ヤイレスーホ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 82
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062210546

作品紹介・あらすじ

【対象:小学校高学年以上】
「天山の巫女ソニン」シリーズでニュー・ファンタジーの旗手としての地位を確立した菅野雪虫が、アイヌ神話をモチーフに描いた長編ビルドゥングスロマン『チポロ』。あのときの少年と少女、そして神々に、また会える!!

力も弱く、狩りも上手くはない少年・チポロと、姉のような優しさで彼の世話を焼く少女・イレシュ。魔物たちにさらわれたイレシュを救うために、、チポロは弓の腕を磨き、北のさいはての港町・ノカピラへと向った――。

これは、チポロがイレシュを取り戻した旅から、数年経った世界のお話。
あのときイレシュをさらい、彼女に触れたものを凍らせる魔力を与えた蛇の魔物・ヤイレスーホがこもる雪山の洞窟に、ぼろぼろの身なりをした少女が現れて言った。
「ねえ。あたしも、その『呪い』が欲しいんだ」
魔力を求める理由を少女・ランペシカから聞いたヤイレスーホは、少女を連れ、イレシュ、そしてチポロが暮らすコタン(村)へと向かう。
ヤイレスーホ、イレシュ、そしてチポロが、復讐心にとりつかれた少女に対して示した答えは何だったのか――。

「生きること」「つぐなうこと」「ゆるすこと」……。人が生きるうえでぶつかる、どうにもならない思いや感情を描ききった、たしかな児童文学の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 親の仇をとりたくて魔物ヤイレスーホに頼るランペシカ。ヤイレスーホは、かつて自分が苦しめたイレシュのもとへランペシカを連れていく。神とは魔物とは人間とはなんなのか。決して力は強くないが人のことを親身になって考えてくれるチポロがかっこいい。

  • 前作「チポロ」でのヤイレスーホが不憫に思えたので、彼が救われる物語かと思った。
    仲良しこよしにはなれなくとも、チポロやイレシュと普通に会話できるくらいの間柄にはなっていてほしいと思っていた。
    だがそれはあいつも悪気がなかったんだから許してやれよ、と関係のない第三者が被害者に向かって言うのと同じことだ。

    一度異端になった者は狭い村には完全に溶け込めなくなるし、残された家族も深い傷を負う。
    イレシュが連れ去られた3年間はなかったことにはならないし、帰ってきたからといって元のままに戻ることなどできない。
    納得できず、楽しめず、前に進めない出来事が起こった者はそれを片付けるしかない。そう言ったチポロは力強く明るい若者になっていたが、イレシュもその家族もつらい思いをしたのは自分のせいだという思いは拭えない。
    チポロのように強くなって探しに行けなかったイレシュの弟のマヒトの傷もまた深い。

    そんな彼らの過去を知らないランペシカは、子供ならではの無遠慮さと単純さで彼らの中に入っていく。
    微妙な均衡で保たれていた生活がかき回されるが、彼らが過去の傷と向き合い進む助けになったのではないだろうか。向き合うことと乗り越えることは別だし、トラウマは必ず乗り越えなければならない訳でもない。

    ランペシカは人間を信じられなくなった子供だ。でも与えられた好意は受け止めるし理不尽には憤る。人を恨むし強すぎる力を得て復讐することも、代償を払ったことを後悔しない、まっすぐな人間だ。

    ランペシカはイレシュたちとは全く違う立場と角度からヤイレスーホに接することができる。
    ヤイレスーホの願い通りではないかもしれないが、彼を理解して好きになってくれた人ができたのは良かったと思った。やっぱり不憫なままだけれど。
    そしてやっぱりミソサザイの神様はいいキャラクター。

    勧善懲悪ではないし、登場人物たちが全て報われる物語でもない。
    悩み苦しみ、自分の中で折り合いを付けながら生きていくために選び取る。
    そんなことが随所にちりばめられている物語だ。

  • 「チポロ」よりはるかに面白かったと思います。
    もちろん、あの土台があっての「ヤイレスーホ」ですが、主人公がランペシカ(タイトルで幅を利かせていますがヤイレスーホではないと思う)になることによって、ちょうどいい人間臭さが滲み出ているというか。
    「チポロ」で感じた、壮大な世界観の割に奥行きを感じない…というもの足りなさが薄れている気がします。
    ザ・児童文学!な感じの一作目を考えると、予定調和な感じで問題の彼を囲んでワイワイして終わるのだろうと思っていたので、「ほう…」と意外さも味わえました。

  • 『チポロ』の続編。哀しい悪役だった蛇を気に入っていたので、その後で報われるかもと期待しつつ読了。しかし救いはほぼ無い。新キャラのランペシカが彼にとって唯一の救い。ヤイレスーホは、ランペシカやイレシュの前に現れることは無いでしょうね。哀しいなあ。哀しいといえば表紙。今回の表紙は好みですが、1作目と2作目の装丁画変わってしまうとシリーズものと分かりづらい。理由が理由だから仕方ないけれども。笹井一個さんが描くヤイレスーホの姿見てみたかった。

  • チポロの続刊。
    話の半分くらいが、伝聞や説明などで元の話と重なってしまうため、新味に欠けてしまった。足踏み・肩すかし感が強い。ヤイレスーホ自身についても、もっと突っ込みたかった気がする。
    おそらく続刊を予定しているのだろうから、それを読んでみないと評価ができないかも。

  • チポロが魔物の手からイレシュを救い出して数年後──

    悪だくみによって父を失った少女ランペシカがかたき討ちのためにたずねたのは、蛇の魔物ヤイレスーホのところだった

    「ねえ。あたしも、その『呪い』が欲しいんだ」

    復讐を望むランペシカはヤイレスーホによってイレシュに託され、チポロとともに北の港町ノカピラに向かう

    裁き、償い、赦し
    迷いながらそれぞれが出した答えとは

    『天山の巫女ソニン』の菅野雪虫によるアイヌ神話を下敷きにした冒険と成長のファンタジー、2015年刊『チポロ』の続編にあたる

  • 『チポロ』の続編とのことで飛んできました。
    想像以上に恋愛色でびっくりした・・・ヤイレスーホお前・・・思ってたよりちゃんとイレシュのこと好きだったんだな・・・(動揺)
    ラストは前巻に輪を掛けて悲恋ENDで・・・切ないじゃねえの・・・。

  • チポロを読んだと思うけど、あまり覚えていない。でも単独でも十分面白く読んだ。そうは言ってもヤンクアダルトだから子供っぽい?面も無きにしもあらずだけど。

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、本書の前作にあたる『チポロ』『ヤイレスーホ』(ともに講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』「女神のデパート」シリーズ(ともにポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。

「2021年 『ランペシカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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