青空に飛ぶ

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  • 講談社 (2017年8月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (298ページ) / ISBN・EAN: 9784062207096

作品紹介・あらすじ

終わらないいじめ。理解されない苦しみ。人生に絶望し、自殺を考える少年・萩原友人。彼が出会ったのは、太平洋戦争時、9回にも及ぶ特攻から生還を果たした佐々木友次さんだった。「どうして、そんなに苦しい状況で、“生きよう”と思い続けられたんだろう」佐々木が所属した万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しづつ前を向き始めるが……。


2015年10月。中学2年生の萩原友人は、伯母の住む札幌を訪れる。それはいじめられる日々からの束の間の逃避であった。友人はひょんなことから伯母の勤務する病院に神風特攻隊の有名人・佐々木友次が入院していることを知る。
いじめの苦しさから逃れるため、自殺を試みるも思いとどまった友人は、伯母の勤める病院に向かい、佐々木の病室を見つける。佐々木は9回特攻に出撃し、9回とも生還したのだという。特攻隊と佐々木に関心を持った友人は、古本屋で『陸軍特別攻撃隊』を手にする。そこに書かれていたのは、敵艦への体当たりという任務を負った万朶隊の物語であった。

みんなの感想まとめ

テーマは、いじめや戦争という重い現実に直面した少年の成長と希望です。主人公の萩原友人は、いじめに苦しむ日々から逃れるために訪れた札幌で、特攻隊員の佐々木友次と出会い、彼の生き様に触れることで少しずつ心...

感想・レビュー・書評

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  • 鴻上尚史さんの「ほがらか人生相談」という本を読んだことがあって、エッセイストかと思っていました。調べてみたら、劇作家・演出家なんですね。「ほがらか人生相談」は皮肉がきいていてとっても面白かったので、図書館でこの本を見つけて、お、ちゃんとした小説っぽい。と思って手に取りました。表紙をよく見れば気づいたはずなのですが、少年の後ろに特攻機が描かれているので、現代の少年が特攻隊について考えていく物語…なんですが、気づかずに適当に手に取って読み始めました。

    さて、主人公の少年は、中学校で壮絶ないじめに遭っている。アメリカからの帰国して、日本の学校に転入したところ、陰湿ないじめがあった(他の男の子がいじめられていた)。おかしい、恐ろしいと思いながら、なんとか周囲に合わせて学校生活を送っていた主人公だが、その男の子が自殺したあと、今度は自分がいじめられる側になる。
    このいじめの物語は、昭和ならいざ知らず、令和の今、こんないじめは絶対にない、と私は思う。鴻上さんともあろう方が(というのは私の勝手なイメージだが)、現代の中学生のリアルを無視しすぎではないかと思う。今の子どもたちはこんなあからさまないじめはしないし、学校(教員)も保護者も、いじめの未然防止に真剣に取り組んでいる。ここまで深刻ないじめが野放しのはずがないです。
    学級ではいじめられる1人対いじめる35人(?)という構図ができあがっていて、いじめているクラスメイトたちは誰一人先生や親に報告したりせず、秘密を隠し通しているが、そんなことも絶対にありえない。35人もいれば絶対にだれか大人に報告してくれる!しかもグループLINE内でのいじめもあっているが、中学生のスマホは、一定数の家庭ではちゃんと親がチェックするから、絶対に大人がイジメに気づく。
    長年中学校の教員をしているので、その辺りがツッコミどころが満載だった。
    …っていうか、え?こんないじめ、本当にある?ないと信じたいよ…。かつては学校がいじめを隠そうとする構造が確かにあったが、今は、少なくとも私の地域では絶対にない。いじめの気配がチラっとでもあったら、全職員で共有してつぶしにかかる。保護者からいじめではないか?という相談があったら、もう、いじめありきで対応する。

