごろニュースで知る「死」の温度と、作中のそれがとても似ていて、あらためて物語にされることで、やっぱり「死」はどこか他人行儀で、よくわからない存在であるとおもった。

    タイトルの「もう生まれたくない」
    なんとも過激なタイトルだとおもう
    もう生まれたくない、なんて、一見ドえらいマイナス思考のタイトルなんだけど、どうもそうはおもえない
    生に対して後ろ向きな登場人物が見受けられないからだ
    生まれたくないからには一個の人生を全うするってことなのかな
    タイトルの意味だけでも延々考え続けられそうだ

    誰かにとって「だれ?」とおもうひとの「死」も
    誰かにとって、あした生きられないくらいの「死」だったりする
    「死」は平等にやさしくてつめたい

  • 長嶋さんの本はいつも読むのに苦労する。
    淡淡とした日常が綴られる。その中でみんな何かを思って感じて、日々に紛れて忘れて思い出して。
    劇的な事が起こっても、感情が渦巻いていても、静かな文体で静かな日常が描かれる。
    それをいつまでも読んでいたいと、いつもなら思うのだけど、この本は、早く読み終わってしまいたくなった。

    実在した人物、今は死んでしまった人たちが、割と最近の人や若い人が多くて、やっぱりどうしても不謹慎に感じる。
    特に自分がその死を悼んだ人のことは、なんだかザワザワする。

    お話のテーマは嫌いじゃない。手法も悪くない。
    お話自体は相変わらず、素敵な表現やハッとする言葉あって、良いなぁと思う。
    とても気をつけて、死者を侮辱しないようにしているのは感じるし、言いたいのは最後の春菜の気持ちなんだろうこともわかるけど。

    実在する人でなくてはならなかったのかな。
    いつもその時代を感じるものをそのまま小説に出している、そのチョイスのセンスには感心するけれど、それを死者にまで当てはめるのは、なんだかな、と思う。

  • 長嶋有作品では、泣かない女はいないにならぶぐらいのお気に入り。

  • 現実社会の出来事=主に芸能人、著名人、(元)時の人の死がリアルタイムに流れていて、そこに複数の登場人物が絡みつつ話は進行していく。構造的な構成が面白い。ただ、何気に怖さというか、底冷えする苦しさが増していくので、気軽にさらっと読むのが吉。

  • 死は生の対極ではなく一部として存在する、とあったのは村上春樹「ノルウェーの森」。まさにそんな感じ。紙一重なんだな。

  • 何気ない日常にふと顔を出す『死』。幾多の有名人の訃報が我々にその存在を知らしめるのだけど、それはあっという間の知らせで、また猥雑な日常に埋もれ忘れる。死は必ず訪れる。死は真っ暗な闇なのだろうか。虚無に投げ出される私の魂… 訃報に少しは思い馳せよう。

  • (2018/3/16了)
    (2018/11/11再読)

  • 細かく主人公が連鎖しながら入れ替わる。淡々としながら激しく動く物語の中で、サブカル的小ネタと人の死が散りばめられている。
    重くない感触で点在する死は、唐突ながら当たり前で避けようのない日常の一つとして物語に馴染んでいます。

全41件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長嶋有
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、〇七年の『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞を受賞し、〇八年には『ジャージの二人』が映画化された。一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。

「2019年 『三の隣は五号室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長嶋有の作品

もう生まれたくないを本棚に登録しているひと

ツイートする