- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062207584
作品紹介・あらすじ
2014年、群馬大学医学部附属病院で手術を受けた患者8人が相次いで死亡したことが発覚した。
執刀したのは、40代男性医師・早瀬だった。
読売新聞医療部のエース・高梨記者は、この事実を察知。2014年11月にスクープ記事を放ったところから、医学界を揺るがす大スキャンダルがはじめて白日のもとにさらされた。
院内調査によって、さらに10人が死亡していたことが発覚。
技量の未熟な早瀬が、超一流外科医でも尻込みする言われた高難度の最先端手術に挑んだのはなぜなのか。
死亡例が積み重なるなかで、なぜ誰も早瀬の「暴走」を止めなかったのか。
その背景には、群馬大学病院内のポスト争い、学閥、セクハラ問題が影を落としていた――。
乱れ飛ぶ怪文書。
患者には知らされない、保険診療の闇。
旧帝大がいまだに力を振るう、医師会の勢力争い。
いまなおそびえ立つ、「白い巨塔」――。
高梨記者は一連の報道で日本新聞協会賞を受賞している。
感想・レビュー・書評
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この事件…ショッキングで覚えていたこともあって手に取りました。2014年群大病院で術後8人が相次いで死亡した事件…もう結構経っていたんだ…そう思いながら読み進めました。当時はニュースで報じられたことしかわからなかったので、こんなに奥深い事情があったのか…と驚きました…。でも一番心に残ったのは「遺族の物語」…大切な人が穏やかに過ごせるようにと望んでくぐった群大病院なのに、逆に苦しみながら短い命を閉じることになってしまったことになってしまい…あの時こうしていれば…と自身を責め続けてしまう…涙が出そうになりました。今後こんなことが繰り返されないよう、すべての人が安心して医療を受けられるような世の中になってほしい…と感じました!
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いかにも新聞記者ぽい、調査報告のような文体。
専門用語や肩書きの羅列に読んでいて目がクラクラ。
ジャーナリズム的なドキドキ感は感じられなかった。 -
読んでいる間中、年表が欲しいと思っていた。話が時系列でなく行ったり来たりなので年表と組織図があればもっとスムーズに読めたのに。
大学病院もカイシャで医師もヒトであるということ。お金やら功名心やらが先に立てば、本来の医療の意味を見失うってこと。 -
現実にあってはならない悲劇が、大病院の権威を守るため、そして派閥争いのために起きてしまった。
終始患者不在の医療機関の対応には憤りを覚える。
医学の挑戦は必要であり、かつ執刀医は一定の意識をもって事に当たっていたのかもしれないが、インフォームドコンセントは最低限必要であるはずで、命を守る医師の責任といった基本に立ち返って診療してもらいたいと強く感じた。 -
著者は、群馬大学病院で相次いだ死亡事故をスクープ報道した読売新聞の記者。大学病院でかくも凄惨な医療実態が放置され、命を粗末にしてきたことに改めて驚愕し、何とも
やるせない思いと怒りを禁じ得ない。
新聞での報道に続き、徹底的な取材成果を本書で問うた著者の姿勢は、ありふれた表現だが、社会の木鐸という言葉がふさわしい。
本書の事例は医療事故・死亡事故という点で悲惨さが際立つが、タコツボ、自浄力の無さ、組織の理論の優先、見て見ぬふりの横行など、ある程度はどこの組織にも有り勝ちなこと。それ故に、一層の恐ろしさを感じた。 -
【OPACへのリンク先】【講座選定:外科学講座 肝胆膵・移植外科学分野】https://lib.asahikawa-med.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&bibid=2000109817
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内容は、かなり重い。医療事故とは、医療人に必要なものとは何か、医療従事者の甘えをこれでもかと読売記者である著者が書き連ねている。
特に、看護師の日記が一番読んでいて辛かった。 -
素晴らしい医療ドキュメント、よくぞここまで事実に肉薄し、医療界の本質を描写。
さすがお茶の水女子大学と、属性を讃えるのは不適正。しかも読売新聞記者。
→大いに感動した! あらゆる現場に通じる分析だと思う。
失敗を直視するという「胆力」が本質
医者はまだまだ「傲慢」、それは命を預かる医療専門家として「神」に近い存在。
それが医者の裁量権乱用をもたらすとともに、患者の犠牲につながる。
「腹腔鏡手術」という新天地に、医者たちは己の功名をかけて殺到した
そのとき、患者はモルモットと同じ存在
「医療安全管理」がなににもまして優先される
倫理審査委員会
保険適用外
臨床試験扱い
費用負担は病院の試験研究費
「退院すること無き死亡例」をきちんと検証することが、真の医療の進歩につながる
銀行で言えば「倒産先向けの貸出」それは「融資事故調査」ではないはず