とりかえばや物語 (少年少女古典文学館 8)

著者 :
  • 講談社
3.84
  • (11)
  • (14)
  • (18)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 78
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062508087

作品紹介・あらすじ

平安時代末期に成立した『とりかえばや物語』は、内気で女性的な若君と、男性的で快活な姫君とが、それぞれ女装し、男装して生きていくことで展開する王朝の物語である。「男女をとりかえたい」との父親の願いが、そのまま物語のタイトルになっている。源平の動乱の直前で、貴族社会は爛熟のあとの退廃に向かい、人々の心に不安が漂い始めた時代を反映してか、この物語には、ゆがめられた形の複雑な愛情表現や心理描写がなされており、それゆえにこそ、現代にも通じる文学としての地位を保っている。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 子供向けに現代語訳されているので、スラスラと1日で読める。
    文化、慣習が今と違うので、理解しがたい思考や行動が多々みられるが、登場人物が生き生きと描かれているので面白い。
    男性的な性格の女君が、男として宮中で働き、才能を認められ昇進し栄光を手に入れる。人に顔を見せることもなく家に閉じこもり、男性に頼るだけで生きていかねばならない女性の生き方は不満で、男社会で自分の裁量で自由に生きていきたいと願う女君。
    男の生き方、女の生き方を考えさせられる物語。1000年も昔から、女性が今と同じようなことで悩んでいて、そしてそれが続いてきたことに悲しさを覚える。

  • 古文で読むには時間がかかりすぎて挫折も容易に想像できるので、こちらで読了。
    田辺聖子さんの現代語訳は直訳では理解できない部分を細かく描写されているので非常にわかりやすく、読みやすい。
    男女の性の描写も読者が少年少女向けと考えて非常にやんわりと美しく描かれている。

    この物語への感想としては、歴史の知識と文学体験が浅く、解説ではこの時代にここまで自由にモノが言える女性の描写が素晴らしく、男社会を揶揄するのが爽快と書かれているけどここまで男女格差の平等を叫ばれた進んだ社会では特に良いと思えない。

    一夫多妻や仏教思想や迷信が主人公が嘘を重ね、最終的に自らの性別に収まるのに都合よく作用していて、当時のライトノベル?と思う。せっかくここまで来たのなら、貴族社会を飛び出してしまえと思うのだが、作者不詳のこの物語も結局は貴族社会を捨てきれない者の物語と思う。

    男女が入れ替えの奇抜さ以外は源氏-に憧れた作者の模倣かな。

    挿絵がとても素朴でかわいらしく、素晴らしい。
    たとえば「あさきゆめみし」のような西洋風の目鼻立ちではない姿の当時の貴族の風貌で人物たちが動いているのが想像できてイイ。

    図書館本

  • とても面白かった。源氏物語よりも私は好きだな。作者の発想が素晴らしいと思う。秋月が兄として漢気を見せた場面がとてもかっこよかった。ハッピーエンドで読み終えた後もいい気持ちだった。
    ただ、女東宮だけが少しかわいそうだと思った。

  • 授業以外、古典文学を全然読めていない人間ですが、子供向けということで訳や注釈も分かりやすく読みやすかったです。
    この時代でこういった設定を持ってきたことや、女性の社会への考え方が他のよく知る文学と違い、新鮮でした。
    終わり方があっさりで若干拍子抜けしましたが、面白かったです。

  • 「君の名は。」の新海監督も着目していたという本作だが、本当に平安時代にこんな創造性に富んだ物語があったことに驚かされる、そう思うと日本という国はコンテンツの宝庫で、世界で類を見ない文化国家であることが分かる。本作はSF的な意味での男女入れ替わりではないが、リボンの騎士を思い出されるような物語でもあり、手塚治虫もやはり影響されたのかしら。少年少女古典文学館なるシリーズから出ているが、これを読む少年少女はちょっと早熟すぎるのではないだろうかと思えるほど、エロチックな物語でもある。

  • はっきり読破したのは初めて。田辺聖子さんの訳が生き生きしていて、引き込まれる。現代女性の悩みが平安の世にも…というか、平安時代から相も変わらず女性は苦しんできたのに、現状を変えるまでには至らなかったという事実に、愕然とする。

  • 古典に興味はあったものの、なかなか手が出ずにいました。
    このシリーズは、現代の少年少女に鑑賞してもらいたいとの目的で、現代文でわかりやすく書かれています。
    また、どの作品の著者も有名方々ばかり。他の作品も読んでみたいと思います。
    少年少女に、と言う目的ではありますが、内容が少し大人向けのように感じました。あらすじしか知らなかった“とりかえばや物語”。こんな話だったんだ!ってびっくり。しかし、面白くてあっという間に読んでしまいました。
    田辺聖子版とりかえばや物語、大変面白かったです。

  • 古典久しぶり。少年少女用だからよみやすい。なかなか古典とはいえすごい物語。

  • 氷室冴子「ざ・ちぇんじ」の原作。

    平安末期の小説だそうな。
    それを田辺聖子が平たく読みやすくしている。

    児童向け図書ではあるが、内容は大人向け(*^o^*)

    何でもありの男女関係を描いているが、
    随所に「男がいかに浮気性か」が書かれていて、
    作者の恨みの深さを知る。

    …作者は男なの?女なの?

    氷室冴子の「ざ・ちぇんじ」の方が夢があるなぁ~。

  • このシリーズは小学生の頃にハマってよく読んでました。読みやすいだけでなくイキイキしていて、かつ原典のエグ味を程よく抜いた素晴らしい現代語訳だったと思います。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

田辺聖子

一九二八年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。六三年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、八八年、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞、九三年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、九四年、菊池寛賞を受賞。九八年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。二〇〇八年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。一九年六月死去。

「2020年 『大阪弁おもしろ草子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田辺聖子の作品

ツイートする
×