有楽斎の戦

著者 :
  • 講談社
3.23
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本棚登録 : 77
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207119

作品紹介・あらすじ

信長、秀吉、家康だけじゃない
――私だって、いるんだよっ!

戦国は、英雄だけで語れない。
戦国随一の「トリックスター」織田有楽斎は、
「本能寺の変」「関ヶ原の戦い」「大坂の陣」でどう戦ったのか。
島井宗室、小早川秀秋、松平忠直も登場する、
前代未聞の戦国小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 織田信長の弟として生まれた織田源五郎長益。茶の道に魅了された戦をのぞまぬ武士の戦とは

    6本の短編で構成されています。
    そのうちの3本がこの織田源五郎長益の本能寺の変、関ヶ原の戦い、関ヶ原後の話。その間に博多の豪商鳥井宗室の話と小早川秀秋の話と松平忠直の話がはさまっています。
    どの主人公も大河ドラマの主人公には到底ならないわき役あるいは端役キャラ(小早川秀秋はヒールかな?)。
    小早川秀秋以外は知らない人だったせいか、いまいちお話がピンとこなかったし、描かれ方も一人称のわりにとてもかっこよくはなくて感情移入もできず。
    織田長益も小早川秀秋も松平忠直も、歴史に残る逸話では腰抜けだったり卑怯者だったり暴君だったり裏切り者だったりしているのがキモのようです。
    あまり聞こえのよくない逸話に関して「これは史実か?戦に勝利したものが都合よくかきかえたのではないか?」とそれを覆すものに編みなおすという趣向というか。

    これを読むときは登場人物の逸話などを頭に入れてからどうぞ。

    • goya626さん
      有楽斎は、興味深い人物です。他の作家も、この人物について小説を書いていますね。犬山に有楽亭があります。
      有楽斎は、興味深い人物です。他の作家も、この人物について小説を書いていますね。犬山に有楽亭があります。
      2020/08/14
    • 越智さん
      goya626さま、いらっしゃいませ!
      わたし、この人の存在を全く知らなくて、この本になって、ブクログに感想が載って、それでやっと読んで初...
      goya626さま、いらっしゃいませ!
      わたし、この人の存在を全く知らなくて、この本になって、ブクログに感想が載って、それでやっと読んで初めて知ったのです。
      織田の直系男子でありながら、秀吉につき、家康につきしたところがミステリアスなんですかね。goya626さまおすすめの作品があれば教えていただければ嬉しいです。
      歴史小説は自分でチョイスしないから、全然わからない・・・。ブクログが頼みの綱なんです。
      ともあれ、コメントありがとうございました!
      2020/08/14
  • 本能寺の変、関ケ原の戦い、大坂の陣を舞台に、有楽斎と島井宗室、有楽斎と小早川秀秋、有楽斎と松平忠直を対比させた短編集。信長の弟なれど武名はゼロ、文化を愛し武を憎むが、部名無きゆえに蔑まれ、一念発起して関ケ原で武名を求めるも世評は変わらず。”いずれ大坂の城は焼け落ちる。江戸城とて、いつか誰かに攻め落とされるかもしれない。だが、私の茶の湯と茶室は世に残り続ける。それこそが、私を嗤い続けた者たちへの、最高の復讐ではないか。”(p.140)と思い極めたところが有楽斎の真骨頂か。武ばかり尊ばれた世には埋もれても、現代人の心性から見ると、自分が大事、保身したい、武に屈せず、文を守りたいというところは親しみやすいのではと思った。「茶の湯は、政の道具などではない。先人たちが血の滲む思いで美を追求し、名物を作り上げ、様式を整えてきた、長い長い歴史の積み重ねなのだ。」(p.65)という島井宗室。朝鮮の役で戦にめざめ、関が原も最後の最後までどちらにつくか決めず、どのタイミングが一番効果を与えられ、歴史に残る大戦の勝敗を決するかだけを測っていたという秀秋像。大阪の陣にあって祖父家康への怒りにふるえ、最後の最後まで徳川と豊臣を天秤にかけていた忠直像も魅力的だった。

  • なかなかおもしろかった!桃山ビートトライブの人やったんやな。なんか、めちゃめちゃうまくなった印象。ビートトライブ、ほぼ覚えてないけど。
    陽の当たりにくい人たちをいろんな目線から書いた感じで、色んなことをみんな考えながらやったんやなと。
    かくすれば、かくなるものとしりながら、やむにやまれぬ大和魂、って感じかな

  • 連作短編集。織田有楽斎は、本能寺の変、関ヶ原の戦い、大坂の陣でどう戦ったのか。
    織田有楽斎ともう1人の武者の視点で描く。

  • 「有楽斎の戦」(天野純希)を読んだ。
    面白い!参ったなあ。次から次へと新たな才能を抱えた実力者が出てくるのだな。
    織田有楽斎かぁ。天下人の大戦に翻弄されながらも自分自身の戦を全うする視点が新鮮だし、戦場面での筆致も躍動している。
    伊東潤氏に加えて天野純希氏もチェックの要ありか。

  • 戦国短編集。あとで見たら、決戦!シリーズに収録済みの作品4つと、表題を含む2つの書き下ろしでした。主人公は織田信長の弟、有楽斎のが3編、ほか博多商人の島井宗室、小早川秀秋、家康の次男で庶子の結城秀康の息子、松平忠直がそれぞれ一編ずつ。流れでいくと、本能寺から豊臣家が滅びた大坂夏の陣までとなるけど、正直主人公が微妙すぎて、結局その微妙な主人公を主人公たらしめる新たな視点や切り口も微妙すぎて、なんでこいつらなんだという感覚が抜けきらず、最後まで消化不良だった。

  • 短編を6編。有楽斎と宗室と秀秋と忠直。兄・信長と比べて平凡な人である有楽斎。最後はとにかくお茶ができればよい。で、首尾一貫している。秀秋と忠直の秀逸さが新鮮。

  • これは普通だったな。

  • 本能寺の変・関ヶ原・大阪夏の陣の短編集。
    それぞれを織田長益こと茶人・有楽斎さんと、あとひとり武将誰かの視線から。
    チョイスは割と評判の良くない(お気の毒)武将。
    まぁ、長益くん自体ヘタレとして伝えられてるしね。
    武将サイドでは小早川秀秋のキャラ設定が秀逸でした。

    いまの時代だったら、けっこうフツーに幸せに生きられただろうに、戦国の世で織田信長の弟=淀君のおじさんであったが為にたいへんたいへん。
    生き死に賭けて出世するよか数寄の道に身をおいてたい。
    なのになかなか思う通りにもいかず、信長に豊臣に家康に翻弄され。
    でもまぁ、けっこうラスト楽しそうで(笑)よかったよかった。
    どんな時代でどんな立場にあろうとも、
    自分にとって「いちばんだいじなもの」が何かを知っているひとは
    本当の意味で強くあることができるんだなぁ。

  • 信長の弟として生まれた有楽斎。
    本能寺の変、関ヶ原の戦い、大坂の陣を生き抜く。
    嗤われようと蔑まれようと己の道を進むのみ。
    「大阪の陣 忠直の檻」家康の孫の忠直からすれば憎き豊臣、憎き真田となる。
    ここにも己を信じ乱世を生き抜く者がいた。
    読み応えあり。

    大河ドラマ『真田丸』で織田有楽斎を演じていたのは井上順さん。
    「有楽斎は、織田信長の実弟。自分が豊臣と徳川の懸け橋になろうというのが、
    一番の願いだったに違いありません」と、井上順さん。
    なるほど。胡散臭い男というイメージの有楽斎も、
    太平の世を願っていたということか。

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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