風神雷神 風の章

著者 : 柳広司
  • 講談社 (2017年8月30日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207157

作品紹介

評判の扇屋「俵屋」の後継ぎとして大旦那の養子となった伊年は、秀吉が開催した醍醐の花見で見た屏風絵や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪る。彼が絵付けをする「俵屋」の扇は日に日に評判を増していた。伊年が平家納経の修繕を頼まれ描いた表紙絵は、書の天才、本阿弥光悦の興味を惹く出来となる。伊年は嵯峨野で出版・印刷事業を始めた幼馴染みの角倉与一より、光悦が版下文字を書く日本語書物の下絵を描かないかと持ちかけられる。その料紙を手配するのは、これまた幼馴染みの紙屋宗二。かくして本朝の美と叡智の粋を結集した「嵯峨本」が完成した。次に、伊年が下絵を描き、光悦が書をしたためた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が完成。京の知識人はもちろん、伊年自身もその出来に驚嘆し、涙を流す。その後光悦に鷹峯へ共に移住しないか問われた伊年は、嘗て観た阿国の舞台や来し方を脳裏に浮かべ、誘いを断り、俵屋を継ぐ決意をした。

京都国立博物館120周年記念 特別展覧会「国宝」クーポン付き!

カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達)
表紙:重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(所蔵):京都国立博物館(本阿弥光悦/俵屋宗達)
口絵:国宝「平家納経 願文見返し『鹿図』」(所蔵):嚴島神社(俵屋宗達)
以上三点をカラー掲載した豪華造本!

風神雷神 風の章の感想・レビュー・書評

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  • 一芸に秀でた人は時に、"○○馬鹿"と呼ばれることがある。
    一つの事しか視界に入らないのだ。
    京の扇屋「俵屋(たわらや)」の大旦那・仁三郎は、跡継ぎたる息子がいない。
    ある日、本家の末息子・伊年を養子として連れて来た。
    何時間でも飽きずに絵を描き続ける集中力、長じるうちには、扇に図案を配するセンスが目利きの客に喜ばれるようになった。
    しかし、絵を描く以外はぼんやりとして、とても商家の若旦那としてやって行けそうに無い。
    一番番頭の喜助は行く末を案じるが、大旦那は自分の見立て通りであったと喜ぶばかり。

    戦国の世が終わりかけ、解放されたエネルギーが、文化や芸能に向かう時期だった。
    出雲阿国との不思議な縁、平家納経の修復作業、本阿弥光悦とのめぐり合いを通じ、伊年の世界は徐々に開かれていく。

    友人、角倉与一が印刷所を起こしたことから、本阿弥光悦の書、紙屋宗二の料紙、俵屋伊年の下絵の三位一体の芸術が大人気を博し、伊年は次第に家業の扇の仕事からは遠ざかる。

    しかし、光悦とのコラボレーションは、絡み合い、刺激し合いながら独りではたどり着けなかった芸術の高みへと伊年を押し上げてくれるものであった。
    仁三郎が見出し、光悦が花開かせた、伊年の才能と言ってもいい。
    彼にとっては無くてはならない出会いだったのだ。
    だが、やがて邯鄲の夢から醒める時が来た。

  • こんなに読みやすい歴史小説は久し振り!
    感想は下巻で。

  • 俵屋宗達の半生を描く。
    ふだんはちょっと抜けてるのに、絵に対する没頭ぶりはすさまじい。伊年が魅力的。
    ひとつひとつの案件が、絵師としての課題をつきつけ、それを乗り越えることで、新たなステージへと進んでいく。新しい芸術が生まれるわくわくをともに楽しめる。
    紙屋や豪商といった幼馴染も描くことで、絵以外の切り口があり、広い視野の物語になっている。
    下巻も楽しみ。

  • 2018.02.22読了

  • 俵屋宗達が主人公なのは珍しいですね。風の巻では有名な「鶴図下絵和歌巻」や嵯峨本の成立経緯が描かれるので、図録を手元にして読みました。秀吉の死から、豊国祭礼、出雲阿国など上手に時代背景も織り交ぜています。読みやすくライトな歴史小説ですね。雷の巻へ。

  • 評判の扇屋「俵屋」の後継ぎとして大旦那の養子となった伊年は、秀吉が開催した醍醐の花見で見た屏風絵や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪る。彼が絵付けをする「俵屋」の扇は日に日に評判を増していた。伊年が平家納経の修繕を頼まれ描いた表紙絵は、書の天才、本阿弥光悦の興味を惹く出来となる。伊年は嵯峨野で出版・印刷事業を始めた幼馴染みの角倉与一より、光悦が版下文字を書く日本語書物の下絵を描かないかと持ちかけられる。その料紙を手配するのは、これまた幼馴染みの紙屋宗二。かくして本朝の美と叡智の粋を結集した「嵯峨本」が完成した。次に、伊年が下絵を描き、光悦が書をしたためた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が完成した。

    最近流行のアート小説と時代小説を組み合わせたような感じですね。久しぶりに柳さんの作品読んだけど、やはりさくさく読めて良い。表紙がものすごく素敵。日本美術に詳しくないので、俵屋宗達の作品と聞いても名前知ってるなくらいしかピンときませんでした。でもすごい才能の人だったんだなぁ。絵と書と紙が合わさって作品になる、という当たり前のようで当時は全く当たり前ではなかったのに、4人の力で伝説を作ったのがすごい。直に一品ものを手に入れたお金持ち、羨ましい~~(笑)光悦の誘いを断り覚悟を決めた伊年がこれからどんな風に進んでいくのか楽しみ。

  • 江戸初期の絵師の俵屋宗達の物語の前編。

    宗達になる前の伊年の時の話で、出雲阿国や本阿弥光悦らの出会いを通じて扇絵師から時代を代表する絵師になるところまでですが、ウィキペディアで確認すると生没年不詳、「伊年」は号とありました。
    つまり、作品と同時代に生きた人たちの記録しかないと思われ、作者も想像の翼を思い切り広げられる人物だったということでしょう。
    でも、本当にこのような人生だったと思われるところはうまいです。

  • 俵屋宗達の一生を上下卷で描く.本阿弥光悦との嵯峨本や出雲阿国とのエピソードなどが書かれている.

  • 連載ゆえの説明臭い文章だが、風神雷神図屏風に風神雷神を描いたパラダイムシフト(もしくはコペ転)は興味深い。おもしろかった。

  • 宗達になる前の伊年の本阿弥光悦と出会って扇の絵から絵巻物の下絵として花開く様子がワクワクした.

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