本のエンドロール

  • 講談社 (2018年3月8日発売)
4.10
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Amazon.co.jp ・本 (386ページ) / ISBN・EAN: 9784062209885

作品紹介・あらすじ

彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。


大反響5刷! あなたたちがいるから本が読める――。
作家が物語を紡ぐ。編集者が編み、印刷営業が伴走する。完成した作品はオペレーターにレイアウトされ、版に刷られ、紙に転写される。製本所が紙の束を綴じ、"本"となって書店に搬入され、ようやく、私たちに届く。廃れゆく業界で、自分に一体何ができるのか。印刷会社の営業・浦本は、本の「可能性」を信じ続けることで苦難を乗り越えていく。奥付に載らない、裏方たちの活躍と葛藤を描く、感動長編。

【『本のエンドロール』ができるまで】の動画公開中!
https://www.youtube.com/watch?v=586VXDPwowQ

印刷・製本等業界で働く人々から大絶賛!

本ができた感動は携わった人の思いが読者に届けられたときに得られるもの。ひとりでも多くの本好きに読んでほしい本だと確信しています。【印刷営業 男】

組版って、バランスよく、美しく並べて、読みやすい状態にすること、PCやスマホで文字を打つときは気にしないですよね。この本を読むときに少し気にしてもらえたら嬉しいです。【DTP組版 女】

「本」に関わる全ての人の姿を見せてやろうというタイトルに偽り無しの本でした。この中の一つに関わってるのだと思うと不思議な感じです。【印刷機オペレーター 男】

組版、校正、印刷、製本担当者は職人です! 組版の奥深さ、校正の大切さ、職人のこだわりをお楽しみください!【生産管理部 男】

世間的に出版不況と騒がれる我が業界の縁の下を、インキ臭く描いた、異色の小説が生まれました。ヤバい本を生み出すドラマは、きっと湿し水をあなたに与えてくれます。出版社と読者の真ん中で、日夜汗まみれパウダーまみれな僕達には、いつだって刷らなければならない本がある。閉塞感の強い時代に、ちょうしよく、空気を入れたい。仕事を探す若者に、仕事に疲れたつくり手たちに、僕ら現場からオススメします。【印刷営業 男】

小口側の扇のような丸みを見てやってください……。そこに私の奥義があります。【製本工場勤務 男】

実は1枚1枚、均一な印刷される前の白紙用紙を作って届けるのにもドラマがあります!! 用紙会社の思いも届け!!【用紙代理店 男】

感想・レビュー・書評

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  • 仕事とは何か?何のために仕事をするのか?
    永遠のテーマだと思います。
    夢を持って入社してくる人もいれば、お金のためと割り切って仕事をする人もいる。好きなことを仕事にしたいと会社を辞める人もいれば、好きなことを仕事にするのは難しいと言って辞める人もいる。
    仕事をしていると、家にいるよりも職場にいる時間の方が長い、という人が大半ではないでしょうか?
    それだけ、仕事とはその人の人生や心の中の大部分を占めるものなのだと思います。
    それぞれの仕事への向き合い方の違いから、初めは衝突ばかりしていたこの物語の登場人物たち。
    しかし、良い本を造るという同じ目的に向かって進むうちに、自分の中での“仕事とは?“が確立されていく。とても爽やかなお仕事小説でした。
    私たちが大好きな“本“がどんな風に出来上がっていくのかがとてもよく分かったし、これからは読書する度に本のエンドロール(奥付け)をじっくり見てしまいそうです。
    そして、元々私は本を読みながら何度も表紙を見る人なのですが、これからはますますじっくり眺めてしまうと思います。

  • お仕事小説やっぱ( ・∀・)イイ!!

    特にニッチなところに突っ込んで頂いて、普段あまり馴染みの無いお仕事に触れられたりするとなお( ・∀・)イイ!!

    そんなワタクシの身勝手な希望に沿って頂いたばかりか、加えて本好きにはたまらない「本」の印刷会社のお話

    うーん、真新しいインクの臭いが香るような一冊です
    あの香り好きでしょう
    そうでしょう、そうでしょう

    そして題名の『本のエンドロール』とは奥付のことを指しているとのことなんですが、普段奥付って見ます?
    あ、奥付って一番最後にある出版社とか書いてあるあのページね
    正直自分は見るのが当たり前だったので、本作を読んで読まない人がほとんどってことに衝撃を受けました
    あれ読んだほうが1.07倍くらい楽しいのに(微妙だなおい)

    また、本作では「本」の印刷会社さんが絶対避けて通れない電子書籍問題も取り上げてましたね
    ところでみなさんは電子書籍派?紙の本派?それとも併用派?

