絢爛たる奔流

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 28
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206594

作品紹介・あらすじ

戦国から江戸へ時代が移り変わる慶長年間、京都に「水運の父」と呼ばれた男がいた。豪商・角倉了以。
了以は金融業や海外貿易で得た莫大な資金を投じ、京の都をさらなる繁栄に導くため、大堰川や高瀬川を開削する大プロジェクトに挑む。
江戸幕府の命により、さらに大規模な富士川や天竜川にも手を広げることに。
偉大な了以を支えながらも、自らは書や文芸に親しむ生活に魅力を感じていた息子・与一。
角倉親子の挑戦の年月を描く、長編歴史時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 角倉了以。
    名前は見たことがあるのです。確か秀吉の頃?何をした人?そもそもカドクラだと思い込んでいたし。
    正しくはスミノクラ、江戸初期(近い!)の京都で茶屋四郎次郎、後藤庄三郎らと並んで「京の三長者」と呼ばれた人物でした。元々角倉家の商売は土倉(質屋・金貸し)ですが、了以はツルハシと綱を持った木像が残されてる様に河川改修~水運業が有名で、この物語も彼が行った山城の大堰川、駿河の富士川、そして京都の高瀬川の開削の話です。
    同じように川の改修を扱った歴史小説に帚木蓬生の『水神』が有りますが、それと比べるとどうしても小粒な感じがします。困窮する農民を救うため私財を投げ打ち、文字通り命を掛けて用水路を作った『水神』の五庄屋に対し、了以の河川改修は京都の民衆の為と言いつつ、しっかり店の利益や死後の名声を計算した上での事業ですから。
    面白いのは了以の息子・与一の存在です。上司の無茶振りでオタオタする中間管理職的人物が主人公というのが岩井さんのお得意ですが、川の改修に店の限界を超えて巨額投資を行う破天荒な父を横目に、必死で店の存続を図る学者肌の与一がひょっとしたらこの作品の主人公なのかもしれません。
    ややまどろっこしい所は有りますが、ちょっと異色で面白い歴史小説でした。

  • 角倉了以。その息子与一。
    大堰川、富士川、高瀬川。
    すんなり読めた。爆走する親父、苦労する息子。
    親父は天命を果たして満足な人生か。
    息子も満足できたようで良かった。

  • 与一こと角倉素庵がなんとも気の毒。
    隠居した筈の父・了以が次から次へと新事業を起こし、トラブル対処に尻拭いに追われる。でもって手堅く家業は守らにゃならんがために、唯一の道楽、嵯峨本も道半ばで諦めざるを得ない。更に娘は難病患い。
    偉人の周りにはこういうヒトの支えがあるんである。

  • 水運業を開いた角倉了以父子。
    事業を広げ過ぎてしまう商人肌の父。息子は学者肌で造本の道楽。娘は不治の病でふさぎがち。

    父子の確執は破綻的なものではない。
    趣味の世界を手放して、一生かけてやり遂げる仕事に邁進しはじめた息子の決断の下り、こころに響くものがあった。

    序盤が退屈なので読み投げしようと思ったが、読み終えてよかった。

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著者プロフィール

1958年岐阜県生まれ。一橋大学卒業。1996年「一所懸命」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。98年『簒奪者』で歴史群像大賞、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞、04年『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞、08年『清佑、ただいま在庄』で中山義秀賞、14年『異国合戦 蒙古襲来異聞』で本屋が選ぶ時代小説大賞2014をそれぞれ受賞。『太閤の巨いなる遺命』『天下を計る』『情け深くあれ』など著書多数。

「2017年 『絢爛たる奔流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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