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本 ・本 (306ページ) / ISBN・EAN: 9784062209649
作品紹介・あらすじ
「ニセ科学」――でたらめな科学用語をちりばめた、まがいもの。大学院生の圭と、指導教員の宇賀神は、ニセ科学批判派の蓮見教授から、信じ難い事実を耳にする。かつて宇賀神が愛した研究者の美冬が、ニセ科学商品の開発に手を貸した上、失踪した、というのだ。彼女は本当に悪魔の研究に手を染めたのか? 二人は、美冬の消息を追う。全ての真相が明らかになるとき、「理性」と「感情」のジレンマが、哀しい現実を突きつける――。
【注】 この本には、「信じたくない」真実が含まれています。
「ニセ科学」――それは、根拠のないでたらめな科学用語をちりばめた、科学を装う「まがいもの」。
大学院生の圭は、新進気鋭の生物学者・宇賀神と共に、ニセ科学批判の急先鋒である蓮見教授の元を訪ねる。そこで告げられたのは、宇賀神のライバルであり、想い人でもあった女性研究者の美冬に関する信じ難い事実だった。神秘の深海パワーで飲むだけでがんが治る、「万能深海酵母群」。「VEDY」と名付けられたニセ科学商品の開発に手を貸し、行方をくらませたのだ。
ニセ科学を扱うことは、研究者にとって「死」に等しい。なぜ彼女は悪魔の研究に手を染めたのか? 圭は宇賀神に命じられ、美冬の消息を追うが……。
すべての真相が明らかになったとき、「理性」と「感情」のジレンマが、哀しい現実を突きつける――。
東京大学大学院出身の著者が放つ、私たちの身近に蔓延る「汚染された科学」に迫るサイエンス・サスペンス!
あなたは、真実を知る覚悟はありますか?
感想・レビュー・書評
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伊与原新のコンタミ 科学汚染を読んだ。
大学院生の圭は、指導教員に奴隷のように使われるが就職のために我慢。
その指導教員を12回も振った研究者の美冬が行方知れず。
ニセ科学を題材に話は進んでいくが、盛り上がりにかける。
いつになったら面白くなるのかなと思いながら最後まで読んだがワタシ的にはいまいち。
代替療法だが、癌を宣告されれば藁にも縋る思いはあると思う。
私も大事な人を何人も癌で失っている。
癌に効くサプリメントをネットで検索すると、知らないのがたくさん出て切る。
私が知っているのはジェイソンウインターズティーで、お茶代わりに飲んでいる。
全世界で飲まれているのでそれなりに効果はあるのだろう。
ミキプルーンもテレビでコマーシャルしている。
宗教のようなものからいろいろある
小説は落ち着くところに落ち着いたという感じだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ニセ科学への道は善意で舗装されている]
というTシャツの文字が象徴的
題名のコンタミとはコンタミネーション、
科学実験の場における汚染のこと、、[
共用の試薬や装置が汚染されている場合、メンバー全員の実験結果をだめにしてしまう恐れがある] 、、ニセ科学はコンタミネーション
見たいものしか見ないから人はニセ科学に絡め取られ、善意に溢れたあなたも汚染源になるのだ
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非科学、ニセ科学。科学に明るい人からすると、チャンチャラおかしいものにこんなにも人は騙されるかと思うんでしょうが、病気で藁にもすがる思いの時は謎の液体とかを大枚はたいてでも飲ませたいと思うし、怪しい健康法も試してみたいもんです。実体験があるので分かりますし、その時は出来る事は何でもしてやりたいと思うんです。
そんな所につけこむニセ科学。訳の分からないワードを組み合わせて荒稼ぎする。真っ当な企業でも色々ありますよね。
真っ当な科学の中に、そういった非化学が混ざって人を惑わせることを科学が汚染されると表現しています。故にコンタミネーション。
実際この中でがんの治療って色々な情報が有って、代替療法が山のように出てくるんです。それを頼りに医学的な治療をやめてしまう怖さ。これは本当に体験した当事者でないと分からないことだと思います。
なのでこれを読むと騙される人の気持ちになって読んでしまって結構辛かった。科学に明るい人でもその時になったら分からないです本当に。これ読んでおくと予防線になるかもしれません。 -
科学の専門的な用語や理論的な言葉遣いに、読みにくさを感じる部分もありましたが、後半からは謎や疑問だった部分が徐々に明らかになっていき、ミステリーとしても先が気になり一気に読んでしまいました。
出てくる様々な疑似科学とされるものの中で、水に含まれた成分に人が心の拠り所を求めて購入し、実際に身体の調子が良くなったと効果を実感しているという話には、今村夏子さん著の『星の子』を思い出しました。
コロナなどの菌や、地震により原発が事故を起こしたときの被爆への恐怖など、目に見えない物質については、結局人が発信する情報しか判断できるものがなく、だからこそ情報の発信元や発言の根拠などを自分で確認することを心がけたいと改めて思った。
科学は良くも悪くも事実や真実を誰に対しても平等に示してくれるものであり、人間は不安になったとき理性より感情に訴えてくるものにすがりたくなるということを色々考えさせられました。 -
ニセ科学、深海酵母VEDYの開発に手を染めた女性研究者が謎の失踪。彼女の行方と真実を追う科学者と助手。
途中、専門的な内容に何度か立ち止まりながらも何とか読了。後味が...あまりすっきりしない、けど、これが現実なんだろうと思う。世の中、VEDYのような商品(商売)がたくさんありますもんね。
ただ、きっちり成敗されて終わって欲しいタイプの私には物足りなかった。
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謎解きというよりは「科学」のニセモノについて知る小説だった。
登場人物が特徴的なのでドラマ化できそう。
…テレビ放映するには、ニセ科学商品を扱ってるスポンサーがつかないから難しいか?笑
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怖いのは、愛する家族との別れです。(p.261) -
ニセ科学…科学を装うまがいもの、の研究に手を染めた女性研究者の失踪。
謎を追う大学院生の圭と指導教員の宇賀神。
世の中には、ニセ科学と言えるものが溢れているんだなぁと感じる。
自分自身は、理性と感情、どちらに傾いて色々な物事を見たり判断したりしているか、考えさせられる。だが、文体は軽めでさらさら読める。
このコンビがシリーズ化したら楽しみ。 -
科学ミステリーでしょうね。
ちょっと変わったキャラを立てて、それはそれで楽しいのですが、成功しているとまでは言えないし、ミステリーとしてもさほど良い出来でもない。そんな中で疑似科学 非科学や癌の代替療法の説明などは流石、伊与原さんと思わせます。
そうそう、助教・羽鳥が次々繰り出す啓蒙Tシャツも受けました。「ニセ化学への道は善意で舗装されている」。ウン、深い!
ミステリー色を弱め新境地を開きつつある伊与原さん、今後に期待しましょう(遡って旧作は読まなくて良いかな)
著者プロフィール
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