    わたしはもう圧倒的に紙の本派です!もう電子書籍は「本」として認めないってくらいの極右です(え?そもそも紙の本派って右派なの?)
    なんならもう街宣車で出版社の玄関先に乗り込みたいくらいです
    紙の本3,000冊くらい人質にとってあさま山荘に立て籠もりたい(それは反対方向)

    などと少々物騒なことを申しましたが、ほんとはこんなこと言う資格ないんですよね
    ぜんぜん新しい本買ってないので…

    ほんとごめんなさいm(_ _;)m

    一番下の娘が大学卒業して、家のローンが終わったらたくさん買うので、それまで紙の本頑張って持ちこたえて!

    • おびのりさん
      寡黙が美徳って葉隠にあったから(´ー`)
      寡黙が美徳って葉隠にあったから(´ー`)
      2023/06/07
    • ひまわりめろんさん
      ウォシュレット派か紙派かの話しになっとるやないか!(なってない)
      ウォシュレット派か紙派かの話しになっとるやないか!(なってない)
      2023/06/08
    • 1Q84O1さん
      それでも紙派!
      それでも紙派!
      2023/06/08
  •  いい本だった!!
     まず、この本の奥付の一つ手前のページを開いてみる。そこには映画のエンドロールのように、この本の制作に携わったスタッフ一人ひとりの役割と名前が記されている。名前の挙げられたスタッフのそれぞれ担当した仕事は次の仕事
    印刷営業、本文進行管理、装丁進行管理、色校正、組版進行管理、オペレーター、校正、本文面付、装幀下版、刷版、本文印刷機長、印刷オペレーター、装幀印刷機長、表面PP加工、製本進行管理、仮固め、三方断裁、背固め・くるみ、仕上げ、表紙貼り、断裁、スリップ・ハガキ印刷、束見本作成、配送、配本。
     本には奥付があり、そこには著者名、発行者・発行所名、印刷所名、製本所名は記されているが、印刷所、製本所で働く、営業マン、印刷オペレーター、インク調合職人、組版オペレーターなど、一つ一つの仕事に携わった人の名前は記されていない。
     この小説の主人公、浦本学は図書の印刷を主に行う印刷会社の営業マンで、「いい本を作りたい。」「印刷会社はメーカーだ。」と熱い思いを持って働いている。
     そんな浦本を冷ややかに見つめる同僚たち。浦本が出版社の編集者や著者からの無理難題を断れず、自社工場に持ち帰るたびに、工場の機械の稼働スケジュールを大幅変更せねばならず、印刷オペレーターをイライラさせ、「お前はただの伝書鳩か。」と罵られる。先輩には「印刷会社はクライアントか言われた仕事を間違いなく、滞りなく達成することが大事。」「印刷機の稼働を止めないことが大事。理想ばかり掲げるな。」と釘を刺される。
     だけど、浦本は作家や編集者の本に対する熱い思いを聞くと、「一緒に素晴らしい本を作りましょう」とついつい企画を膨らませ、あとで工場のほうで収集のつかないことになり、クライアントと自社の上司や工場スタッフの板挟みになり、頭を下げまくっている。
     初めて文芸書を担当することになった若手編集者の情熱にほだされて、著名な装幀家の無理な注文を受けてきたが、途中で編集者がストレスで逃げ出し、印刷会社の営業マンである浦本が直接、装丁家の注文を受けねばならない事態になったこともある。
     簡単に、全面企画変更を打ち出してくる横柄な装丁家に“歯車”呼ばわりされる、インク調合職人、ジロさんの次の言葉がかっこ良かった。
    「歯車がいなければ、アイデアは形にならない。絵に描いた餅と同じてをすわな。」
     色々な人が本造りに携わっている。金のためだけに働いている印刷オペレーター。「日々の仕事を卒なくこなすこと」が夢の営業の先輩。子供のころから本だけが友達で、今“天職”に付いていると自覚している組版オペレーター。そして、自分自身に技術はないが、良い本を作りたい思いを形にするため、日々、著者、編集者と工場との調整に追われる浦本のような営業マン。良い作家をこの世に出すために時には作家にも厳しく、印刷会社には横柄気味に無理難題を押し付ける編集者。そして、本がこの世に生まれた後、ポップを作ったりして販売に協力してくれる書店員。
     こんなにも数々の人々が、日々、葛藤し、ぶつかり、謝ったりしながら難問を一つ一つ解決し、新しい本を生み出している。今は「いつか、本がこの世から無くなるかもしれない。その時、自分たちはどうやって生きていこう」という不安に苛まれながらも、夢の本を作っている。
     モノ作りって本当にいい!一人でモノを作るのもいいけれど、多くの人が一丸となって…いや、一丸となれる前に右往左往しながら、最終的に一つの物を作っていくのって本当に感動的。
     浦本さん、あなたたちの日々の頑張りがある限り“紙の本”というモノはこの世から無くなりませんよ。応援してます。










