風神雷神 風の章

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 222
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207157

作品紹介・あらすじ

評判の扇屋「俵屋」の後継ぎとして大旦那の養子となった伊年は、秀吉が開催した醍醐の花見で見た屏風絵や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪る。彼が絵付けをする「俵屋」の扇は日に日に評判を増していた。伊年が平家納経の修繕を頼まれ描いた表紙絵は、書の天才、本阿弥光悦の興味を惹く出来となる。伊年は嵯峨野で出版・印刷事業を始めた幼馴染みの角倉与一より、光悦が版下文字を書く日本語書物の下絵を描かないかと持ちかけられる。その料紙を手配するのは、これまた幼馴染みの紙屋宗二。かくして本朝の美と叡智の粋を結集した「嵯峨本」が完成した。次に、伊年が下絵を描き、光悦が書をしたためた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が完成。京の知識人はもちろん、伊年自身もその出来に驚嘆し、涙を流す。その後光悦に鷹峯へ共に移住しないか問われた伊年は、嘗て観た阿国の舞台や来し方を脳裏に浮かべ、誘いを断り、俵屋を継ぐ決意をした。

京都国立博物館120周年記念 特別展覧会「国宝」クーポン付き!

カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達)
表紙:重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(所蔵):京都国立博物館(本阿弥光悦/俵屋宗達)
口絵:国宝「平家納経 願文見返し『鹿図』」(所蔵):嚴島神社(俵屋宗達)
以上三点をカラー掲載した豪華造本!

感想・レビュー・書評

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  • 有名な、「風神雷神図屏風」を描いた、俵屋宗達のお話。実在した人物をとてもリアルに描いてあるので、「ノンフィクション??」と思ってしまう。ちょこちょこ入る、現代人への解説のせいもある。小説として入り込むには、この解説部分はちょっと邪魔に思うときもある。

    しかし、読むうちに、やはりこの解説のおかげで、楽しみながら知識が身につく(この解説がある程度間違っていないのならば)ことがわかってくる。
    そもそも、この有名な絵が、誰によって描かれたかもわかっていなかった読者A(私)の頭にも、時代背景、作者俵屋宗達の生い立ち、人となり、当時の他の様々な美術品の知識や、行事、人々の暮らしぶりなどがすーっと入ってくる。

    上巻にあたる、この「風の章」では、宗達の前半生が語られる。

  • 一芸に秀でた人は時に、"○○馬鹿"と呼ばれることがある。
    一つの事しか視界に入らないのだ。
    京の扇屋「俵屋(たわらや)」の大旦那・仁三郎は、跡継ぎたる息子がいない。
    ある日、本家の末息子・伊年を養子として連れて来た。
    何時間でも飽きずに絵を描き続ける集中力、長じるうちには、扇に図案を配するセンスが目利きの客に喜ばれるようになった。
    しかし、絵を描く以外はぼんやりとして、とても商家の若旦那としてやって行けそうに無い。
    一番番頭の喜助は行く末を案じるが、大旦那は自分の見立て通りであったと喜ぶばかり。

    戦国の世が終わりかけ、解放されたエネルギーが、文化や芸能に向かう時期だった。
    出雲阿国との不思議な縁、平家納経の修復作業、本阿弥光悦とのめぐり合いを通じ、伊年の世界は徐々に開かれていく。

    友人、角倉与一が印刷所を起こしたことから、本阿弥光悦の書、紙屋宗二の料紙、俵屋伊年の下絵の三位一体の芸術が大人気を博し、伊年は次第に家業の扇の仕事からは遠ざかる。

    しかし、光悦とのコラボレーションは、絡み合い、刺激し合いながら独りではたどり着けなかった芸術の高みへと伊年を押し上げてくれるものであった。
    仁三郎が見出し、光悦が花開かせた、伊年の才能と言ってもいい。
    彼にとっては無くてはならない出会いだったのだ。
    だが、やがて邯鄲の夢から醒める時が来た。

