地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209960

作品紹介・あらすじ

3.11から丸7年。すっかり報道が少なくなる中、避難指示解除が進んだ福島第一原子力発電所近隣地域で進む恐るべき事態とは?
 現実を無視した「帰還」事業、弱き者への支援の打ち切り……メディアを通して見せかけの「復興」が叫ばれ、実際には、自治体の「町残し」ばかりが進み、人が消えていく実情。
 震災直後から足を運び、取材を続ける唯一の大手紙記者にして、新聞協会賞三度受賞の若手女性ジャーナリストが迫る、大メディアが報じない「不都合な真実」!

感想・レビュー・書評

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  • 地図から消される街 青木美希 講談社

    副題に「311後の言ってはいけない真実」とあるこの本は
    朝日新聞の特別報道部の記者によって書かれたもの
    自分の足で集めた証拠をもとに書いた「手抜き除染」の報道後に
    書き起こした力作だ

    政治や行政のお為ごかしの仮面や利害に群がる業者の
    目的を履き違え当事者を踏みにじる実態が見せる問題の深さと渡り合い
    客観性を大事にする記事ができるまでの努力と試行錯誤の
    歯痒い過程を見せてもくれる
    板挟みの正義ある行政官の死や
    被災者同士のいがみ合いを助長しているのが
    当の政治であり行政であり
    避難者をイジメる井戸端会議や学校の陰湿な体質など
    にっちもさっちも行かない腐った共食い現象を浮き彫りにしている

    結局解決策は国会を取り戻し三権の談合を解散させることであり
    こうした現実に痺れを切らした国民の民意が爆発する以外の
    ありえないのだろう
    一人ひとりが事実と向き合い
    権力層によって煽れれている共食いと分断に気付いて自ら止め
    声を揃えて「NO」を突き付ける以外にない

  • いつもこの様な本を読むと如何に自分が
    無知であるかを突きつけられる。
    何故 本当の事を無かった事にしようとするのか。
    誰かが諦めるまで根をあげて降参するまで
    ただ待つだけ...
    この国はそんな国ではないと信じたい。のだが...

  • 福島第一原子力発電所の事故直後、通常より放射線量が高くなって
    いる所謂「ホットスポット」の報道があった。関東周辺でも河川や
    湖、東京湾などの放射線量の報道もあった。それがいつの間にか
    どこも報道しなくなった。

    報道されないから福島第一原子力発電所から放射性物質の放出が
    止まった訳ではない。本書でも取り上げられているが、原発敷地
    内のがれき撤去の際、大量の放射性物質が拡散している。

    それなのに、避難指示区域の解除が進み、避難者への住宅提供は
    打ち切られ、それでも元の街へ戻らぬと判断した人たちは「自主
    避難者」と呼ばれて補償さえも打ち切られる。

    風評被害を助長する気はない。ただ、新たな安全神話が作られよう
    としているのではないかと危惧している。避難指示が解除された地域
    は、本当に安全なのかと疑問を抱いている。

    福島第一原子力発電所の廃炉までには30~40年がかかると言われて
    いる。その過程でがれき撤去の際のような放射性物質の放出がないと
    誰が言い切れるのか。廃炉作業自体が手探りではないのか。

    本書が取り上げているのは原発事故によって救えなかった命、地元採用
    の東電社員の苦しい心情、東電本店と現場の温度差、手抜き除染作業
    問題、誰の為の帰還政策か、避難者へのいじめなどである。

    唖然とする。本来であれば東京電力に対して厳しく対峙しなければ
    ならないはずの原子力規制委員会は放射能拡散リスクを矮小化する。
    前委員長の田中俊一氏が飯館村に移住したことが美談のように報道
    されていたが、とんでもない。田中氏こそ、まったく科学的ではない
    理由を持ち出した張本人なのだから。

    避難指示の解除が進んだ地域でも、実際に帰還する人たちは僅かだ
    と言う。そうだろうなと思う。特に小さなお子さんを抱えたご家庭
    なら尚更じゃないかと。だって、低線量被曝の影響は明確な判断
    基準がないのだから。

