叢書 東アジアの近現代史 第2巻 対立と共存の日中関係史――共和国としての中国 (叢書東アジアの近現代史)

著者 :
  • 講談社
3.67
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 30
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206990

作品紹介・あらすじ

日清・日露戦争以後、日中戦争を経て、戦後の日中国交正常化に至るまで。
ともすれば日中対立の時代として描かれる二〇世紀中国の歴史を、俯瞰して描く力作。

清朝の時代の「君主国」から、西欧的な国際関係に中に組み込まれ、「共和国」として生きるプロセスとは、どのようなものであったか。そこで生みだれる日中関係の複雑な様相とは。

日露戦争から日中国交正常化までを、「憲政」=共和国への道という中国の歴史を補助線として、国際関係の中で描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「叢書 東アジアの近現代史」の第2巻である本書は、1904年の日露戦争直前から1972年の日中国交正常化直後までの日中関係が対立と緊張の関係にあった約70年間を対象とし、日中対立あるいは日中没交渉ととらえられがちなこの時期の中国史を憲法と憲政を補助線にした共和国の歴史として描き直すことを意図している。
    近現代中国史を振り返る上で、これまであまり顧みられることがなかった「憲政」という観点を持ち込んだことが本書の特色である。現在の共産党一極体制下の中国からは想像できないが、近現代中国において立憲主義を定着させようという動きが脈々とあったということを確認することができた。また、清末から民国にかけて一貫して美濃部達吉が注目され続けるなど、中国の憲政論において日本の影響が少なからずあったということも興味深かった。

  •  書名のイメージとは異なり、「憲政」を軸にした清末から1970年代PRCまでの中国史だった。このように清末、民国期、PRCの連続性を捉えるのが最近の研究の趨勢か。
     筆者が言う憲政は、もちろん単に憲法があるということではなく、法の支配や自由の保障等による近代立憲主義であり、民国「三段階論」の最終型の憲政とも重なるものを指しているようである。他方、PRC建国当初の体制も新民主主義や社会主義憲政と呼び、何とか憲政の一端ではあると位置付けている。
     憲政史は清末、1908年の欽定憲法大綱の発布に始まり、08憲章に至るまでの「中国憲政100年史」という捉え方。軍政・訓政の民国期でも憲政を求める動きがあったこと。抗日ナショナリズムがこの動きと結び付いたこと。等、新しい視点の連続だった。以前、訓政期国民党の「党国体制」を、PRCでの共産党のそれと同一視する本を読んだが、本書は同じ時期を裏側から描いたように感じる。
     他方、物足りないというか自分の理解が不十分な部分も若干残った。筆者は「ナショナリズム」と「リベラリズム」をそもそも対立しがちなものと考えているようだが、これらの語は多義的なだけに、筆者が言うこれらの語は何を指すのか。また日中戦争時、訓政の民国期では抗日と憲政が結び付いた一方で、朝鮮戦争及びその直後のPRCでは戦時体制強化の必要性から急速な社会主義化、すなわち憲政にはマイナスの方向に向かっているが、その違いは何なのか。

  • 徳治から法治、仁政から憲政へと、中国が近代国家を模索しながらも、結局成し得ていない歴史を辿っています。
    結局向かうべき方向が、共産党独裁という違った方向に行ってしまいましたが、西洋的憲政というのは、元々根付かないお国柄だったのでしょうか。
    一枚岩でない中国の歴史は複雑ですね。

  • 東2法経図・開架 222.07A/N37t//K

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科准教授

「2020年 『近代中国の日本書翻訳出版史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村元哉の作品

ツイートする
×