風神雷神 雷の章

著者 : 柳広司
  • 講談社 (2017年8月30日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062207164

作品紹介

万能の天才・本阿弥光悦からの鷹峯移住を断り、京で「俵屋」を継いだ宗達は、堺の商家の娘・みつを娶り、二人の子を生した。都で一番の扇屋の主人として忙しく働いていたある日、名門公卿の烏丸光広が前触れもなく俵屋を訊ねてくる。烏丸光弘の手引きで養源院に唐獅子図・白象図を、相国寺に蔦の細道図屏風を完成させる。後水尾天皇から法橋の位を与えられ、禁中に立ち入れるようになった宗達は、さらなる名品を模写する機会を得、その筆をますます研ぎ澄ませる。日本の絵画に革命を起こした関屋澪標図屏風、舞楽図屏風、そして風神雷神図屏風――世界が憧れた謎の絵師はいかにして生まれ、没したのか。美術界きっての謎が斬新かつ丹念に描かれる。

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カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達)
表紙:重要文化財「舞楽図屏風」(所蔵):醍醐寺(俵屋宗達)
口絵:重要文化財「白象図」(所蔵):養源院(俵屋宗達)
以上をカラー掲載した豪華造本!

風神雷神 雷の章の感想・レビュー・書評

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  • 京の扇屋・俵屋の若旦那・伊年は、店を継いで現実の世界に生きることを決意する。
    先代が用いていた号をもらい、宗達と名乗ることになった。
    『俵屋宗達』の誕生である。

    古くから店に伝わる意匠や図柄を職人たちに公開し、良い扇絵を描いてもらう。
    職人の絵付けはすべて宗達が目を通し、店に出すものを決める。
    人付き合いは苦手だったが、店表にも立ち、店主の義務として会合に出席し、必要ならば頭も下げた。
    扇だけではなく、絵の注文も受け、扇面屏風や絵巻、貝絵、カルタなど、ちょっとお洒落なものも、戦乱が収まった開放感が広がる京の人々には良く売れた。
    宗達は、商人としても成功したのである。

    しかし、才能を見出す目というものが、彼を市井の中には放って置かなかった。
    本阿弥光悦に代わって、宗達の中に眠るものを引き出す者。
    烏丸光広という、自由すぎるお公家さん。
    「絵には"ええ絵"と"つまらん絵"があるだけ。わかる人にはわかる」
    という光広の言葉は、まさにこれに尽きる。

    あらゆる貴族の屋敷に眠る名品・門外不出品を宗達に模写をさせ、挙句は禁中に出入りする資格「法橋(ほうきょう)」の位まで手に入れさせ、宗達の頭の中の引き出しにネタをせっせと仕込むとともに、難しい条件の絵の注文を持ってきては、試練を与えた。

    烏丸光広の存在なくしては、宗達は新しい扉を開けることができなかっただろう。
    時々は、光悦との仕事もする。
    「新しい発想」を恐れる幕府が、安定と引き換えに不自由な法を次々に定め、鎖国を進め、窮屈な世の中になってしまう瀬戸際の時代。
    まさに、黄金の時代だった。

    天才は一代限り。
    一人、また一人と滅していくラストはやはり寂しいが、時を置けば、必ず新しい天才が現れることを、後の時代に生きる私たちは知っている。
    天才の世界に遊ばせてもらう手引きとなる、わくわくする本だった。

  • 万能の天才・本阿弥光悦からの鷹峯移住を断り、京で「俵屋」を継いだ宗達は、堺の商家の娘・みつを娶り、二人の子を生した。都で一番の扇屋の主人として忙しく働いていたある日、名門公卿の烏丸光広が前触れもなく俵屋を訊ねてくる。烏丸光弘の手引きで養源院に唐獅子図・白象図を、相国寺に蔦の細道図屏風を完成させる。後水尾天皇から法橋の位を与えられ、禁中に立ち入れるようになった宗達は、さらなる名品を模写する機会を得、その筆をますます研ぎ澄ませる。日本の絵画に革命を起こした関屋澪標図屏風、舞楽図屏風、そして風神雷神図屏風――世界が憧れた謎の絵師はいかにして生まれ、没したのか。美術界きっての謎が斬新かつ丹念に描かれる。

    もともと類稀な才能がある宗達ですが、自分を養子にして育ててくれた養父に恩を返す気持ちで家業を継ぐことに専念し、光悦との高みを目指す生活にはいったん幕が閉じます。でもそこから烏丸光広という公家が登場して、彼をさらに引っ張っていく。決して才能だけではなく、運命というか縁というか、周りの環境があって初めて彼のダイナミックで素晴らしい作品は生まれたのだなと思う。現在有名な画家でも当時は売れずに苦しんだ人もいる中で、かなり恵まれている。表紙の風神雷神図屏風はもちろん、他の作品も見たくなる。図録と一緒に読みたい。