  • 印刷会社はただ印刷するだけの会社だと思っていた、本を読む前の私をはたきたい。
    印刷会社のおかげで、素敵な装丁の本が読めて、素敵な世界に触れることができている。
    本には、出版社だけでない、むしろ印刷会社のこだわりがいっぱい詰まっている。
    そのこだわりと、印刷という魅力、印刷現場で働く人の情熱を教えてくれる作品。
    もはや職人である。本当に。

    今まで、本を「パケ買い」するなどありえないと思っていた。
    本は作家とあらすじ、あとぱらぱらと読んでみて購入を決めてきた。
    だけど、本の「パッケージ」には本当にこだわりがあることを知った。力が入っていたら、それは間違いなく「売りたい」の気持ちが強く入っている本だ。
    これからはデザインに惹かれたら内容問わずに「パケ買い」もしてみようと思った。


    ちょっと話は逸れるが、米津玄師さんのアルバム「STRAY SHEEP」の限定盤は「印刷屋泣かせ」だと聞いたことがある。
    米津玄師さんのアートの作品をじっくり見たくて発売当初に限定盤を買っているが、この本を読んだ後にじっくりと印刷屋の「作品」を「鑑賞」した。


    編集者や作家は確かに「花形」の職業だけれど、
    出版社にはほかの部署も魅力的だ。
    出版社で働くことに興味のある人や就活生にぜひ読んでもらいたい。
    電子書籍のことなどの「内情」も詳しく知ることができた。

    これが本屋大賞(2019年)の「11位」だなんて。
    ランクインした作品はもちろん素晴らしい作品だけれど、あと1歩のところでこの作品に注目を集められなかったのは、この本に携わった関係者の方々にとっては本当に…本当に、残念なことだっただろう。

  • 今までは本を読み終えると、一応奥付けまでは見るが、発行所と日付ぐらいにしか注意を払ってこなかった。一冊の本が生まれるまでに、作家さんだけでなく印刷所で働く諸々の人々の力が集結されていると、あらためて思い知った。営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナーなど。映画と同じように「エンドロール」に書かれない人々の色んな思いが籠められていた。実際、本書にはページを割いて、刊行までに携わったスタッフ全員の名前が表記されているのだ。本作りにはこれだけの人々が携わっていたとは! 本書を読むと、いつか紙の本が消えなくとも廃れてゆくと予想される出版業界の人々の呻きが聞こえて来る。
    本書では電子書籍製作チームも出て来て、そこで働く人々の葛藤も描かれている。真に迫るものがあった。私も電子書籍はほとんど読んだことがない。紙の本を当たり前と思って来たが、読者の私でさえ紙の本が衰退の方向にあるのは漠然と分かっている。コロナをきっかけに、当地・市立図書館にも電子書籍の貸し出しが春から始まった。いよいよ地方都市にも波が押し寄せたと半分は喜ぶ気持ちもある。片や、ほとんどを図書館の本で間に合わせている私は、申し訳ない気持ちにもなった。本を読むだけでなく、金銭で売買される行為があって初めて書籍を支えていることにもなるのかもしれない。(本書にもあった豪華な装丁の本を購入する気はさらさら湧かないが)
    学生を前に、会社説明会で「豊澄印刷会社はメーカーだ」と思わず口走った営業部の浦本君、毎日ブルーベリーを飲んで目の衰えを防ごうとしている職人さん。
    『廃れゆくことは敗れることではない。廃れゆくものを守る人間もまた必要なのだ。そんな仕事だからこそ、好きでなければ続けていれないと思うのだ。そこにあるのは悲壮感ではなく、作り続けることへの誇りや日々の達成感。完成を待つ本が絶えない間は、本が消えてゆく恐怖に慄いている暇などない。自ら選び取った場所で縁を得た人たちと、これからも本を造っていくのだ』
    彼らの気概に感謝するしかない。
    機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。作家が物語を紡ぐ。編集者が編み、印刷営業が伴走する。完成した作品はオペレーターにレイアウトされ、版に刷られ、紙に転写される。製本所が紙の束を綴じ、"本"となって書店に搬入され、ようやく私たちに届く。奥付に載らない本造りの裏方たちを描く安藤祐介さん会心のお仕事小説です。

