理科準備室のヴィーナス

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206341

作品紹介・あらすじ

私たちの学年の理科の先生は、洋風の印象的な顔立ちをしている。
そして、結婚していないのに、子どもがいるっていうウワサ。
私はその先生の真似をして髪を伸ばし始めた。

そして、先生をみつめる生徒は、もうひとりいた。

先生が理科準備室でくれる美味しくて可愛いお菓子と愛の時間。


<書店員さんからのコメント>
遠い昔に味わった、他者を求めているのに、どうにもコントロールできず、押し寄せる感情の疼きに翻弄されていた、あの頃の自分を思い出しました。ジュンク堂書店藤沢店鈴木さん
瞳は決して「ふつう」の女の子ではない。自分を曲げない。誰にも解決することができないはがゆさが切ない。長谷川書店ネスパ店永島さん

感想・レビュー・書評

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  • 2作目のしるこさんの作品。最近、本を読むとき、作者は何が書きたくて作家になったのかなぁと考える。
    2作ではわかないかもしれないけど、もしかすると、生き物は他の生き物を好きになることがある。それは報われないかもしれないけど、起きた工程全てが愛おしく、自分をより深く愛せる要素になる、みたいなことなのかなぁ、と思った。あと何作か読みたいな。

  • 印象的な魅力を放つ教師と、彼女に惹かれる少女と少年。
    ひょっとしたら恋より強い結晶みたいな好意が硬度を増してもろくなる。焦がれて傷つき、傲慢になり傷つけて、ああなんて、息苦しい甘美。
    真夜中の雪降り積む校庭、銅像の手のひらの上の折り紙のバラ、美しい人見先生。

    揺れ動くきもちが、ときに残酷なほど細やかに描写されていて感嘆する。曖昧な感情を言葉にすることはセラピーみたいなものだし、この本を必要な子は世界のそこここにひっそりといるだろう。願わくば彼女と彼らに、瞳と正木のような同士がみつかりますように。あるいはこの本が届きますように。

  • 理科の人見先生は、ボッティチェリのヴィーナスのような、印象的な顔立ちをしていた。話すことも行動も少し「普通」からはずれている先生に、瞳はなぜか心惹かれた。授業中、先生をみつめていると、同じように先生を見つめている男子、正木に気が付いた。先生と二人の、秘密の時間が始まる…。
    憧れとも尊敬とも違う、それは恋に近い思い。性別も年齢も越えて、心に芽生える独占欲。ひとつひとつのエピソードにこもる若くて固い切迫感が息苦しいほど。
    この独特の世界感を作り出す作者に俄然注目。

  • 面白かった!従来のYA作家さんたちとは、こたえの出し方がちがう。立ち向かうとか、殻を破るとか、そんな話じゃない。今後の作品も楽しみ。

  • 先生らしくない魅力的な人見先生と衝動的になりやすい正木くんとの学生ライフ

    心身が大きく成長する中学生という時期もポイント!
    成長過程にあるということは不安定であるということであり、それも相まって人見先生の魅力に振り回されているのかな

    全体を通して美しさと危うさが魅力として描かれていると思う

    人見先生やあらゆる人間関係に琥珀糖みたいなイメージを持った
    ガラスのようにきれいだけど簡単にクシャッと壊れるような脆さ、それが美しい

  • 思春期の心の機微がとても誠実に描かれていると感じました。この本を読むことで、自身を肯定されたように感じる人がきっといることでしょう。

  • 少し変わった理科の先生への執着と、クラスに馴染みきれないどこか浮いた空気。ちゃんと歩いてるのに綱渡りしてるみたいな空気がずっと漂っていて、ひりひりする

  • 久々にこういう道徳の教科書に乗りそうな物語を読んだなぁ。

  • 理科の先生に惹かれる女子生徒と男子生徒のお話。思春期ならではの憧れなのか恋なのかわからない感情。先生の異動で幕引き。白衣の裏側には秘密が。

  • 反発する理由はむしろ、その人にわかって欲しいから。好きだからこそとってしまう、自分でもよくわからない行動。本当は単純なことなのに…。先生と中学生2人のバランスが、なんとも絶妙でした。

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著者プロフィール

1984年、埼玉県生まれ。武蔵大学経済学部経営学科卒業。東京都在住。『ぼくたちのリアル』で第56回講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。同作は児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2017年度青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年の部の課題図書に選定された。『ゆかいな床井くん』で第57回野間児童文芸賞を受賞。その他の作品に『十一月のマーブル』『理科準備室のヴィーナス』『ぼくの、ミギ』『レインボールームのエマ』『すし屋のすてきな春原さん』 (以上、講談社)、『トリコロールをさがして』(ポプラ社)、『しかくいまち』(理論社)、『れんこちゃんのさがしもの』(福音館書店)、『ジャノメ』(静山社)などがある。

「2023年 『ぼくらは星を見つけた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

戸森しるこの作品

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