本のエンドロール

著者 :
  • 講談社
4.03
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本棚登録 : 375
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209885

作品紹介・あらすじ

印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」
営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付には載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。

感想・レビュー・書評

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  • 来年の本屋大賞に選ばれる可能性が高いので、
    そういう本を読むのが好きな方は、今のうちに読んでおくといいかも。

    読みながら、小学生の時「大きくなったら本を作る会社で働きたい(特に講談社!)」と言ったことを思い出しました。
    たぶん、男の子が野球の選手になりたいとか、女の子がケーキ屋さんになりたいとか、そういうレベル。
    その後、数々の読書感想文にめっちゃ低い点数をつけられたことで、ちゃんと現実を知った自分。

    大人になって実際に出版社に勤めている人と話すことがあって
    「こういう仕事やるもんじゃない!」
    と言われて
    「いやいや、ご謙遜でしょう」
    と思っていましたが、この本を読んで「本当に大変なんだなあ」と思いました。

    でも一つの目標に向かって皆で頑張っていく姿は、
    自分にもあてはまることがあり、
    「よし、頑張ろう」と思えました。
    だから読んで良かった。

    「夢を追いかける」考えました。
    趣味と実益を兼ねるということですが、それは難しいと私は思う。
    好きなことを極めようと努力すればするほどゴールが遠くなっていくような気がする。
    好きなことは好きなことで仕事にはしない。
    仕事は好きで始めたことではなくても、やるべきことをきちんとこなしていくと、そのなかに楽しいこと嬉しいこと、そして夢が見つかると思う。
    ただ、それでも自分の好きなことでやっていく、と決めたら、
    ぜったいに周りに迷惑かけてはいけないとこの本を読んで思いました。

    また、どうして私が紙の本を読み続けるかというと、
    『美女と野獣』のベルが本を読んでいるからです。
    電子書籍を読む素敵な人が現れたら、私もそっちに行くかも?

  • みんなこの本読もうぜ。本好きなら読むべきだ。
    出版不況と言われて久しいですが、これからは隆盛になることはまず無く、どんどん衰退していく事でしょう。悲しいけれど、この本も本好きにしか届かずに終わる本です。
    電車の中で見回すと自分以外誰も本を読んでいない事が有ります。ずっと本を読んできた身からするとちょっとしたホラーです。
    紙だ電子だと本の形態で色々言っていますが、そもそも小説を書く人も読む人も将来いなくなるのではないかととても怖いです。商売にならなければやる人もいないわけで、小説よりも漫画やアニメの方がまだ続いて行きそうですからね。
    この本相当な熱量で印刷会社について書かれています。本をずっと愛してきた僕らも出版小説どまりで、印刷製本に目を向けたことは無かったのではないでしょうか。
    どんな本も色々な工程、手を経て僕らの元に届きます。そんな単純な事に思い至らなかった僕自身に呆れました。この本を読むと本そのものへの愛情がふつふつと湧いてくるのを感じます。
    それにしても図書館や本屋に行くと読書好きが沢山居て、ブクログにもこんなに沢山本読む人が居るのに、何でこんなに周囲に本読む人が居ないんだろうか。うちは夫婦で本読みなので本当に幸せ。あとは本が無くならず残ってくれさえすれば。。。

  • 「届け。本を愛するすべての人に。」この帯を見て、本好きなら読まずにいられようか。本を“作る”人、“造る”人。本が私たち読者の手に届くまでに、たくさんの人たちが関わっている。知っているようで知らなかったことばかり。それぞれの立場からそれぞれの矜持をもって本の誕生に立ち会う人たちの物語。この本には巻末にエンドロールが付いている。いつもは奥付の向こうにいる人たちの名前を見て、じんわり胸が熱くなる。本を愛するすべての人にお勧めです。

  • お仕事小説である。
    主人公は中堅印刷会社の営業職を務める浦本学。
    彼が関わった本、1冊1冊が出版されるまでのドラマを追う。

    本を書くのはもちろん著者だが、「本」という形になって世に送り出されるまでには、多くの工程がある。
    著者が書きたいものを具体的に練り上げる手助けをする編集。
    書きあがったものに誤字・脱字、意味の通らない箇所はないかチェックする校正。
    版を組み上げ、印刷できる形にするDTP。
    実際に紙に刷っていく印刷。
    刷りあがったものを本の形にする製本。
    そして各書店に運ぶ流通、書店等での販売となる。

    浦本の仕事は、いわば出版社と印刷会社との間の調整役で、著者の原稿を受け取り、スケジュールを組んで刊行日までに滞りなく本を作り上げる役割を担う。
    何ということはないようにも聞こえるが、多くの本を担当する印刷営業はてんてこ舞いである。ときには原稿が遅れ、ときには機械が故障し、ときには特殊な印刷技術が要求され、ときには著者の希望で体裁ががらりと変わり、そのたびに右往左往しなくてはならない。あちらに頭を下げ、こちらを少し遅らせてもらい、別のところには原稿を催促し、板挟みになりつつ、何とか日々の業務を回していく。

    浦本は元々、「本が作りたい」という希望で大手から中堅に移ってきている。夢を持ち、反面、危なっかしさもあるが、熱意と希望を持って本を送り出していく。
    その彼が牽引役となって、読み心地のよい作品である。
    浦本を軸に、さまざまな職業人が描き出される。職人気質のベテラン印刷オペレーター。前のめり過ぎる出版社編集者。重版がかからないことに苛立っている著者。「本の虫」でDTPが天職と感じているDTPオペレーター。家庭生活がぎくしゃくしている浦本と同期の印刷担当。
    彼らが仕事に向かう姿勢にもそれぞれ「温度差」がある。夢がなくては気持ちがくすむが、往々にして夢では食べていけない。そんなジレンマもある。
    章ごとに、タイトルに示された本が出版されるまでを描く、連作短篇としても読めるが、全体として、「紙の本」を作り出すということはどういうことかがよくわかる作りになっている。さまざまな人の人間模様も盛り込み、そのままドラマにもなりそうな1作である。