    ※福原さんが言った言葉に深く深く頷いた。『他人の努力や悲しみを借りて涙することを好まない』。そうだよね、福原さん! 私もまったく同じです。

    • アールグレイさん
      初めまして!
      ゆうママと申します。
      突然に失礼致します。
      私は、電子書籍を嫌っている人間です。古いと言われるかも知れませんが、本は紙のページ...
      初めまして!
      ゆうママと申します。
      突然に失礼致します。
      私は、電子書籍を嫌っている人間です。古いと言われるかも知れませんが、本は紙のページをめくって読むのが本だと思うのです。「半分読んだかな、あと数ページで読み終わるな~」という感じは、やはり紙の本だと。
      私は、東京郊外で市内に図書館は4つありますが、電子書籍はまだのようです。
      大変失礼しました。
      しずくさん、またレビューを読ませて下さいね!
      m(__)m
      2021/05/30
    • しずくさん
      コメントをありがとうございます!
      電子書籍化は紙の本愛読者としてはとても辛いですよね。東京近郊にお住まいのゆうママさんの所では未だなのです...
      コメントをありがとうございます!
      電子書籍化は紙の本愛読者としてはとても辛いですよね。東京近郊にお住まいのゆうママさんの所では未だなのですか。。。いっぺんも利用していませんが、頭から決め込まずに取りあえず実践してみるのも手かなとも思っています。といいながら、紙の本の手触りが好きなので何時になることやらデス(笑)
      ありがとうございました(≧∇≦)
      2021/05/30
  • 印刷会社営業部で文芸書を担当している浦本は、印刷会社はメーカーだと言い、良い本を造る一員だと信じて仕事をしている。時にはその思いが強いあまり、タイトなスケジュールになるなど、周囲との軋轢を生むことも。しかしながらそんな浦本の想いに・・・
    作家や編集者を軸に、本をテーマにした小説は多くあるが、印刷会社の社員が主人公とは珍しい切り口では。新聞印刷の輪転機が新聞紙を刷っていく現場を思い出した。青臭くもあるが、本好きには楽しめるお仕事小説。

  • 奥付
    本の誕生に関わる人達
    見えないものを繋ぐ

    お仕事小説です。
    時間とお金と労力と想いが、ギリギリのところで折り合う。
    読みごたえありました。
    図書館から借りた本。

  • たくさんの人がいろんな工程を経て思いをのせた本。普段は図書館で借りることが多いけれど、読書の日にでも、とっておきの本を一冊考えて購入しようと思った。「本の宝箱」のような。

  • 「届け。本を愛するすべての人に。」この帯を見て、本好きなら読まずにいられようか。本を“作る”人、“造る”人。本が私たち読者の手に届くまでに、たくさんの人たちが関わっている。知っているようで知らなかったことばかり。それぞれの立場からそれぞれの矜持をもって本の誕生に立ち会う人たちの物語。この本には巻末にエンドロールが付いている。いつもは奥付の向こうにいる人たちの名前を見て、じんわり胸が熱くなる。本を愛するすべての人にお勧めです。

