日米がん格差 「医療の質」と「コスト」の経済学

  • 講談社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206310

作品紹介・あらすじ

どこでも同じように医療を受けることができる日本。しかし、同時に病院ごとの「差」が大きいことも日本人には常識です。「あの病院はいい」「あの病院はダメ」という情報は、週刊誌等でも売れ線のネタ。しかし、これがアメリカになると、高額医療である反面、「ガイドライン」が徹底され、医療の質のバラつきはほとんどありません。
 安くてかかりやすいけれど、かかった医者・病院によって命を縮めるリスクが大きい日本で「がん」になることはこんなにアブナイことだった──。
 日本に生まれ、10代で渡米、ほとんどアメリカ人として暮らしてきた著者は、スタンフォード大学で医療経済学の研究を率い、世界レベルの学者を多数輩出した超有名人。日本の病院の「質」を高めるためのコンサルタントを進める中で、みずからの大腸がんが発覚。自分の体をサンプルに、日本とアメリカのがん医療の違いを徹底調査。実体験を通して明らかになる日本のいいところ、ダメなところ、そして決定的に不足している、がん患者、がんサバイバーを支援する仕組み(キャンサーナビゲーション)。
 患者・医療者両面から、「どうあるべきか」を大胆に提言し、日本のがん医療に意識革命を起こす1冊!

感想・レビュー・書評

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  • 国際医療経済学者というものがあることを初めて知った。
    日本の医療は、保険制度があり、料金は同じだけど、
    病院の技術の質の差には、大きなばらつきがあると
    彼によって開発された「ベンチマーク分析」では、
    客観的事実として表明される。
    しかし、アメリカでは、保険制度が緩やかなので、
    病院によって、治療費は格差があるが、
    ガイドラインが明確なので、治療を受ける質は同じだという。
    アメリカと日本の対比が実に面白い。
    薬価をお役所が決めるのは、日本の特質。
    治療と療養は区別すべきで、アメリカでは手術して、5日間で病院を退院する。
    治療は、5日間で、その後は、療養だからだ。
    日本では、治癒まで病院にいることになり、
    平均すると12日間から15日間となる。

    がんサバイバーとして、自らのガン体験を通じて、
    日本とアメリカの治療の質を浮かび上がらせる。
    繰り返し「国際医療経済学者」というのが、面白い。
    著者のアイデンティティを語りたがる。

    キャンサーナビゲーターというがんの支援者の立場を明確にしているのが、
    流石に 自立したアメリカの意識が明確に伝わる。
    患者と一線を画すという意味が伝わる。

    日本というのは、あらゆる分野でガラパゴス的に発達していることを
    知る上では、好著とも言える。

  • 設備が立派な病院がいい病院と言うのは誤った認識。日本には国民皆保険制度があり、どこでも同一価格の医療を受けられるが、実は日本は病院ごとに標準的な専門医療との乖離や医療技術の格差が大きく「医療の質」として見ると大きなバラツキがある。大腸がんでは開腹手術と腹腔鏡手術の割合は病院によって大きくバラつき、病院によって術後死亡率、術後合併症、医療費が異なる。その裏には専門的な技術である腹腔鏡手術を実施できる医師が少ないという事実がある。医療の質は症例数と相関する。症例数の多い病院の方が質が高い。

    DPC病院が厚労省に報告する「退院患者調査結果」、都道府県に報告する「病床機能報告」、病院が公表する「病院指標」、GHCの「病院スコープ」を見る。

    がん患者を支援する「キャンサーナビゲーション」が日本にも欲しい。

    がんは絶望でなく生き抜くという強い意志で。カムバックすると言う姿勢ががんに立ち向かう心を鼓舞する。

  • 概要: 医療経済学者が大腸ガンになった体験談。メッセージは「がんは情報が大事」。
    感想: 前向きな人だけど、この人コネとかあって治療環境には恵まれてるよな、と思った。

  • キャンサーサバイバーとなるためには強い心と正しい情報、そしてキャンサーナビゲータ。
    日本とアメリカのガン治療の違いが、よくわかった。
    日本の治療には病院格差が大きいのが意外であった。

  • 17/8/19読了。

    やはり面白かった。
    前著「日本人が知らない日本医療の現実」や「医療クライシス」も良いが、こちらも秀逸。

    自身のがん闘病を通して著者が理解した日米の医療の質や医療に対する考え方の違いについて、がん医療のアウトカム(成績)指標なども交えながら語られる。

    やや難しい専門用語や指標が出てくるが、頻度はそれほど多くなく、また分かりやすく解説もしてくれるので、医療の素人でも読みやすい。

    アメリカの医療はコストが高いというのは、あくまで患者側の意見で、医療全体、国全体での医療費と考えると、日本の方が圧倒的に高コスト体質という事実に驚き。

    日本でのオペ後、ハワイでケモをするという(なんとも贅沢な?)著者は、あのジョブズとも知り合いというから結構なセレブ?笑

    キャンサーナビゲーター、私も是非受講してみたい。


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著者プロフィール

2014年に大腸がんの告知を受け、克服した、「がんサバイバー」の国際医療経済学者、データサイエンティスト。10代で単身渡米し、医療経済学を学んだ後、カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学で教鞭を執り、スタンフォード大学で医療政策部を設立する。米国議会技術評価局(U.S.Office of Technology Assessment)などのアドバイザーを務め、欧米、アジア地域で数多くの病院の経営分析をした後、日本の医療界に「ベンチマーク分析」を広めたことで知られる。米国グローバルヘルス財団理事長、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン会長。米カリフォルニア在住。
主な著書に、Health Economics of Japan:Patients, Doctors, and Hospitals Under a Universal Health Insurance System(共著、東京大学出版会)、『日本人が知らない日本医療の真実』(幻冬舎メディアコンサルティング)などがある。

「2017年 『日米がん格差 「医療の質」と「コスト」の経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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