巻五 (源氏物語)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 52
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062521055

作品紹介・あらすじ

源氏たちの恋慕する玉鬘を手中にした鬚黒は、北の方に香炉の灰をかけられる。夕霧と雲居の雁が結婚。紫の上は、入内した明石の姫君の後見を、生母の明石の君に委ねる。

感想・レビュー・書評

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  • 玉鬘や夕霧の結婚があり、明石の姫君の入内で源氏の絶頂期となり準太上天皇(ここでしか聞いたことない)となるところまでのお話。

    源氏のいたずらめいた趣向で、兵部卿の宮が玉鬘の姿を蛍の光の中でみるのですが。いくら兵部卿の宮が熱心に言い寄っても、結局は俺でしょ、という自信もあるのか。内大臣にいつ打ち明けようかとあれこれ考えたり、嫁がせようとしたり、宮仕えさせようとしたり、玉鬘に関しては、自制しつつも、揺れに揺れている源氏。かなりめんどくさいです。でも、自制といっても、イチャイチャしてるところを夕霧がみて、「???」となったのだから、自制してたと言えるのか。そんなことしている間に、髭黒の大将に奪われてしまう。玉鬘は自分の身の振り方にほとんど決定権が無かった。この時代の女性はこんな感じなのか。気の毒。できれば、この境遇で、自分で道を多少なりとも切り開いてほしかった。そうしたら面白かったのに。そう考えることすら、時代的には無しなんでしょうか。

    玉鬘とは対照的な近江の君が面白い。どちらも内大臣の娘で共に後から見いだされたことも、同じ。玉鬘は可愛くて聡明。まさに、ヒロインタイプ。近江の君は、この空気の読まない感じ、やたら動きの激しい感じ、だけど悪気はなくて一生懸命、よくあるアメリカのアニメに必ず一人はいる脇役キャラです。

    末摘花の時にも思ったのですが、寂聴の「源氏物語のしおり」などを読むと、紫式部はすごく意地悪な書き方をしているらしい。紫式部日記の中に、女房として出仕しているとき、意地悪に荷担したときのことがかかれてあったと思いますが、そんなものなのか、宮廷女房。
    ただ、寂聴訳ではあまり、意地悪さを感じないのは、寂聴が末摘花や近江の君の善良さなど美点とみて優しい眼差しを向けているからか。そんな訳を通して読むと、当時、紫式部の書いた源氏物語を読んだ人たちと私たちとは受ける印象も感想も変わってくるのかしら。ともかく、いるいる、こんなひと!とちょっとほっこりしてしまうのは、二人が道化の役をしているからだけではなく、今の時代が美醜やコミュ症の人たちの存在に昔より寛容だからかな。そういう時代の訳を読んでいる。源の典侍だって、今は高齢だって婚活してるのだから、案外受け入れられる?髭黒の大将の考え方も、そんなに違和感無いように思います。まぁ、無理やりに既成事実作って結婚に至るというのは、どうかと思いますが。玉鬘も容貌が気に入らなかったようです。真面目であちこちと右往左往する様子が、不器用な感じでなかなか。まわりにいそうです。

    この巻でやっと明石の君が報われ、宮中で娘と暮らすことになります。こちらはずいぶん放って置かれてましたが、良かったです。

  • 光源氏の栄華ここに極まる。
    自身の位も最高のものとなり、夫婦仲も良く、息子の結婚、娘の結婚と幸せの絶頂です。
    幾度となく、宴が開かれる様子は、まさに平安貴族の雅な様子が描かれています。

  • 源氏も30代。息子の結婚や、娘の入内の話。娘のように引取った女性への恋。その女性の望まない結婚。

  • 長編大作の5冊目。ストーリー展開の部分は面白いが、状況描写だけで読んでいてつまらない部分もある。でもきっとどちらの部分も大事で、この物語の価値を高めているのだろう。この物語が1000年も前に書かれたこと、その時代の状況等を考えると、素晴らしい作品だと思う。

  • 源氏物語

  • 2002年6月 図書館で借りた

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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