ヘルメ・ハイネの水晶の塔〈上〉 (講談社X文庫―ホワイトハート)

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  • 講談社
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本棚登録 : 11
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062550154

感想・レビュー・書評

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  • <両方が同時に存在する>


     いよいよホンモノの愛読書のことを書こう☆
     この素敵な物語にどんな表現でふれたらいいのか迷うけど、趣味の読書は自由ですから、人に説明するのが難しい小説にほど惹かれるのです。

     著者は美しき言霊を操る歌人で、数多のファンタジー小説の翻訳者でもある井辻朱美さん。自らも夢の泉から汲み上げたような、かぐわしい物語を紡ぎます。少女時代の私の入れ上げようは少々おかしいほどで、著者の全作品に恍惚としていました。
    『ヘルメ・ハイネの水晶の塔』は、井辻作品のなかでも特別、霧の中を彷徨うような不思議メルへンです☆

     一枚のちらしに誘われて夏の国を飛び出し、秋のはじまりへとやってきたマーレン。くるくる働き回って元気いっぱいな上巻の姿はとても眩しく、まさに夏の国の女の子でした。この、夏のイメージも好きなんですよ~。
     ところが彼女は「暖炉と箒型の人間」でもあったと言い出して、下巻からは別人のように変貌し、冬枯れの世界の旅人となるのです★
     最初は愛らしい小さな街の物語と思ったのに、マーレンはあまりにも長い旅に出てなかなか帰ってくれません。その上、主役は魔女に途中交代――!?

     こんな遠くまで運ばれてしまうなんて……。いえ、予兆はあったか☆
     すべての人物がいくつかの役を兼ねて、揺れていた。前半で決まっているように見えた性格や役割が、後半で揺らいだり薄まったりします。「しなければならないこと」を担って変わりゆくマーレンやダルシラの様子は悲しくもありますが、私はこの作品の“揺らぎ”をとても愛しているのです。

     老人のセリフを引用します。「本当は両方が同時に存在するのだ」
     二つの世界は絶えずほどけず、どちらが現実か幻か、世界の謎は風となり透き通るーー
     すごくわけのわからないおはなしだけど、ただもう夢中でした。G・マクドナルド、とりわけ井辻さんがお好きな『ファンタスティス』を彷彿とさせます。

    2002-12-07

  • どこかであらすじだけは見た気がする。探しても探しても見つからない。

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著者プロフィール

東京大学理学部を経て人文系大学院比較文学比較文化修了。
神話を含む、トールキンから現代作家にいたるファンタジー文学の研究・翻訳を仕事としながら、
『エマヌエルの書』『無条件の愛』『幸福学のすすめ』など精神世界の紹介にも携わる。
近著に『ファンタジーを読む─『指輪物語』『ハリー・ポッター』
そしてネオ・ファンタジーへ─』、
歌集に『クラウド』、訳書に『パリンプセスト』など多数。
白百合女子大学教授。

「2020年 『上方への落下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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