  • 読みづらい作品かと思ったが、本阿弥光悦、俵屋宗達の作品作りなど、わかりやすく書かれていて、続きが気になる。

  • こんなに読みやすい歴史小説は久し振り!
    感想は下巻で。

  • 俵屋宗達の半生を描く。
    ふだんはちょっと抜けてるのに、絵に対する没頭ぶりはすさまじい。伊年が魅力的。
    ひとつひとつの案件が、絵師としての課題をつきつけ、それを乗り越えることで、新たなステージへと進んでいく。新しい芸術が生まれるわくわくをともに楽しめる。
    紙屋や豪商といった幼馴染も描くことで、絵以外の切り口があり、広い視野の物語になっている。
    下巻も楽しみ。

  • 物語半分、解説半分の構成が理解し易さになっている、俵屋宗達の伝記。
    解説に頁がかなり割かれているのに、人物像もしっかり浮かんでくるのは流石。

    一 醍醐の花見
    二 御用絵師と絵職人
    三 出雲阿国
    四 若者たち
    五 平家納経修理
    六 二つの天下一
    七 本阿弥光悦
    八 紙師宗二
    九 豊国大明神臨時大祭
    十 嵯峨本
    十一 鶴下絵三十六歌仙和歌巻
    十二 阿国ふたたび
    十三 鷹峯

    十四 扇は都たわら屋
    十五 烏丸光広
    十六 養源院
    十七 みつ
    十八 蔦の細道図屏風
    十九 紫衣事件
    二十 法橋宗達
    二十一 関屋澪標図屏風
    二十二 天駆ける
    二十三 鎖国令
    二十四 流星群
    二十五 風神雷神

  • 2018.6.24.読了俵屋宗達が養子として迎えられた時から、扇絵に夢中になる姿。出雲阿国との運命的な出会い、本阿弥光悦との交流、時代は豊臣の天下から関ヶ原を経て権力は徳川幕府に移っていく。
    淡々と事実を書いていく感じで、また、現代的な描写もあり、読みやすかったが物語としてはちょっと物足らない部分もあったかな…と思ったのだが…雷の章へ

  • 伊年の才能が仁三郎に拾い上げられ、本阿弥光悦に導かれ高みへ導かれる。歴史の波を生き抜く光悦の誘いを断ったのは、伊年なのか神なのか。

  • 柳広司にはめずらしい歴史小説。意外の感に打ちのめされたオープニングの醍醐の花見。犬神人(いぬじにん)の飛礫など、まだ見ぬ不思議な世界の言辞が飛び交う。加えて主人公は謎の絵師俵屋宗達。興味ひかれまくりですこぶるそそられた。脇を支える人たちも凄い。本阿弥光悦、出雲阿国、紙屋宗二、角倉了以・・・闊達な江戸の息遣いそのままに活き活きと江戸の世を生ききる姿が眩い。地上の権力を意に介さない美や文化を希求する文化人。彼らの一挙手一投足がこれまた粋で格好良すぎる。雷の章へは息つく間もなく進ませられた。

  • “扇屋「俵屋」の養子となった伊年は、醍醐の花見や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪っていた。俵屋の扇は日に日に評判を上げ、伊年は「平家納経」の修理を任される。万能の文化人・本阿弥光悦が版下文字を書く「嵯峨本」「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」下絵での天才との共同作業を経て、伊年の筆はますます冴える。”―内容紹介より。

    カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達)
    表紙:重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(所蔵):京都国立博物館(本阿弥光悦/俵屋宗達)
    口絵:国宝「平家納経 願文見返し『鹿図』」(所蔵):嚴島神社(俵屋宗達)

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プロフィール

一九六七年生まれ。二○○一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。○九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』は、『ジョーカー・ゲーム』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。主著に「ジョーカーゲーム」シリーズ、『ロマンス』『楽園の蝶』『象は忘れない』などがある。

「2017年 『風神雷神 雷の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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