    本ができるまでの工程というのは意外に知られていないという。本作は各部署の仕事内容をかなり突っ込んで描いており、ドキュメンタリーのようにも読める。終盤の印刷工場シーンは、読む「工場見学」のようでなかなか興味深い。
    一方で、「紙の本」が直面する問題にも触れている。ジリ貧になりつつある現状を、どうやって乗り切っていくのか。電子書籍もシェアを伸ばしつつある昨今、「紙の本」は本当に消えてしまうのか。「本」の未来はどうなっていくのか。
    そしてあがき、奮闘する浦本たちを見ているうち、ひいては、働くということそのものにも思いはつながっていく。どんな仕事であれ、迷いや苛立ちや焦りはある。自分は何のために働いているのか、そう思うときはあるはずだ。
    浦本のたどり着く結論は、すべてを解決するわけではないけれども、読者の胸にほんのりと灯りをともす。

    「本のエンドロール」とは奥付のことを指す。映画のエンドロールであれば、キャストやスタッフが延々と流れるところだが、本の場合は通常、著者・発行者・発行所・印刷所・製本所の形で記載される。だがその陰には、多くの人の血と汗と熱意がこもっている。
    本書では奥付の手前に、1つ仕掛けがある。本文を読み通し、著者による謝辞も読んだ後、このページを目にすると胸が熱くなる。

  • 名前も知らない作家さんでしたが(失礼な事言ってすみません)読んでよかった。この出会いに感謝します。また読んでみたい作家さんです。
    私は本が好きです。活字中毒と言ってもいいくらい。でも本作りのことは知らなかったのでとても面白く読みました。基本的に本は買わずに図書館で借りることが多いので、出版業界には貢献してなくて申し訳ないです。でも本は紙ベースで読みたい!紙ベースの本は無くならないでもらいたいです。

  • 本屋です。
    品出ししてて思わず取り置きしてしまいました。

    これはノンフィクション?業界本?大人向けの、ある意味青春小説のような。印刷業界(DTPとかの方の)の友人に勧めたら「リアルすぎて仕事を思い出して泣く。読めない(苦笑)」と言われた。そ、そうか・・・。

    Amazonだったかな?どなたかのレビューにあった通り、くせ者ばかりで毎日こんななら心がもたない。トラブル続き、謝罪祭り。理想を追い求める主人公と、その現実とのギャップが・・・・。だから読んでても読み終わった後も「あぁ、面白かった!楽しかった!」と単純に思える本ではなかった。いや、内容はしっかりしていて業界についても勉強になったし、もっと本の造りや装丁にも気を配ろうと思ったんだけど、なんせ胃に「くる」。ずっとハラハラして気が抜けない。シビア。

    「都会で5月末日に発売になっても、私の住んでる田舎じゃあ2~3日ずれこんで結局6月になるんだよう(泣)」とか「そこまでカバー装丁に力入れなくていいから価格を下げてくれい(売る身分だけど)」とか個人的に思うところ色々ありだけど、とても読みがいのある本でした。見学会、私も行きたい。

  • 本を作る側の話は、小説家目線で出版されるまでの作家の苦労を書いた「先生とそのお布団」(石川博品/ガガガ文庫)や出版社サイドで作家とのやりとりや出版界の現状を“大泉洋”で書いた「騙し絵の牙」(塩田武士/角川書店)があるが、本作は中小の印刷会社の営業マン視点での作品である。
    印刷会社は「ただ印刷するだけ」の存在なのか、作家や編集とともに本を作っていく「メーカー」であるのか、主人公の浦本は苦しみながら無理難題を同僚とともに乗り越えていく。関係者が一丸となって作ってきた本というイメージが終盤に固定してしまっただけに、一条早智子のあの一言は辛いものがあった。

  • 映画はエンドロールが終わるまで席を立たないほうだ。
    本を買うとき、まず奥付けを見るほうだ。
    可能なら優しくカバーをめくり表紙を確かめるほうだ。

    この本のエンドロール部分を読んだとき、鼻の奥がつーんとした。

    本を造ってくださっている皆様、心からありがとう。

  • 本が好きな人なら読んで欲しい。
    本ができるまでの詰め込めれたエネルギー。印刷する会社と一口にいってもその中にも営業だったり、工場だったりその場所での役割がある。
    何のために働くのか。
    自分のためなのかな。
    そんな風に流れていく過程がとてもわかりやすく、夢中になって読めます。

  • この世に本というものがあって、よかった。

    そして、自分自身が本を楽しめる人間で、ホントによかった。

    幼い頃から家に普通に本があり、自然に本を読める(読ませてもらえる)環境で育ててもらったおかげだろう。今さらながら、両親に感謝。
    ※ファミコンなんかは買ってもらえなかったが。

    世の中の、本に関わるすべての人たちに感謝。

    ちなみに、映画館ではエンドロールが終わるまで席を立たない派、です。
    早々に席を立つヒトたちよ、平気で前を横切るな!

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プロフィール

安藤 祐介(あんどう ゆうすけ)
1977年生まれ、福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。2007年、『被取締役新入社員』でTBS・講談社第一回ドラマ原作大賞を受賞。
その他の主著に『営業零課接待班』『本のエンドロール』などがある。

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