コンタミ 科学汚染

著者 :
  • 講談社
3.42
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本棚登録 : 133
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209649

作品紹介・あらすじ

【注】 この本には、「信じたくない」真実が含まれています。

 「ニセ科学」――それは、根拠のないでたらめな科学用語を散りばめた、科学を装う「まがいもの」。
 大学院生の圭は、新進気鋭の生物学者・宇賀神と共に、ニセ科学批判の急先鋒である蓮見教授の元を訪ねる。そこで告げられたのは、宇賀神のライバルでもあり、想い人でもあった女性研究者の美冬に関する信じ難い事実だった。神秘の深海パワーで飲むだけでがんが治る、「万能深海酵母群」。「VEDY」と名付けられたニセ科学商品の開発に手を貸し、行方をくらませたのだ。
 ニセ科学を扱うことは、研究者にとって「死」に等しい。なぜ彼女は悪魔の研究に身を染めたのか? 圭は宇賀神に命じられ、美冬の消息を追うが……。
 すべての真相が明らかになったとき、「理性」と「感情」のジレンマが、哀しい現実を突きつける――。


 東京大学大学院出身の著者が放つ、私たちの身近に蔓延る「汚染された科学」に迫るサイエンス・サスペンス! 
 あなたは、真実を知る覚悟はありますか?

感想・レビュー・書評

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  • 科学の専門的な用語や理論的な言葉遣いに、読みにくさを感じる部分もありましたが、後半からは謎や疑問だった部分が徐々に明らかになっていき、ミステリーとしても先が気になり一気に読んでしまいました。
    出てくる様々な疑似科学とされるものの中で、水に含まれた成分に人が心の拠り所を求めて購入し、実際に身体の調子が良くなったと効果を実感しているという話には、今村夏子さん著の『星の子』を思い出しました。
    コロナなどの菌や、地震により原発が事故を起こしたときの被爆への恐怖など、目に見えない物質については、結局人が発信する情報しか判断できるものがなく、だからこそ情報の発信元や発言の根拠などを自分で確認することを心がけたいと改めて思った。

    科学は良くも悪くも事実や真実を誰に対しても平等に示してくれるものであり、人間は不安になったとき理性より感情に訴えてくるものにすがりたくなるということを色々考えさせられました。

  • 伊与原さんは3作目だけれど、今回が一番読み応えがあって面白かった。
    マイペースな理系大学准教授・宇賀神と彼に振り回される大学院生・圭のコンビのやり取りもとても楽しいので、ぜひシリーズ化してほしい。

    非科学の中に存在する、科学を装ったニセ科学。
    でたらめな科学用語をちりばめ、あたかも科学的であるかのように見せかけ人々を騙す。
    人の善意に付け込む汚染(コンタミ)された科学を暴く長編サスペンスは、私のようなアンチ科学の人間にも分かりやすくてとても面白かった。

    我々の身近に潜むニセ科学。
    アンチ科学側からすると、それがインチキかもしれないと頭では分かっていても、つい心が欲する方を選んでしまう。
    人は理性と感情の間を揺れ動き惑う弱い生き物なのだとつくづく思った。

    「科学はこの世のすべての人間に等しく同じものを見せる」
    「どれだけ教育を受けようとも、ほとんどの人間は、自分の見たいものしか見ず、信じたいことしか信じないだろう。そうでもしなければ、この世はあまりにも生きづらい。でも、そのかたわらで、科学はただ淡々と、万人に同じものを見せ続ける」
    考えれば考える程、科学と非科学の間に広がるグラデーションの海で、私も溺れそうになる。
    科学の奥深さにますますハマりそうだ。

  • ニセ科学、深海酵母VEDYの開発に手を染めた女性研究者が謎の失踪。彼女の行方と真実を追う科学者と助手。
    途中、専門的な内容に何度か立ち止まりながらも何とか読了。後味が...あまりすっきりしない、けど、これが現実なんだろうと思う。世の中、VEDYのような商品(商売)がたくさんありますもんね。
    ただ、きっちり成敗されて終わって欲しいタイプの私には物足りなかった。