  • ★★★☆

    把宗達的人生分成兩部分,扇屋俵屋養子伊年和兒時玩伴紙屋宗二、角倉與一的關係,造成日後在紙屋的關係偶然協助了平家那經的修理,接著角倉的印刷事業(征朝有印刷業俘虜)嵯峨本光悅指定宗達,接著是各種和歌卷的製作。後來光悅帶著一族前往鷹峰,因為絕對權力者忌諱宗教和藝術那種無懼世俗權力的部分,宗達拒絕了其邀約,人生進入第二階段。宗達認識了烏丸光廣之後,開始有很多機會進入各公家甚至是獲得法橋職位,在光廣的引薦之下看到很多好作品,當時德川家給公家四倍收入,導致公家泡沫景氣也大量想蒐集作品,宗達有好機會看作品,生意也蒸蒸日上,開始接很多屏風等作品,也和光廣有很多合作,或者水墨的作品。

    這兩卷就小說而言,說明(作者本人)太過繁多,而就身為一本小說的深度來說,個人認為文學性並不足,人物的刻化和思想都有點何となく的感覺,並不深刻,只是表面帶過而已。相較作者第一本書給我的驚豔感,這本書毋寧說讓我覺得有些失望。當然要寫到嵯峨野明月記那樣的高度確實是很困難,只是希望作者的人物刻畫能夠更有深度。這兩本書中規中矩地把宗達的作品和時代演進都認真地排好寫進書中,但是感覺上也太過中規中矩;另外構成例如出現阿國的梗也沒有充分利用到的感覺,前面讓人有種莫名奇妙的感覺,宗達拒絕光悅去鷹峰那裏也是有點莫名其妙(作者也寫說宗達自己也不知道為何會拒絕,不過這點到最後也都沒寫出說服力)。然後蔦の細道屏風,這個我非常喜歡的屏風,其來源倒是有點凹的感覺,說烏丸光廣和相國寺和尚嗆聲,不過相國寺有牧谿觀音圖??當然還有一開始去廣島修理平家納經的突然性和隨意性,我覺得不太有說服力。其中的情節我喜歡阿國隨著右近去東南亞,然後巡迴演出二十幾年這個構想,不過其他倒沒有太多新奇之處。至於作者指出(是否其創見就不得而知,姑且當作其見解,如果不是或許這本書只值三顆星),關屋澪標屏風是三寶院指定不要出現女性的選擇,裏屏風(倒折)的話就會出現明石和須磨,這點我倒是很感興趣。另外還有作者提到屏風是遮風,雷除け的東西,所以這個宗達最後的遺作,在上面居然畫風神雷神,是非常破天荒的主題選擇(確實,大家避之唯恐不及2k的怨靈神--雷神,被宗達弄成從此以後親民的代表和畫題),這個角度倒是讓我感到比較新鮮。另外說養源院因為宗達的畫之後鎮住不再鬧鬼了,不知道是作者的發明還是真的。

    最後收尾的地方,宗達妻和阿國、光悅女兒冴在三寶院庭園賞櫻,也看到了風神雷神圖,冴最終才揭露當初看到宗達害怕的原因是覺得看到"鬼",阿國也說宗達應該也有這樣的臉,所以才會幫他畫鬼臉。怎麼覺得作者好像想寫一些很深的東西,但卻最終僅歸於表面?這些小地方暴露了筆力仍有待加強,要是遇上野上◎◎子鐵定會被電。總之結論是調查資料還算充足,作品也還OK,但是還看不到大家的車尾燈。宗達太偉大,要描寫他的作品應該也要有足夠的深度,然而這本書並沒有相應的重厚和昂揚感,甚感可惜。