  • 表紙が写真だったので、ノンフィクションだと思って買いました。「営業零課」の作者さんだと読了後に知りました。
    骨太でした。こっちの方が好きだわ。
    印刷って…写す仕事でしょ?
    いやいや、全然違う!指示の通りやる、のにも門外漢には分からない問題が山のようにあるし、その指示が直前でひっくり返る!!わがまま言うな!なんて言わない。フラフラになりながらあっちと折衝、こっちを説得。退社後にトラブルで呼び出され、業界全体は右肩下がりで先行き不安。
    でも、やる。本を届けたいから。
    数えきれないぐらいの人の手を経て、届けられる本。を、ブックオフで買うわたし。
    アカンやろ!!!!!!
    本買おう。ごめんなさい。
    奥付けに、たくさん人の名前があります。読み終わってから見ると、込み上げてくるものがあります。
    本買おう。
    いや、でも、全部定価で買うと破産しちゃうので、ほんとごめんなさい。ボーナス月に買うとか、誕生日に買うとか、なんか、そんな感じで。
    みんなびんぼがわるいんや…

  • 来年の本屋大賞に選ばれる可能性が高いので、
    そういう本を読むのが好きな方は、今のうちに読んでおくといいかも。

    読みながら、小学生の時「大きくなったら本を作る会社で働きたい(特に講談社!)」と言ったことを思い出しました。
    たぶん、男の子が野球の選手になりたいとか、女の子がケーキ屋さんになりたいとか、そういうレベル。
    その後、数々の読書感想文にめっちゃ低い点数をつけられたことで、ちゃんと現実を知った自分。

    大人になって実際に出版社に勤めている人と話すことがあって
    「こういう仕事やるもんじゃない!」
    と言われて
    「いやいや、ご謙遜でしょう」
    と思っていましたが、この本を読んで「本当に大変なんだなあ」と思いました。

    でも一つの目標に向かって皆で頑張っていく姿は、
    自分にもあてはまることがあり、
    「よし、頑張ろう」と思えました。
    だから読んで良かった。

    「夢を追いかける」考えました。
    趣味と実益を兼ねるということですが、それは難しいと私は思う。
    好きなことを極めようと努力すればするほどゴールが遠くなっていくような気がする。
    好きなことは好きなことで仕事にはしない。
    仕事は好きで始めたことではなくても、やるべきことをきちんとこなしていくと、そのなかに楽しいこと嬉しいこと、そして夢が見つかると思う。
    ただ、それでも自分の好きなことでやっていく、と決めたら、
    ぜったいに周りに迷惑かけてはいけないとこの本を読んで思いました。

    また、どうして私が紙の本を読み続けるかというと、
    『美女と野獣』のベルが本を読んでいるからです。
    電子書籍を読む素敵な人が現れたら、私もそっちに行くかも?

  • 本が好きなら、お勧めしたい本です。
    印刷会社の営業の視点で物語は進んでいきます。
    印刷会社がどんなことをしているのかがわかるお仕事の本の側面もありますが、主人公を含む人々の成長も当然描かれています。「本のメーカー」。言い得て妙だと思います。

    また、この本では、電子書籍も否定はしておらず、お互いの良いところを提案しています。
    2017年のアマゾンでの電子書籍読み放題の話題も盛り込んでいるあたり、本の転換点を示す良い本だと思います。

    すごいのは、奥付の前に本の制作に当たった人々の名前が載っている点。後書きで編集者の名前は出ることはあっても、印刷会社や製本会社の各々の役割の人の名前は出ないですね。映画だとエンドロールに沢山の人々の名前が出ることが普通なのに、本だと出ない。まさしく「本のエンドロール」です。
    本の制作に携わっていただいている全ての人々に感謝!

  • みんなこの本読もうぜ。本好きなら読むべきだ。
    出版不況と言われて久しいですが、これからは隆盛になることはまず無く、どんどん衰退していく事でしょう。悲しいけれど、この本も本好きにしか届かずに終わる本です。
    電車の中で見回すと自分以外誰も本を読んでいない事が有ります。ずっと本を読んできた身からするとちょっとしたホラーです。
    紙だ電子だと本の形態で色々言っていますが、そもそも小説を書く人も読む人も将来いなくなるのではないかととても怖いです。商売にならなければやる人もいないわけで、小説よりも漫画やアニメの方がまだ続いて行きそうですからね。
    この本相当な熱量で印刷会社について書かれています。本をずっと愛してきた僕らも出版小説どまりで、印刷製本に目を向けたことは無かったのではないでしょうか。
    どんな本も色々な工程、手を経て僕らの元に届きます。そんな単純な事に思い至らなかった僕自身に呆れました。この本を読むと本そのものへの愛情がふつふつと湧いてくるのを感じます。
    それにしても図書館や本屋に行くと読書好きが沢山居て、ブクログにもこんなに沢山本読む人が居るのに、何でこんなに周囲に本読む人が居ないんだろうか。うちは夫婦で本読みなので本当に幸せ。あとは本が無くならず残ってくれさえすれば。。。