  • ニセ科学…科学を装うまがいもの、の研究に手を染めた女性研究者の失踪。
    謎を追う大学院生の圭と指導教員の宇賀神。
    世の中には、ニセ科学と言えるものが溢れているんだなぁと感じる。
    自分自身は、理性と感情、どちらに傾いて色々な物事を見たり判断したりしているか、考えさせられる。だが、文体は軽めでさらさら読める。
    このコンビがシリーズ化したら楽しみ。

  • 科学ミステリーでしょうね。
    ちょっと変わったキャラを立てて、それはそれで楽しいのですが、成功しているとまでは言えないし、ミステリーとしてもさほど良い出来でもない。そんな中で疑似科学 非科学や癌の代替療法の説明などは流石、伊与原さんと思わせます。
    そうそう、助教・羽鳥が次々繰り出す啓蒙Tシャツも受けました。「ニセ化学への道は善意で舗装されている」。ウン、深い!

    ミステリー色を弱め新境地を開きつつある伊与原さん、今後に期待しましょう(遡って旧作は読まなくて良いかな)

  • 私もはまってた時期があったな~と。オーラとパワーストーン。
    改めて周りを見ると、疑似科学なるものが世の中溢れているなと、びっくりするやら怖くなるやら。女性雑誌の広告、インターネットの広告。結構見入ってしまうものもいっばいあります。それだけ求める人がたくさんいるんでしょうね。求めてる人がいる限りこういうのとか新興宗教とかなくならないんでしょうね。もちろん求める人が悪いんじゃなくて、その心理を利用する人が悪いんですが。
    考えさせられる内容だったし、おもしろかったです。続編もあったらいいな。

  • ガン患者がこの水を飲み続けたら治った!
    この水晶の珠を患部に当てると波動で病気が治った!
    それ…全てニセ化学ですからっ!!

    そんなもんで病気は治んないぜ~
    なんて断言できるのは今、自分が健康だからかも
    医者に見放されて民間治療や代替治療に走る…ってのはよく聞く話

    人は見たいものしか見ない
    ましてや死と直面しているならなおさら
    嘘のようなことでも希望があるなら信じたいと思うのが人間なんだよね。

    天才肌の准教授・宇賀神。
    その雑用を引き受けている大学院生の町村圭。
    ある日、宇賀神が12回連続で振られたという優秀な博士・桜井美冬が失踪。
    彼女の失踪にはガンの治療にも効くという「深海酵母」を開発をした企業が絡んでおり…


    ニセ化学への道は善意で舗装されている…
    by羽鳥のTシャツ

    この言葉、かなり深い…

  • 登場人物が面白い

  • 時間を忘れて、続きが気になって読み続けてしまう程ではないが別段読みにくいといった事はない。

  • 神秘の深海パワーで飲むだけでがんが治る、「万能深海酵母群VEDY」と称する疑似科学商品の開発に手を貸し、その後行方をくらませた研究者を追っていきます。
    疑似科学に手を染めることは、研究者にとっては死に等しいことです。
    なぜ彼女はその研究に手を染めたのか。
    私たちの身近によく見られる、疑似科学に迫るミステリです。
    宗教と疑似科学の違いは何か。
    信じている人がいれば、疑似科学でも許されるのか。
    いろいろな問題が提起されます。

    どれだけ教育を受けようとも、ほとんどの人間は、自分の見たいものしか見ず、信じたいことしか信じないだろう。そうでもしなければ、この世はあまりにも生きづらい。でも、そのかたわらで、化学はただ淡々と、万人に同じものを見せ続ける。疑問や不安を感じたとき、そちらに目をやりさえすれば、誰でもそれを確かめることができる。しかもそれは、「1+1=2」が納得できる人であれば、原理的には誰にでも理解できる言葉で書かれているのだ。 ー 296ページ

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著者プロフィール

著者紹介
1972)年大阪生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了後、大学勤務を経て、2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年『月まで三キロ』で新田次郎賞を受賞した。著書に『磁極反転の日』『蝶が舞ったら謎のち晴れ――気象予報士・蝶子の推理――』『博物館のファントム 箕作教授の事件簿』『ブルーネス』『ルカの方舟』『梟のシエスタ』など。

「2020年 『コンタミ 科学汚染』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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