  • 江戸初期の絵師の俵屋宗達の物語の後編。

    烏丸光宏との出会いで絵師として昇華していくところは臨場感があり、宗達の絵は直にみたくなりました。
    ラストの女性3人の下りは〆として申し分ないと思います。

  • 上巻を読み終わって、本阿弥光悦の娘「冴」とどうなるのか気になってググって見たけど俵屋宗達の生涯って不明なのね。
    生没年すら判らない。
    つまり此の小説は殆ど創作な訳だ。
    それにしては上手い。
    上巻はボンヤリした若旦那から、覚醒するまで。
    人付き合いも苦手そうに見えるのに幼馴染に恵まれ、本阿弥光悦に導かれ烏丸光広に更なる高みに引き上げられる。
    絵を描きあげるきっかけ、工夫、制作秘話が著名な絵ごとに詳細に描かれる。
    凄いね、これ。全部著者の想像なんだよ。
    下巻は覚醒後の目覚ましい活躍ぶり。
    奥様は「みつ」なんだけど、端整な美人との描写がある「冴」との仲も気になり、此の時代の著名人「出雲の阿国」とも怪しい。
    古今東西、仕事のできる人はモテるのだ。
    音楽を文字にするのは難しい。絵を文章にするのも難しい。作者はあまり微に入り細に入り絵の様子は描写していない。雰囲気だ。
    絵を知っていれば尚よし、知らなかったら見に行かんかい、って感じだ。
    私は幸い、昨年京都で開催された「琳派展」で幾つか現物を観た。展覧会の目玉になっていたのは本作の表紙にもなっている「風神雷神図」だ。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の3作品が一堂に会するあり得ない光景だったのだが、一際人だかりがしていたのが、俵屋宗達作品だ。本作でもエンディングを飾る屏風として出てくる。宗達に関わった女3人の此の絵に対する三者三様の捉え方が凄く面白い。
    上巻の「冴」の謎の行動が此処で、こんなところで明かされる。「みつ」は長年連れ添った夫婦らしい捉え方、「阿国」は芸術家らしい捉え方。醍醐寺で始まり醍醐寺で終わる。
    最後の一行、

    ーーーほんま、ええ絵や。

    が深い余韻を残す。ホンマにええ話や。

  • 宗達は俵屋を継ぎ商いにも本腰を入れるようになる.最後の風神雷神屏風まで.宗達が初めから天才絵師として描かれているためその成長といった要素は少なくエピソードの羅列のようになっているのが少し残念.

  • 最後の風神雷神図が有名すぎるのか,最後の説明はあっけなくバタバタと終わった感があるが,それまでの絵の説明と人物の関わり方はとても面白かった.

  • おや?! なぜ雷の章に風神の絵? 風の章には雷神の絵だった~宗達を名乗り堺の豪商から妻を娶り、京一の扇屋と言われ絵屋も名乗り、二人の娘を得て連れ出した祇園会で大雨に降られ、店先にずぶ濡れの客を迎えた。名門公卿の烏丸光弘に、伏見城で豊臣方に殺された者の地が染みついた板を天井に使っている養源院の板絵を頼まれ、容器に唐獅子と白像を描いた。光弘は宗達を京のあちこちに引っ張り回して名画を模写させ、相国寺に伊勢物語から蔦の細道図屏風を納めて天皇から法橋の地位を貰い、禁中門外不出の名品を模写することも可能になった。醍醐寺の覚定から女人の出てこない源氏物語の絵を求められ、関屋澪標図を描き一種の騙し絵に仕上げた。光悦が亡くなり、宗達も隠居して次女の婿に継がせた後に取り掛かったのは舞楽図、納品して血を吐き死亡した作業場で見つかったのは楽しげな鬼の図、風神雷神図だった~風神雷神は引退後の最後の最後に自分の意思で書いたモノを借りた伏見の醍醐寺で妻と光悦の娘と阿国が見たというオチにした。まあ巧く纏めましたけど事実とは異なるだろうなぁ

  • 上巻より一層読みやすかった。上巻では本阿弥光悦との出会い。そして下巻では烏丸光広との出会いが宗達を大きく成長させる。
    特に絵画の技術。
    自分一人ではみれない数々の絵画。
    その絵画を模写し技術を得る。
    そして自分のモノにする。
    「俵屋の」主人として家族の柱として頑張る一方でどんどん遅蒔きの成長を遂げる。
    そして3人の女性。
    出雲阿国、光悦の娘・冴、妻・みつ。
    阿国、冴は美術面におけるキーパーソン。
    みつは現実世界にいる宗達にとって大事な存在。
    「風神雷神図」の描写は案外あっさり。
    ただそこまで到達する宗達の姿はすさまじい。
    上下共に思ったのはこの宗達って周囲の人に凄く恵まれてるな。ということ。光悦・光広・2人の幼馴染、3人の女性、そして最初に絵のセンスを見出した養父。
    なんか凄くうらやましく思う。

  • 上巻は、本阿弥光悦からの高峯同行の誘いを断ったところで終わったので、その引っ張りを期待したのに。あれ⁇
    絵職人から芸術の高みへーーーその誘惑を振り切った背景は、ただのビビリかぁ…まあ、そのおかげで烏丸光弘と出会い、養源院の内装に絡めたのか。で、お次は相国寺の屏風と来たもんだ!
    「女人抜きの源氏物語」とか、絵描きって教養だけじゃなくて、ユーモアもヒネリも必要だったのね。
    幾分締まりのないラストだけど、まあ、主人公の死までちゃんと描きました…的な。

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