奔流恐るるにたらず 重蔵始末(八)完結篇

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  • 講談社
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062208031

作品紹介・あらすじ

八歳で四書五経をそらんじ、十四歳で十三経に達した俊英でありながら、普段は傍若無人で傲岸不遜な近藤重蔵。五度にわたる蝦夷地巡見を終えた後は大坂弓奉行となって大塩平八郎の知己を得るなどするが、息子・富蔵ともどもの悪口乱行がたたり、ついに役なしの小普請入りとなる。
学識豊かな学者であり、あくなき探検家でもあった重蔵の、あまりにも意外なその後の道行きは。そして、生涯の宿敵となった女賊りよとの最後の対決は──。
ハードボイルドや警察小説で活躍していた著者が2000年に初めて挑んだ時代小説が、堂々たる代表作となった。「重蔵始末」シリーズ、ついに完結。

感想・レビュー・書評

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  • 重蔵始末(八)完結編~オロシヤが長崎に現れて交易を求め、幕府がこれを突っぱねて、ロシア船は蝦夷地で乱暴狼藉を働いているとの報に、小普請組に入れられていた重蔵にお呼びが掛かり、幕府直轄となった西蝦夷を巡検することになった。勿論、団平や橋場余一郎も一緒だ。松前で船を買い上げ、クマイシ、ヨイチ、オタルナイ、イシカリと進んで、幕府の拠点を築くなら、サッポロがよいと考え、さらに北上してトマナイ、テシオ、宗谷まで来たが、リイシリには行けそうもない。しかし、利尻の山間部に隠れキリシタンがいて、女に率いられていると聞くと、何としても渡らねばならないと考えるのが重蔵だ。利尻に渡り、嫌がるアイノたちを宥め賺して山に登ると、まさに日本人がいた。団平が言葉を交わしたのは間違いなく「リよ」であり、逃げられたが重蔵に切り落とされた腕も生えていた。重蔵は長崎のオランダ医師に代わりの腕を付けて貰ったのだろうと言う。蝦夷地に戻って、棄教を促し、テシオ川を遡ることにアイノは反対しないが、剣淵川から山を越えて石狩川を下ることにアイノは猛反対する。通訳兼道案内として従ってきたアイノが操る船にしがみついて川を下ったが、案の定転覆して重蔵と団平は投げ出され、流れが緩やかになってきた場所で、必死に重蔵を押す団平の働きで、重蔵は拾われたが、団平は下流へ流され、カムイコタンの近くの洞穴に「りよ」の手で繋がれてしまった。捨てられた片袖を手掛かりに余一郎は団平を救ったが、それはりよの陽動作戦で、震えながら小屋にいた重蔵がりよに襲われていた。急ぎ戻った余一郎の働きで事なきを得て、江戸に戻った重蔵は家斉に目通りが叶うが、松前奉行所出役に任じられた二月後、紅葉山文庫での御書物奉行を拝命した。火事への備えのため、書物蔵の改修を筆頭老中の袖を握って直訴したため、閑職である大坂弓奉行に任じられたが、滝野川に文庫を、目黒の先の三田村に富士塚を築くために江戸を出ようとしない。完成し、後ろ盾である大目付に促されて大坂に赴任し、町奉行所の大塩平八郎と親交を深めるが、遊興癖は直らず、息子の富蔵は葵の紋服まで持ち出す始末。役を解かれて江戸に帰る際も、跡継ぎの富蔵は越後に修行に出された。団平は留守を守り、富士塚と隣接する蕎麦屋との揉め事も、余一郎が絡むことで大事にならずに済んだ。修行から帰ってきた富蔵は、隣のヤクザ紛いの蕎麦屋の挑発に乗り、亭主と息子二人、女房連も殺害し、八丈島に遠島の沙汰が下り、監督不行き届きで重蔵も江州大溝の大名分部家に預けとなった。団平は付き従って近江に赴き、中風になってあっという間に身罷った重蔵を見送る…~お父さんは亡くなる前に絵を仕上げていたんだね。豪快にして厄介な人物。毀誉褒貶相半ばする人物。幕末に壮年期を迎えていたら…と逢坂さんは思うらしい。富士塚の話は誰かの本で読んでいるが、佐藤雅美だろうか? 最後のりよが重蔵の墓前で自殺する件は如何なモノかねぇ

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著者プロフィール

逢坂 剛(おうさか ごう)
1943年、東京都生まれ。広告代理店勤務のかたわら、80年、「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、作家デビュー。87年、『カディスの赤い星』で直木賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞の三冠に輝く。その後も日本ミステリー文学大賞、吉川英治文学賞、毎日芸術賞を受賞。
著書に、『鏡影劇場』『平蔵の母』『百舌落とし』などがある。

「2021年 『矜持 警察小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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