  • お仕事小説である。
    主人公は中堅印刷会社の営業職を務める浦本学。
    彼が関わった本、1冊1冊が出版されるまでのドラマを追う。

    本を書くのはもちろん著者だが、「本」という形になって世に送り出されるまでには、多くの工程がある。
    著者が書きたいものを具体的に練り上げる手助けをする編集。
    書きあがったものに誤字・脱字、意味の通らない箇所はないかチェックする校正。
    版を組み上げ、印刷できる形にするDTP。
    実際に紙に刷っていく印刷。
    刷りあがったものを本の形にする製本。
    そして各書店に運ぶ流通、書店等での販売となる。

    浦本の仕事は、いわば出版社と印刷会社との間の調整役で、著者の原稿を受け取り、スケジュールを組んで刊行日までに滞りなく本を作り上げる役割を担う。
    何ということはないようにも聞こえるが、多くの本を担当する印刷営業はてんてこ舞いである。ときには原稿が遅れ、ときには機械が故障し、ときには特殊な印刷技術が要求され、ときには著者の希望で体裁ががらりと変わり、そのたびに右往左往しなくてはならない。あちらに頭を下げ、こちらを少し遅らせてもらい、別のところには原稿を催促し、板挟みになりつつ、何とか日々の業務を回していく。

    浦本は元々、「本が作りたい」という希望で大手から中堅に移ってきている。夢を持ち、反面、危なっかしさもあるが、熱意と希望を持って本を送り出していく。
    その彼が牽引役となって、読み心地のよい作品である。
    浦本を軸に、さまざまな職業人が描き出される。職人気質のベテラン印刷オペレーター。前のめり過ぎる出版社編集者。重版がかからないことに苛立っている著者。「本の虫」でDTPが天職と感じているDTPオペレーター。家庭生活がぎくしゃくしている浦本と同期の印刷担当。
    彼らが仕事に向かう姿勢にもそれぞれ「温度差」がある。夢がなくては気持ちがくすむが、往々にして夢では食べていけない。そんなジレンマもある。
    章ごとに、タイトルに示された本が出版されるまでを描く、連作短篇としても読めるが、全体として、「紙の本」を作り出すということはどういうことかがよくわかる作りになっている。さまざまな人の人間模様も盛り込み、そのままドラマにもなりそうな1作である。

    本ができるまでの工程というのは意外に知られていないという。本作は各部署の仕事内容をかなり突っ込んで描いており、ドキュメンタリーのようにも読める。終盤の印刷工場シーンは、読む「工場見学」のようでなかなか興味深い。
    一方で、「紙の本」が直面する問題にも触れている。ジリ貧になりつつある現状を、どうやって乗り切っていくのか。電子書籍もシェアを伸ばしつつある昨今、「紙の本」は本当に消えてしまうのか。「本」の未来はどうなっていくのか。
    そしてあがき、奮闘する浦本たちを見ているうち、ひいては、働くということそのものにも思いはつながっていく。どんな仕事であれ、迷いや苛立ちや焦りはある。自分は何のために働いているのか、そう思うときはあるはずだ。
    浦本のたどり着く結論は、すべてを解決するわけではないけれども、読者の胸にほんのりと灯りをともす。

    「本のエンドロール」とは奥付のことを指す。映画のエンドロールであれば、キャストやスタッフが延々と流れるところだが、本の場合は通常、著者・発行者・発行所・印刷所・製本所の形で記載される。だがその陰には、多くの人の血と汗と熱意がこもっている。
    本書では奥付の手前に、1つ仕掛けがある。本文を読み通し、著者による謝辞も読んだ後、このページを目にすると胸が熱くなる。

  • 名前も知らない作家さんでしたが(失礼な事言ってすみません)読んでよかった。この出会いに感謝します。また読んでみたい作家さんです。
    私は本が好きです。活字中毒と言ってもいいくらい。でも本作りのことは知らなかったのでとても面白く読みました。基本的に本は買わずに図書館で借りることが多いので、出版業界には貢献してなくて申し訳ないです。でも本は紙ベースで読みたい!紙ベースの本は無くならないでもらいたいです。

  • 初読みの作家さん。
    ”読みたい本”リストに入れていながら、なかなか読む機会がなく、やっと。


    『奥付は本のエンドロール』だ!

