風神雷神 風の章

著者 :
  • 講談社
3.79
  • (13)
  • (37)
  • (25)
  • (2)
  • (0)
  • 本棚登録 :202
  • レビュー :40
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207157

作品紹介・あらすじ

評判の扇屋「俵屋」の後継ぎとして大旦那の養子となった伊年は、秀吉が開催した醍醐の花見で見た屏風絵や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪る。彼が絵付けをする「俵屋」の扇は日に日に評判を増していた。伊年が平家納経の修繕を頼まれ描いた表紙絵は、書の天才、本阿弥光悦の興味を惹く出来となる。伊年は嵯峨野で出版・印刷事業を始めた幼馴染みの角倉与一より、光悦が版下文字を書く日本語書物の下絵を描かないかと持ちかけられる。その料紙を手配するのは、これまた幼馴染みの紙屋宗二。かくして本朝の美と叡智の粋を結集した「嵯峨本」が完成した。次に、伊年が下絵を描き、光悦が書をしたためた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が完成。京の知識人はもちろん、伊年自身もその出来に驚嘆し、涙を流す。その後光悦に鷹峯へ共に移住しないか問われた伊年は、嘗て観た阿国の舞台や来し方を脳裏に浮かべ、誘いを断り、俵屋を継ぐ決意をした。

京都国立博物館120周年記念 特別展覧会「国宝」クーポン付き!

カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達)
表紙:重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(所蔵):京都国立博物館(本阿弥光悦/俵屋宗達)
口絵:国宝「平家納経 願文見返し『鹿図』」(所蔵):嚴島神社(俵屋宗達)
以上三点をカラー掲載した豪華造本!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 有名な、「風神雷神図屏風」を描いた、俵屋宗達のお話。実在した人物をとてもリアルに描いてあるので、「ノンフィクション??」と思ってしまう。ちょこちょこ入る、現代人への解説のせいもある。小説として入り込むには、この解説部分はちょっと邪魔に思うときもある。

    しかし、読むうちに、やはりこの解説のおかげで、楽しみながら知識が身につく(この解説がある程度間違っていないのならば)ことがわかってくる。
    そもそも、この有名な絵が、誰によって描かれたかもわかっていなかった読者A(私)の頭にも、時代背景、作者俵屋宗達の生い立ち、人となり、当時の他の様々な美術品の知識や、行事、人々の暮らしぶりなどがすーっと入ってくる。

    上巻にあたる、この「風の章」では、宗達の前半生が語られる。

  • 一芸に秀でた人は時に、"○○馬鹿"と呼ばれることがある。
    一つの事しか視界に入らないのだ。
    京の扇屋「俵屋(たわらや)」の大旦那・仁三郎は、跡継ぎたる息子がいない。
    ある日、本家の末息子・伊年を養子として連れて来た。
    何時間でも飽きずに絵を描き続ける集中力、長じるうちには、扇に図案を配するセンスが目利きの客に喜ばれるようになった。
    しかし、絵を描く以外はぼんやりとして、とても商家の若旦那としてやって行けそうに無い。
    一番番頭の喜助は行く末を案じるが、大旦那は自分の見立て通りであったと喜ぶばかり。

    戦国の世が終わりかけ、解放されたエネルギーが、文化や芸能に向かう時期だった。
    出雲阿国との不思議な縁、平家納経の修復作業、本阿弥光悦とのめぐり合いを通じ、伊年の世界は徐々に開かれていく。

    友人、角倉与一が印刷所を起こしたことから、本阿弥光悦の書、紙屋宗二の料紙、俵屋伊年の下絵の三位一体の芸術が大人気を博し、伊年は次第に家業の扇の仕事からは遠ざかる。

    しかし、光悦とのコラボレーションは、絡み合い、刺激し合いながら独りではたどり着けなかった芸術の高みへと伊年を押し上げてくれるものであった。
    仁三郎が見出し、光悦が花開かせた、伊年の才能と言ってもいい。
    彼にとっては無くてはならない出会いだったのだ。
    だが、やがて邯鄲の夢から醒める時が来た。

  • 読みづらい作品かと思ったが、本阿弥光悦、俵屋宗達の作品作りなど、わかりやすく書かれていて、続きが気になる。

  • こんなに読みやすい歴史小説は久し振り!
    感想は下巻で。

  • 俵屋宗達の半生を描く。
    ふだんはちょっと抜けてるのに、絵に対する没頭ぶりはすさまじい。伊年が魅力的。
    ひとつひとつの案件が、絵師としての課題をつきつけ、それを乗り越えることで、新たなステージへと進んでいく。新しい芸術が生まれるわくわくをともに楽しめる。
    紙屋や豪商といった幼馴染も描くことで、絵以外の切り口があり、広い視野の物語になっている。
    下巻も楽しみ。

  • 俵屋宗達について(正確に言うと「日本の絵画」について)調べていたところにタイムリーに発見したこの小説。以前、「等伯(直木賞受賞)」という長谷川等伯をモデルにした小説がありましたが、似たような感じですね。

    おそらく、たぶん、絶対!脚色してありますが、作品の系譜や時代背景をつかむためには小説は良いかも。(本を書くためにはあくまでも参考程度ですが。。。笑)

    しかし、幻の絵師(作中では「絵屋」と「絵師」を明確に区別しており、宗達は「絵屋」ということに)と言われているけど、人柄を感じるにはよかったかな。

  • 2018.4.2

  • 雷の章にて。

  • 俵屋宗達(伊年)の物語。いつか俵屋の店を継ぐと言われているが、あまりにぼーっとしているせいで誰にも若旦那とは呼ばれない。いい絵があると聞くと、ちょっと出かける、と言って店をほったらかして安芸国まで出かけたことも。番頭は困りきっているが、俵屋主人はそんな伊年を温かく見守っている。いい環境で育ったなぁ。幼馴染の紙屋宗二と角倉与一、そして近寄りがたかった本阿弥光悦。彼らがたまたま近くに住んでいたということも、奇跡のようだ。上巻の山場は平家納経の鹿の絵と、本阿弥光悦との鶴下絵三十六歌仙和歌巻。実物を見たくなる。

  • 芸術が影響力の大きさから、為政者に利用されたり、活動の場を制限されたりと知らないことばかりだった。まるで歴史小説を読んでいるかのようだった。

全40件中 1 - 10件を表示

柳広司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

風神雷神 風の章を本棚に登録しているひと

ツイートする