それ自体が奇跡

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206730

作品紹介・あらすじ

田口夫妻が勤める百貨店で唯一の定休日である元日。夫の貢が「本気のサッカーがしたい」と宣言し、妻の綾が「絶対ダメ」と反対したことから、二人の波乱の一年が幕を開けた。

会社のサッカー部が廃止になり、くすぶっていた貢の元を、大学の先輩だという立花が訪れた。サッカーチーム「カピターレ東京」に入団し、東京23区で初めてのJリーグ入りを共に目指してほしいと熱心に勧誘される。報酬ゼロなのに本気のサッカーへの誘いに心を動かされた貢は、その場で「やります」と返事をしていた。

高卒で百貨店に入社して13年、そろそろ子どもを産みたい、と考えていた綾は、夫の突然の宣言に異を唱える。特にイヤだったのは、それが相談ではなく事後報告だったことだ。夫との関係がぎくしゃくしたせいか、綾は仕事で初歩的なミスをしてしまうが、それがきっかけで客の天野と知り合い、二人で映画に行くことに……。

30歳、結婚3年め、共働き。
夫が本気の夢を追い始め、妻は別の男に惹かれ始めた。
初めて訪れた危機を、田口夫妻は乗り越えられるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 結婚は、それ自体が奇跡だと思います。人が人を認める。紙切れ一枚で、あなたのことがほかの誰よりも好きだと公的に表明する。表明してもらえる。それは人として大きな自信になります。

  • こんな風に生きていけたらなと思います。
    自分には到底無理だからこういうタイトルになるのかな。
    羨ましいですね。

  • 夫婦三部作 第三作

  • 同じデパートで、婦人服売り場を担当している旦那と紳士服売り場を担当している妻の物語だった。

    旦那は今までサッカーをやっていて、大学の時にはサッカー部のキャプテンだった。また会社のサッカー部も入ったが、その部は潰れてしまい、プロを目指す別のチームからスカウトされ、妻に相談せずに自己判断でそのチームに入団した。仕事と趣味であるサッカーを両道しようとしていた。
    妻は旦那が相談してくれなかったことにショックを受け、仕事で些細な事でもミスを起こしてしまう。

    そのことがきっかけで夫婦関係がギクシャクしてしまった。ギクシャクしている最中に夫婦共々色々な人と関わって変わっていった。

    展開が遅く、また登場人物のややこしい設定が所々あり混乱したため途中で読むのをやめた。

  • 結婚3年目で、同じ百貨店で働いている貢と綾。
    そろそろ子供を…と考え始めた綾にある日、貢は「サッカーをやりたいんだよね」と言われた日から、夫婦のすれ違いが始まる。
    途中の貢の言葉に「結婚はそれ自体が奇跡。紙切れ一枚で、あなたが他の誰よりもすきだと公的に表明し、表明してもらえる。それは人として大きな自信になる」というのがあって、うまく噛み合わなくなっても、初心を思い出せばまた歯車があってきたりすることもあるなぁと思いました。

  • 「その愛の程度」「近いはずの人」に続く夫婦三部作のラストを飾る作品。

    百貨店に勤める夫婦の転機。

    始まりの日
    迷走の三月
    反感の四月
    奔走の五月
    共感の六月
    暴走の七月
    直感の八月
    迷走の九月
    痛感の十月
    並走の十一月
    交感の十二月
    始まりの日

    百貨店に勤める田口貢・綾夫妻。

    学生時代サッカーに専念していた貢にプロを目指すチームからのオファーがあり、綾に相談なくチーム参加を決めてしまう。

    サッカーと仕事の両立は大変で、綾も紳士的なお客さんとの寄り道をしそうに。

    現実と理想で揺れ動く田口夫妻。

    2人の未来は?


    夫婦三部作とは知らずに最終作を先に読んでしまいました。

    夫婦という英単語がないところや、紙一枚で公にパートナーを好きと宣言するところの件など、小野寺さんの良いとこ詰まってます。

  • 31歳、百貨店勤務の夫貢が、プロを目指すサッカーのクラブチームで本気をサッカーをすると言い出した。
    同じ百貨店に勤務する妻綾は、それを応援することが出来ない。
    そんな夫婦の1年の物語。

    著者の作品の登場人物の、メインの女性は、ちょっと気が強めであまり好感の持てるタイプではないことが多く、今回綾にも気持ちを添えることが出来なかった。
    子供がいたとしたら、私も綾のように反対したと思うが、この2人は子供がいないのだから、応援してあげて欲しかったなと思う。
    一方貢は、淡々とサッカー向き合い、仕事も頑張っていて好感が持てる。

    1年を経て、2人の絆は深まった様子ではあったけれど、名古屋に行ってしまうんだ…と少し意外な感じがしてしまった。
    貢のフォローをすることを選ばない綾には、やっぱり共感出来ないかも。

  •  面白かった。そして上手いと思った。

     さりげない表現ながら貢と綾のその時々の表情までも浮かんでくるよう。
     試合の描写も臨場感があり見事。

     予想通りの展開だったが、薄っぺらな感じは全くなかった。

  • サッカーの小説ってあんまり読んだ事なかったけど、年を取ってまた真剣にサッカーをやる⚽️サラリーマンサッカー⚽️って題材身近に感じた。たしかにレベルは違えど、サッカーの、試合が始まったら普段の嫌な事や仕事の事なんて、何一つ考えないし、アドレナリンでてたら、痛みとかも感じないしね。若い頃のようにプレーできなくなっても、怪我のリスクがあっても、⚽️試合ってやりたくなるんだよね。おれも会社のサッカー部には最近参加してないけど、同年代でやれるクラブでも入ろうか?悩んでいた時に出会えた小説です。仕事以外にも何かに打ち込めるって幸せな時間の過ごし方だよね。

  • 結婚4年目子供なし。
    夫がサッカーに情熱を注ぎ 少しギクシャクし始めた夫婦の話。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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