図南の翼 十二国記 (講談社X文庫)

著者 :
  • 講談社
4.11
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本棚登録 : 6046
感想 : 505
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062552295

作品紹介・あらすじ

恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。首都連檣に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山をめざす。珠晶、12歳の決断。「恭国を統べるのは、あたししかいない」。

感想・レビュー・書評

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  • 所変わって、恭国の十二歳のお嬢さんのお話。

    ひたすら蓬山を目指す話だが、小さいのにこの子は凄い。
    賢さも凄いが、行動力がある。
    この作者さんは様々な人格の登場人物を自在に操っている。
    生き生きとした若い行動力が最初から最後まで実に清々しい。

    自分には持っていないものをたくさん持った子で、
    またまた読書に没頭してしまった。

  • 4.4
    長かったけど、面白くて数日で読みました。
    予備情報を入れず読み始めて、今まで殆ど出てこなかった話だなと思いながら読み進めていきました。
    描写が細かく、こちらの世界の話ではないので知らない単語がたくさん登場してきちんと理解し想像しながら読むのはそれなりに時間がかかりましたが、中盤以降単語も大体理解してきてからは読むペースが上がりとても楽しく読めました。
    今まで黄海の話はちらちらとは出るものの、今回はほぼ黄海の話だけで理解が深まりました。
    ここまで続けて読んできて、改めて魔性の子から読み直してみたいなと思っています。
    でも何年か空けてから読んだ方が面白いんだろうなとは思うので、しばらくは我慢してまずは次に進みます。

  • 殊晶の言葉は少女のかしましさもありながら、でもまっすぐで物事の根幹を指していて、今でも心に残っている言葉がいくつもあります。
    終盤で、王の責務が果たせるのか?と問いかけられた珠晶が「そんなこと、あたしにできるはず、ないじゃない!」と反発するところが好きです。
    ではなぜ昇山するのか?と問うと、「義務だと思ったからよ!」と答える。
    なにもせずに諦めて受け入れるんじゃなくて、自分の責務を果たそうとするところがとても好ましいです。

    風の万里の台詞に彼女の生き方が現れています。「私が恵まれた暮らしをしてるのは、重い責任を担ってるから」
    この言葉は、人生の価値観が変わるくらい、感銘を受けました。

    十二国は本当に素晴らしい。人生の教訓です。

  • 恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。首都連檣に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山をめざす。珠晶、12歳の決断。「恭国を統べるのは、あたししかいない」。
    「BOOK」データベース より

    主人公、珠晶の「有言実行」は見習わなければならない、と思った.

  • 非常にカッコいい「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」

  • シリーズで一番面白かった。前向きで一生懸命な主人公と、脇を支える二人が魅力的。

  • 何もかも全く違っていて互いの理解を拒んでいた珠晶と頑丘が、お互いのことを分かろうと努力するに至る道筋を通して、王とは?という十二国記で繰り返し語られるテーマに迫っていく。
    王はその世界を制するゆえに、その理屈を踏み越えねばならない、という利広の台詞、まさに!そこだよな!という感じ。利広と頑丘が話していたようなこと、道中で珠晶は学んで乗り越えていくんだよな。
    珠晶はただの頭のいい無謀な子供ではなくて、間違いは素直に詫びて正す素直さもあるし、子供なりに自分の信念に照らして一生懸命考えて考えて、怖いし辛いけど踏ん張って絶対逃げないんだというのが、良い。

  • 読み返し。

    十二国記は、(メインの)みなが強さを持っていてすごく好きなのだけれど、殊晶の強さは本当にすごい。
    12歳で義務だから、と家を飛び出してしまうなんて滅多にできることではない。
    ましてや、誰かを理解しようとしたり、行動の意味を考えたり、大人だってそうやって思考をめぐらす人はほとんどいない。それをやってのけるからこそ、王に選ばれたのだろうな。

  • 新潮文庫発売記念で再読。あ〜やっぱり新しいシリーズで揃えて買いたくなるなぁ。それはさておき、十二国記において景王陽子を巡る一連の物語が一つの本流であるとするならば、それに勝るとも劣らないもう一人の主役は間違いなく本書において僅か十二歳にして登極すべく蓬山を目指して旅立った珠晶であることに間違いない。年齢なりの幼さもあり、ばかなこともするけれども、自らの過ちと愚かさを認めることができる。目の前に現れた麒麟を叱り飛ばすのもいかにも珠晶らしくて清々しい。更夜の登場も嬉しい限り。最高の一冊です。

  • 【勝手に再読祭り】「恭国を統べるのは、あたししかいない!!」と12歳の若さで昇山する少女の物語。シリーズの中で一番好きです。
    12歳とは思えないほど頭もよく利発的であるが、やはりまだまだ幼く子供っぽい考え方をしてしまう珠晶。
    しかし昇山を通してたくさんのことを学ぶことで、彼女は成長していきます。

    黄海のことをよく知っている剛氏らが他の者たちに助言をして助け合えば良いのにと思う珠晶に、ではこちらが持っているものを相手が持っていなければどうする?悪戯に答えだけ言っても意味がないと主張する剛氏。
    子どもだから思う純粋な助け合いと大人だから分かる現実の厳しさ。
    大人だから、子供だからと枠にはめていては理解することもできないと同時に理解を拒絶している。知ったふりをしていることは知らないことに等しく、知ろうとすることが大切なのだということを学ばされました。

    「やるべきことをやってから嘆けば」という珠晶の言葉にグサッときましたね。
    結局私も「どうして誰も王になろうとしないんだ、王は現れないんだ、って怒っておいて、自分は王になれるはずがない、そもそも蓬山に行けるはずがない。」といっている大人たちと同じだな~と思うと虚しくなりますね。珠晶に怒られて当然だわ。
    子どものときに読むと珠晶の子ども目線で読めるけど、大人になって読むと大人目線の理屈で読めて二度お得です。そしてどちらにも「私も頑張らなきゃ」と心に響くものがあると思います。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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