- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062207201
作品紹介・あらすじ
大学三年の一年間、モラトリアムに逃げこむように香港大学に留学したサホは、マイケルというABC(アメリカン・ボーン・チャイニーズ)と出会う。冴えない自分と、人気者の彼。付き合っているようで、本当のところはわからない。やがてマイケルは、奇妙な「秘密」を漏らすようになって――(「世界が終わる前に」)
17歳の夏休み、パナマに短期留学をすることになったハルナ。ホームステイ先では日本との習慣の違いに右往左往し、学校ではスペイン語が全く分からず困り果てる毎日。そのうえ、クラスで冴えないジェニファーがあれこれ世話を焼いてくるようになって、正直ちょっと迷惑なのだが……(「友達なんかじゃない」)
念願の世界一周旅行を始めた矢先、ボリビアで高山病になったリサを助けてくれたのは、同じく旅行中のコウさんだった。同じルートの少し先を旅するコウさんとは、会えそうでなかなか会えない。コウさんを追いかけて旅するうちに、リサの中で彼に伝えたい言葉が溢れてきて――(「世界一周鬼ごっこ」)
言葉や距離を超えて築かれる、友達とも恋人とも名づけられない“あなた”との関係。7通りの切ない人間模様を描く、はあちゅう初の小説集!
感想・レビュー・書評
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All stories are related to foreign country. After reading this book, I feel like to go abroad.
(えりりんさん)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ねぇ、ほんとわかるよ、と切に彼らに言いたくなる。本来、言語化したくないような生々しい感情や表現。でもこういうのって、いつも表には絶対に出さず、普段は何食わぬ顔で押し殺してる感情たちだ。
いろんな年齢での、あらゆる出逢いの短編集。年齢が異なるからこそ、出逢う人たちへの感情や感じ方・接し方がその時々で違っていて、それぞれにいちいち共感できる。
あとがきの言葉に妙に納得する。
「自己啓発本が人生に即効性のあるものだとすれば、小説やエッセイは、じわじわと時間をかけて効いてくる感じ」
まさに。この小説の中の、同じようなシーンがわたしの人生で起こった時に、わたしはきっと、彼らのことを思い出すんだろう。
みんな、どんなひとだって。孤独と闇を持っているのかもしれない。だとしたら、わたしの持っている孤独は、あるいは、わたしだけのものではないのかも、なんて思う。
なんだか心の深いところにすっ、と入ってきた短編集。 久しぶりにじっくりと、読み飛ばさず全て読み通した本。 -
読書始めたてな私にとって、短編集だから読みやすかった。名前のない関係性…曖昧でなんとも言えない美しさ、儚さがそこにはあるのでは無いか。そう思わさせる小説だった。
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7つの短編が入った小説。
どれもタイトルの通り、一時的に知り合い通り過ぎていく人との出会いの話。
コミュニケーションの中でもやっと不快に感じたりアウェイな環境での弱い立場など、誰もが感じたことのある心情がリアルに描かれていた。
旅の話が多く、旅をした友人から話を聞いているような。本を読むからこそ自分でできない体験が本を通してできるそんな一冊。 -
友達でも恋人でも夫婦でもない
“名前のつけられない人間関係”を描いた小説。
私も今まさに
名前のつけられない関係の人のことを
考える日々を送っていたので、
日本では名前がついてないだけなんだよ、と、
世界目線を提示してもらえたのがよかった。 -
180830 − 180906
ちょっぴり著者の人格とかを考えちゃった本でした。良いとか悪いとかではなくてね。 -
思ったより女流作家然とした短編集だったな…。
なんとも名状しがたい友情?親愛?で繋がった人達の切り取った日常。
さびしくてもはがゆくても、生きていくから、あなたのことを思い出す日があるよ。 -
いまどき女子っぽい。
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2017.12.27
早く読み進めたいような、でもなんだかページをめくるのが少し緊張するような・・そんな感じやった。
恋人でも友達でも家族でもない関係、もう二度と会うことはないだろうけど確かに存在したあの人との瞬間、ああなんかわかるかも、と。うまく説明できないけど、誰しもそういうことってあるんだなと思った。 -
ふんわり、優しい日記のような一冊。この年代だからこその表現や描写。数年後に読んだら、当時の気持ちが蘇るのか、全然違う気持ちになるのか。
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ずっと、こういう本が読みたかった。
わたしにもいるし、いたのです。
友達でもないし恋人でもない、なんて呼んだらいいのかわからないけど心地いい距離感の異性の知り合い。
で、ふと、その人と疎遠になっていくらか経ってからその人のことを思い出してみる。
あの時こんなこと言ってたなあ、あんな所作だったなあ、と。
そしてそれは振り返ってみると自分の人格形成にわりと影響されていたりする。
はあちゅうさんはエッセイのイメージだったけど、こういう小説もっと書いてほしいです。 -
本格的な文芸書籍で驚いた。一番のお気に入りは巻頭の「世界が終わる前に」一瞬の青春、どことなく現実離れした感覚、切なさ。文章力が素晴らしい。
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今まで通りすがった人との一期一会の柔らかい関係。
ふと思い出すこともあるし毎日の忙しさでうもれていたあの頃の関係。
自分にとっての「通りすがりのあなた」を思い出すいいきっかけになった本。もう今は連絡をとってないけどあの頃時間を共有した人。だれにでもそういう人はいると思う。
小説には「内容の没入感を心地よく与えてくれるもの」と「自分の経験から共感したり回想へ向かわせるもの」の2つがあるけどこれは両方兼ね備えている。
作者の海外経験から書いているのか描写がリアルで比較文化的な面白さもある。
ただ感覚としてはやや若い!と感じる。 -
主人公の女の子たちの、心に残してある秘密のようなお話を聞けました。悲しさだったりワクワクだったり切なさだったり感動だったり、くるくる動く気持ちを追体験できて、読んだ後に心が軽くなれます。じわじわと、染み込むように効いてくる短編小説で、好きです。
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#はあちゅう さん、初文芸作品、「群像」掲載の三作品を読んで、心惹かれたので、単行本も手に取る。名づけ得ぬ関係が愛おしく綴られる短編集。付き合ってるわけではないけど、海外勤務中に部屋を借りる。世界一周の途中で会って、追いかけたり、追って欲しかったりの関係。十八歳までイギリス人として成長した同級生の里帰りについて行き、日本にいる時とは関係が逆転したり。ルームシェアしている彼氏のところに転がり込んだときのふとしたルームメイトとの関係。パナマに留学した時の、同時期に行った男の子と、現地でぐいぐいと仲良くなろうとしてくれた子。知り合い、友達、恋人、夫婦、何かにつけはっきりと関係に名前をつけたがる空気に、こういう関係だっていいでしょ、と柔らかく差し出してくれるような。なんとなく、対話もあるんだけど、基本、20代前半女子から耳元でモノローグを聞いている感触。パナマ留学の話の、ちょっと意地悪な視点が印象にのこった。/「俺は、俺の人生を悪いほうに引きずりこむやつを、友達だとは思えない。」/
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思い出の話を聞いているような、心がすこし温かくなるお話したち