    はい、現代のパートについてのツッコミが長くなりましたが、特攻の物語についても書きます。

    主人公の友希は、いじめられつつ、夏休みに北海道を訪れ、伯母の病院に入院している佐々木さんという元特攻隊員を知る。「特攻隊をやれ」と、上級生に突撃させられるといういじめを受けていたこともあり、友希は佐々木さんに興味をそそられ、本を借りて読み、特攻について知っていく。
    そこからは友希の現実と、本による特攻の回想が交互に物語られる。特攻について描かれた新書・小説・エッセイ・手記など、これまでにもたくさん読んだことはあるが、佐々木さんは特殊で、非常に興味深かった。あとがきにあるが、ほぼ、事実をもとに描いてあるらしい。戦争末期の特攻は、片道分の燃料しかなく、一度出撃したら特攻が成功しようとしまいと、搭乗員は死ぬしかなかった、と思っていたが、佐々木さんは9回も特攻を命じられながら、生きて帰ってきたのだ。
    それがどんな事情だったのかが詳しく描かれている。
    佐々木さんはちゃんと、「無駄死にはしない」という強い意志をもっていた。
    一言で特攻と言っても、色々な隊があり、いろいろな上官(指揮官)がおり、いろいろなタイプの特攻機があったのだ。佐々木さんがあてがわれた特攻機の描写は、生々しくて胸が痛かった。

    最期まで読んで、あとがきを読んで、著者が実在の佐々木さんにインタビューし、絶版になった佐々木さんの特攻の記録などを元に史実に忠実に描いたと知って、特攻の記録としての本の価値も非常に大きいと思いました。
    若い人たちにも読んでほしいです。

  • 昔の戦争時代と現代のいじめそれぞれの描写。とっても重い内容。でも、学べることはたくさんあった。この作品のポイントは「同調圧力にいかに抗うか」だと思う。周りが正しいと言っていることとは逆のことをやるというのは、とても勇気と意志が必要。
    表題が「青空に飛ぶ」。結果的に、主人公の友人くんが新しい環境に、希望をもって羽ばたいていく結末でホッとした。

  • 読むのにこんなにパワーいる本、あります?

    本の感想とはいえないけどどうしても書いときたい。

    酷いというより残酷なイジメのシーン。
    これはイジメの酷さを把握させるために導入部で必要なだけよね?と思ったら、どんどん酷いいじめを挟み込んでくる。
    シンドイ。
    こちらも吐きそうになる。
    今のイジメってこんな風なの?

    イジメを受ける側、主人公の両親の立場になっても辛いけど、
    ここには書かれていない、イジメている子の親がこれを知った時、どんな気持ちになってどんな行動をおこすのか…ふと考えたら
    胃がギュッと握り潰されるような気持ちになりました。
    本編には全く関係ないけど。

    イジメはなにも解決されてない。
    イジメている子達にはなんの救済もない。
    そして、イジメられていた友人がいなくなった教室からは
    また新しい生贄がでるのかと思うと、指先が痺れるほど恐ろしい。

    でも読んでよかった。
    頑張ったよ…

  • 友人の受けていたいじめがとにかく酷くて、ものすごく辛い読書になりました。
    友人のパートはフィクションとの事ですが、どこかでこのようなことが起こっているのかもしれないと思うと、胸が苦しくなります。

    親は気づけないものなのでしょうか。
    親には言いたくないものなのでしょうか。

    我が子のその時代をなんとか無事に通り過ぎた親の立場として、あらゆるいじめがなくなることを祈らずにはいられません。

    生きてさえいれば、いつか良いことはある。
    友人が最終的に死を選ばずにすんで本当によかったと思います。

    特攻のパート、他の書物でも読んでいましたが、陸軍の特攻の話は初めてで新たな知識として、いい体験となりました。
    戦争という不幸な出来事も、今後起こしてはいけないと思います。

  • しんどかった。
    最初は、特攻のほうの宣伝文に興味を持って手にしました。
    でも、衝撃だったのは主人公の生活のほうでした。

    戦時中の状況や感情は正直想像もできないけれど、いじめのシーンは本当につらくて直視できず、本を何回もとじたり、飛ばして読んでから戻ったりして少しずつ進めていくしかなかった。読むのやめようかと思ったくらいだった。
    結局加害側は、被害側が死んでも逃げても特に変わらない。しまいには武勇伝のように当時を語り、平然と社会に出て結婚して子をもうけたりするんだろう。理不尽な上司もそう。その時々の多数派の声もそう。機能しない組織もそう。思考停止して、他者を攻撃することで自分を正当化して生きてる。

    逃げて生きよう。
    自分で、考えなくてはいけない。
    親も教師も、時には友と思う相手も的外れなことを言う。
    時には裏切る。
    時には本気で、見当違いなことを問題にする。