    そんなことは考えたことがなかった。


    だけど、その『本』が形を成すには、数多くの人たちが関わっている。
    なんとなくわかっているつもりだったけど
    普段、本を読むときに頭に浮かぶことは一切なかった。

    これだけ大変なことだったとは…
    想像以上のことだった。

    雑誌、書籍の市場規模はピーク時の4割減に縮小している。
    4割減って…
    そこまでとは思っていなかったので、驚くと同時に危機感も。

    以前、私の好きな作家さんがSNSで「本を買ってください」と書いていた。
    これはちょっと衝撃だった。
    ”本の世界”はそれほど、大変な状況なのか…
    それまでも、本はよく買っていたと思うが、それ以後、”応援したい作家さんの本は単行本で買う!”と決めた。

    と言っても、やっぱり単行本は高い。
    と、思っていたのだが…

    本の単価は作家への印税の他に宣伝費、出版社の人件費、取次屋書店の取り分、用紙やデザイン、印刷代などで構成されている。

    『本のエンドロール』に書かれた↑を読んで、単行本が高いなんて言えない、と改めて思った。


    私自身、本を「装丁」が美しいとか、手に取った感じとかで選ぶことがある。
    今まで、そこにはそれだけのコストがかかっているという当たり前のことを想像できなかった。


    このまま”本離れ”が加速したら…
    これからの”本”はどうなってしまうのだろう。


    海外で暮らしているとき、”本”を手にするのが難しかった。
    新刊の値段は日本の1.5倍。
    書店に並ぶのはいわゆるベストセラーといわれるものが多く、選択肢も限られていた。

    友人の中には「電子書籍」を愛用している人もいたが、私は”紙の本”にこだわっていた。

    なぜか?
    理由は色々考えられるけど、”これ”と言い切れるものはなかった。

    でも、この本の中に”紙”にこだわるのは

    「子供のころから本は紙で読むものだったから」

    というフレーズがあり、自分の中でストン、と腑に落ちた。
    そう、そうだわ。


    厚み、重み、手触り。
    紙やインキの香り、ページをめくる音、表紙やカバーのたわみ。
    五感の端々に伝わるもの全てが本なのだ。


    まさに、これが当たり前だったから。
    それが私が”紙”にこだわる理由になっている。


    本が売れない時代。
    『本のエンドロール』には”電子書籍”のことも書かれていた。


    たとえ売れない本でも、書店から姿を消した本でも、電子書籍ならネット上で絶版されずに生き続けられる。
    一度この世に誕生した”本”に半永久的な生命を与えてくれる。
    それが電子書籍の素晴らしい点ではないか。


    ”本”に変永久的な生命を与えてくれる。
    ”電子書籍”をそんな風に考えたことがなかったけれど
    本当にそうだ。
    読みたいと思った本が絶版になっていた、という経験をした人は多いと思う。
    私の”読みたい本”リストには絶版になっている本もある。
    ”電子書籍”への拒否反応が、少し和らいだ気がする。

    この本の最後は2ページに渡る『エンドロール』
    この本の制作に携わった人々の名前が35人と配送会社1社。
    まさに映画のエンドロールのように。

    この本を読んで知ったことがもうひとつ。
    多くの本のページ数は、白紙なども含めて16の倍数になっている。
    片面8ページ、両面で16ページで印刷されるから。

