風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 講談社 (1994年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062551786
感想・レビュー・書評
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再読
そろそろ不思議なのはファンタジーとしての十二国のありかた
この巻で実際の力を及ぼしている神という存在に仕えて生きる姿勢と
こちら側との縁遠さが描写されているが
支配階級が不老でなぜ世界がまともにまわっているかが
こちら側で知られる人間世界との最大の差異だろう
もちろんまともにまわっておらず賢君次第と取ることもできるが
それはあまりに戯画じみていて
だからこそお話の先が求められるが
そもそも二作目で失敗していなければとっくに終わっていたのではないかとも思う
こう思わせることもなくにでも -
中学時代に読んだ時は、風の万里は特に難しいし長いし、中だるみしていてちょっとつまらないな、と思っていたのですが、十二国の物語で一番好きなシーンはと聞かれたら、このお話の最後、陽子の初勅のシーンです。
「人はね、景麒ーーー」
人生の教訓がたくさんあるこのシリーズですが、もっともこうありたいと思うのは、この陽子の初勅のような人間なのです。 -
陽子、祥瓊、鈴、女性3人の成長物語。
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あまりにも上巻の終わり方が悲しすぎて…悲しすぎて…。
ことさら鈴と祥瓊の精神面での成長が著しいことが胸にしみる。
しかもあんな弁も立つようになって…強ヒロインに定評のある十二国記シリーズ…。
あと楽俊はいいヤツ。やっぱりいいヤツ。 -
下巻はどんどん話が進んで気持ちが良い。陽子がかっこいいね。景麒と陽子の間のギクシャクがなくなってきて嬉しい。まずは国造りの第一歩を無事踏み出せて良かった。
初勅のシーンを読んで何故か思い出したのが、小さい頃読んだ「炎のロマンス」。主人公の女王が今後黒髪の女王を廃止するって宣言する場面。昔の少女漫画はドラマチックだったよねえ。 -
作者が「あとがき」で書いているとおり、たくさんの人が死ぬ話。圧政に耐えかねた民衆が武装蜂起する話だから仕方がないが、蘭玉まで殺すことはなかろう…などと思うのは、物語にすっかり引き込まれてしまった証拠か。景麒に騎乗した陽子が禁軍の将軍に怒りをぶつける場面がとにかくかっこいい。
(2020/04/05追記)
もう何回読んだか分からないが、それでも読んでいると目が潤んでくるので、通勤途中の電車の中では読めないことが分かったと言ったら、家族に笑われてしまった。 -
本って速く読むと入り込む集中力というか、想像が止まなくなって、世界観にどっぷり落ちていく気がします。
何度も読んでいるから、どんどん読み進められます。
右も左もわからない朝廷で、何が正しいのかわからない陽子。そんな陽子の味方となる人達と出会う物語です。
景麒の不器用さ、陽子も真面目だから、2人の関係がもどかしい。でも、景麒は陽子のこと大好きなんだろうなというのが伝わります。(ちなみにここに書いてあることは色恋の話ではありません。)
<以下引用>
「知ってなきゃいけなかったんだ。公主の祥瓊より、おいらのほうが芳に詳しい。それって襤褸を着るよりも恥ずかしいことだって、分かってるか?」(上巻p.321)
楽俊・・・すごい。なんだか私にもグサっときました。知らない、自分さえよければいい、これって自分にもあてはまることだと思ったからです。私は、自分に甘いから、自分を守ることに精一杯でそんなところを反省しました。
本の登場人物たちのように、自分の弱さ・悪さに向き合えるようになれるかな。