    そんなのに構っている時間はない。
    寿命がつきるまで、どう考えどう生きるか、考えよう。

    友人(ともひと)が自分で行き先を決めたことにとても爽快感があった。友次さんに会いたいと行動できたところ。飛び出して死ねなくてでも知りたいと歩み続けたところ。自分で南の島への転校を決めたこと。全部大きな財産になる。いじめていた側や保身体質の学校が無理に変わる結末じゃなかったことが、逆に生きていくことへの道標になっていたように思えました。

    軍隊に身を置いてなお、同調圧力に流されない。
    引きずられるように仲間が死んでいく中で、考えて、意見して、行動した。そのうち、理解してくれる人もいた。

    佐々木さんは聡明で、強さをもち、自分を持ち、腕を磨いていた。
    生きながらえたからこそ味わった苦しさもあったことでしょう。
    本を通してでも、佐々木さんに出逢えてよかったです。


    ちなみに主人公が選んだ鳩間中学校。
    実在するんですね。
    詳しくは調べてないですが、これも、選択肢。
    生きよう。

  • 元特攻隊員の佐々木友次さんの話をはじめて知りました。一度は死亡で上に報告してしまったのだから、(訂正することはできない)次は死んでこいというメチャクチャな言い分がまかりとおるのは戦時中の話だけではなくて、現在もなんだろう。

  • 2018.3.20-

    いじめのシーンは本当に読むのが辛かった。
    学校の対応、先生の言葉に愕然とした。
    最後は学校側やクラスメイトも変わるのではという仄かな期待も、現実はそうではなかった。

    9回も特攻を生き抜いた佐々木友次さんも、きっとこんな風に地獄を耐えてきた。
    友人くんは佐々木さんに会えたこと、『陸軍特別攻撃隊』を手にしたことに、運命を感じる。

    寿命は自分で決めるものではない。
    という佐々木さんの言葉。

    あなたが生き抜いたことには意味がある。しなくてはならないことがある。だから生き抜いてください。
    という岩本大尉のお父さんの言葉。

    多くの子ども達に読んで欲しい、知って欲しい本だった。

  • 鴻上アニキの作品は舞台書物を問わず好んで見てきたが今回ばかりはなんでこんな胸糞悪い話を書いたんだろうと正直読むことを止めようかとも思った。
    いじめのシーンはエグすぎて正視に耐えずそれ以前にいじめと特攻がなぜ同列に扱われるのか全く理解出来なかった。しかし最後まで読んで始めてアニキの意図することがわかった。
    それは死ぬか逃げるかどちらかしか選択肢がなく自分の力ではどうすることも出来ない状況に陥ったときには「逃げて生きろ」と言う強いメッセージだったのだ。
    敗戦の屈辱と引き換えに取り戻した平和はいつの間にこんなに捻じ曲がってしまったのだろう…悲しくてとてもやりきれない

  • 今年は戦後80年目の節目の年ですね。
    特攻隊として、散った若き英霊に感謝したく、思いました。

  • 読んで良かった。実在した特攻隊員の方の話も良かった。

  • 皆さんが書いているように、読むのがつらい話でした。
    いじめが解決して終わるのではなく、逃げて終わるのが、かえって真実味があった。
    その後、このクラスでは別のいじめが始まっているのだろうか…

    札幌に住んでいながら、佐々木友次さんが札幌の病院で亡くなったことや、当別町にお墓があることを知らなかった。

    折りしも今日は終戦記念日。
    合掌

  • とても読みやすい作品。戦争という理不尽な世界を生き抜いた男性の強さを感じた。ほぼノンフィクションというのは現代を生きる私にとって信じがたい。辛い時また読みたい。

  • 素晴らしい本
    いじめの描写で怒りと悲しみを感じずにはいられないので穏やかに読み進めることは無理だ。
    日本の校則の問題にも触れている。
    鴻上さんがずっと扱ってきた内容だ。