    読み応えのある一冊だった。

    YouTubeに『本のエンドロールができるまで』
    「本のエンドロール ー造本編ー」がUPされている。
    本で読んだ本ができるまでの工程を映像で見ることができる。

    https://www.youtube.com/watch?v=m8gYHGwbVQE

    私が手にしている本は、こうやって生まれてくるんだ…
    と、しみじみ。
    本がますます愛おしくなってきた。

  • 印刷会社の営業・浦本学。本が売れなくなり、電子書籍が増え、斜陽産業だと言われても、浦本は働く、職人たちも働く、必要とされる人がいる限り。本ができるまでの苦難・ドラマを描く。
    私は本を読むことが好きです。作家さんがいて、出版社さんがいて、そして一番本のことで足しげく通うのは本屋さん。本屋さんの売る努力をお店にて感じるが、この本は今まで知る機会がなかった印刷会社さんの働きのワンシーン、苦労を見て、本を作ることへの熱い熱い思いをガツンと受け取りました。目立たぬところで非常に熱かった。電子書籍に馴染めない私としては、紙の書籍を作り上げてくださる方々に大いに感謝したい。そういった印刷所の舞台を知るだけでなく、営業・浦本の成長や、社員の人間ドラマも見所です。仕事小説みたいだけれど、仕事とか生き方とかメッセージが込められて。読んでいて付箋を貼り線を引っ張りたくなるフレーズがたくさんありました。何度も読み返したい。本を手に取るときに重みが変わったわ。

  • とある講演で、「2011年に、アメリカの小学校に入学した子供たちの65パーセントが、現在存在しない仕事に就くだろう、と言われている」という話を聞いた。確かに昭和40年代生まれの自分が子どもの頃にはなかった職業が燦然と輝いているのだから、この先もっと速いサイクルで仕事は変わっていくのだろう。
    出版業界も右肩下がりで、子ども時代に電子書籍が一般的になっている世代が育っていけば、印刷業などはいずれ姿を消して行く産業なのかもしれない。けれどこの本からは、歯車の一つである人たちの小さな闇と闘う姿が、一筋の光となって放たれている。
    一人ひとり、アプローチは違うけれど、皆同じ目標に向かって、反発しあったり手を携えたりしながら前へ進む。
    池井戸潤さん的な勧善懲悪、大企業対弱小企業みたいな分かりやすいフラグの立った話ではないが、是非読んでほしいお仕事本だ。
    ドラマ化しないかなぁ…。
    2018.7

  • 本が出来るまでに本当に色んな人が関わって形になっていくのだなぁと改めて感じた。
    始めは中々理想と現実でもがいていて苦しいけど、その先にあるもののために皆仕事をしていた。目の前のことを一つ一つやっていくことも理想を持つのもどちらも大事だ。

  • 書籍が出来上がるまでの話は、出版社と筆者にスポットが当たるものが多いと思うのだが、これは印刷会社にスポットを当てた話。
    物語は「印刷会社はメーカーだ」とぶつ、印刷営業マンの浦本の視点で進む。
    工場を支える野末とジロさん、得意先の出版社、オウヘイという渾名の編集者の奥平、浦本と一見正反対に見える仲井戸、オペレーター職を天職と堂々と言ってのける福原。
    そして、頑固な職人ばかりの作家や装丁デザイナー。
    物語の登場人物をなかなかすべて把握できないわたしだけど、この本はすべての登場人物が生きていて、私の中に強烈な印象をもたらした。
    自分が少し印刷が絡む部署にいる経験から、印刷会社の葛藤がよく分かったし、それでも知らなかったこともたくさんあり、本当に読みごたえがあり、面白かった。
    物語の中で生まれる本たちに愛情を持てた。
    そして、なんと言ってもタイトルの秀逸さだ。
    この本の最後には、実際に本を造ることに携わったすべての人の名前が書かれていて、真摯に作られた物語であることが、最後のノンフィクションの部分で見せる構成になっていて、涙が出るくらい感動した。

    安藤祐介さんの本は初めて読んだけど、他のものも読みたくなった。
    堅苦しくなく、でも軽すぎず。
    とっても好きな文章だった。

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著者プロフィール

安藤祐介
一九七七年生まれ。福岡県出身。二〇〇七年『被取締役新入社員』でTBS・講談社第一回ドラマ原作大賞を受賞。同書は森山未來主演でドラマ化もされ、話題を呼んだ。近著に『本のエンドロール』『六畳間のピアノマン』『就活ザムライの大誤算』などがある。

「2023年 『崖っぷち芸人、会社を救う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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