    本書は福島第一原子力発電所の事故から7年目に発行されている。
    その時点でさえ、あの事故をなかったことにしたい人たちがいる。

    その証拠に原発の再稼働は進み、経産省に至っては原発支援の為
    の補助金を検討している。この補助金、電気料金に上乗せさせる
    方式らしい。消費者舐めてんのか、経産省。

    報道されないから安全で安心だとは言えない。棄権はまだ生活圏の
    すぐ隣に存在している。それを「ないこと」にしようとしているの
    は、本書が述べるような政府による核武装ではないと信じたいが、
    国民よりも電力会社が大事であることは原発安全神話を振り撒いて
    いた頃と変わっていないのだなと思った。

    ※全国の放射線量については以下のURLが参考になる。
    https://new.atmc.jp/

  • たまたまだが、ちょうど3.11の8年目のタイミングだった。
    我々が知らない、見えていない除染の裏側、避難者に対するいじめの実態について掘り下げている。
    昨年のGWにリアルな状況を知りたく福島までツーリングに行ったが、復興はまだまだ始まったばかりというのを目の当たりにした。
    今後も年に1度は福島に行き、大震災を忘れないようにしたい。

  • 序章 「すまん」原発事故のため見捨てた命
    第1章 声を上げられない東電現地採用者
    第2章 なぜ捨てるのか、除染の欺瞞
    第3章 帰還政策は国防のため
    第4章 官僚たちの告白
    第5章 「原発いじめ」の真相
    第6章 捨てられた避難者たち
    エピローグ

    著者:青木美希(ジャーナリスト)

  • レビュー省略

  • 近年福島に関する報道がすっかり消えてしまった事に違和感を覚え、この本を手にとってみた。

    東電現地採用者の視点、除染作業員の視点、自主避難者を含む住民の視点、官僚の視点など、様々な立場から書かれている。

    ひっ迫した生活を送る人達の記述には息をのむ。
    そして3章4章はぞっとした。

    何も分からないないまま、自分で判断出来ないまま、ただ何となくタブーを避けたり、報道をただ鵜呑みにして生きていくのは御免である。

    世論に左右されずに、
    まずはこの事故を忘れない事、情報を正しく読み解く事だと思う。

  • 昨今、多くの自然災害が起こりました。その報道の中で原発事故で避難指示が出た地域の現状に関する報道が極端に少なくなっていることを感じる人も多いのではないでしょうか。
    本書は避難指示が解除されつつある福島県の原発近隣地区の現状を様々な角度からの切り口で描くノンフィクションです。
    除染に使用した水は回収して放射性廃棄物として処分しなければならないのに、多くの現場で川や側溝へ垂れ流しされていて、それを監視監督する省庁も人手不足で対応できておらず、「除染したことになっている」地域が多数ある事。
    福島第一原発での「がれき」撤去作業によってセシウムが新たに飛散し、近隣で作付けされていた稲に付着した結果、収穫されたコメから基準値を上回る値が計測されたのに、原因を調査した原子力規制委員会が「原因不明」として扱い、却って福島県産のコメに対する安全性を阻害した事。
    他府県へ避難された方への住宅供給制度が、復興ありき・住民の帰還ありきの方針のもと打ち切りとなり、「自主避難者」扱いとなって支援もなくなり、住む所さえなくなっている人が多数発生している事。
    避難先の地域に通う学校で「避難者」であることを理由に多くの「いじめ」が発生している事。
    この本に書かれているどの事実をとっても、本当に理不尽な思いがこみあげて来ます。2020年の東京五輪を「復興五輪」などと奇麗ごとを海外に発信する前に、もっと国が向き合うべき事実があるのではないかと感じさせられました。

  • 本館開架(新書) [福島第一原子力発電所事故(2011)]
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25758557

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著者プロフィール

青木美希(あおき・みき)
新聞記者。1997年、北海タイムス入社。北海タイムス休刊にともない、1998年9月に北海道新聞入社。旭川と札幌で勤務。札幌で警察担当のときに北海道警裏金問題(2003年11月から約1年のキャンペーン報道)を手がける。2010年9月、朝日新聞に入社し、東京本社社会部に所属。東日本大震災では翌日から現場で取材した。2011年9月に社会部から特別報道部へ。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。2013年、特別報道部の「手抜き除染」報道を手がける。取材班は新聞協会賞を受賞した。

「2018年 『地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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