  • 2019.12.14市立図書館→文庫本購入(20201.14)
    「不死身の特攻兵」でとりあげられた佐々木友次さんを書いたティーンズ向きの小説ということでどんなものかな?と気軽に読み始めてみたら、主人公は小学校高学年をアメリカですごしたいわゆる帰国生の少年で、冒頭いきなり壮絶ないじめから自殺を思い詰める(がけっきょく思いとどまる)というきつい展開でびっくりさせられた。文字を目で追っているだけなのに、胃がぎゅっと縮んだり息が苦しくなったり、へとへとになる。主人公がひょんなことから興味を持って読み始めた特攻隊についての本からの引用と、主人公の受けてきた過去と現在進行形の過酷ないじめが交互に語られるが、戦時下の特攻隊、軍隊も理不尽でひどかったというけれど、現代の学校の巧妙で陰湿ないじめはそれにさえ負けないぐらいの地獄絵図ではないか?「声をあげて」「学校に行かなくていい」「にげろ」などと簡単にいうけれど、それがどれだけの覚悟のいることか、それができないということがなにを意味しているのか、とあれこれ考えさせられた。特攻隊と並行して語られて何ら違和感もない(むしろ苦しみや痛みがリアルに伝わってくる)この現実。読み終えて、「特攻隊」は終わっていないんだ、現代のわたしたちもあの時代と地続きの世界を生きているのだと思わずにはいられなかった。

    「思い詰めて死に場所を探していた少年が、生き残り特攻兵の老人とであったことで生きていく勇気をもらう」とまとめてしまうといいお話に聞こえるけれど、それでわかった気にならずに、ぜんぶ読んで自分の心身で追体験しなければほんとうにはわからないだろう。現実に少なからずいる理不尽にいじめられて絶望しかかっている子どもだけでなく、老若問わずいじめをはじめとした理不尽の横行をゆるしてしまっている今の社会への、著者なりのメッセージなのだと感じた。
    主人公のその後の「また別の物語」ももう書かれているのだろうか、いつか読めるだろうか。

    ***
    読みながら「この本きつい、『鏡の孤城』みたいな感じで」と話したら、「青空に飛ぶってさ、そういうこと?」とやたら察しのいい中3次女が興味を持って、あっというまに読み終えた(特攻隊関係の部分はだいぶ読み飛ばしたらしいが)。やはり読み終えたあと自分一人で抱えているのはしんどいような内容だった(しかもわたしがまだ達していない後半部分は序盤よりもさらにきついらしい)ということだった。

  • いじめがそれほど本格的でなかった時代に育って良かったと思える内容。今の学生さんは本当に大変。こんな中からどうやって生きていけばいいのか、想像を絶する。下手に親が手出しをすると悪化するというのも恐ろしい。親にできることは、子供を抱きしめるぐらいなのだろうか。

  • いじめと特攻。
    自ら死を選ぼうとする主人公と、国から死を命じられた軍人。
    組織の恐ろしさを感じると同時に、子どもの悩みに気づけない親の無力さを感じた。
    怖い話ではあるが、自分の意志を持って生きることの大切さを考えさせられた。

  • 2018/09/14読了
    3.5

  • 90やっぱりイジメの話は辛いね。特攻との関連がチト薄いかも

  • 2018_06_08-065

  • いきなりのいじめがあり、困惑しながら読み進めています。
    「特攻隊ゲーム」といういじめと本物の特攻隊員、佐々木氏が9回以上死に直面して生きて帰ってきた話。
    それぞれが交互に書かれ、いじめでは主人公が死ぬしかないと考え、佐々木氏は死を選ばない生き方をしてきた。実際の戦争場面といじめの場面とがどれも重苦しく、それでも読み進めて行きたくなりました。(いつもは辛い話だったりいやな気持を感じると読むのを止めます)

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著者プロフィール

鴻上尚史(こうかみ しょうじ)
作家・演出家。愛媛県生まれ。早稲田大学法学部出身。
1981 年に劇団「第三舞台」を結成し、以降、数多くの作・演出を手がける。
これまで紀伊國屋演劇賞、岸田國士戯曲賞、読売文学賞など受賞。舞台公演の他には、エッセイスト、小説家、テレビ番組司会、ラジオ・パーソナリティ、映画監督など幅広く活動。また、俳優育成のためのワークショップや講義も精力的に行うほか、表現、演技、演出などに関する書籍を多数発表している。桐朋学園芸術短期大学名誉教授。 昭和音楽大学客員教授。四国学院大学客員教授。

「2025年 『サヨナラソング 帰ってきた鶴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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