魂にメスはいらない ユング心理学講義 ユング心理学講義 (講談社+α文庫)

  • 講談社 (1993年9月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784062560078

作品紹介・あらすじ

つまずくこともある。病むこともある。自分の内にありながら、どこかとらえどころのない人間の心。“魂の医者”カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本を代表する“こころの専門家”と“こころの表現者”が、深い独自のまなざしでたどり、見つめなおす。生を掘りさげ、夢を分析し、死を問いなおす2人の言葉のなかに、これまで気づかなかった「自分」が見えてくる、魂の根源に語りかける名講義録。


必ずプラス・アルファがある河合隼雄の本
心はなぜ病むのか。「生」の根源を考える名講義!

つまずくこともある。病むこともある。自分の内にありながら、どこかとらえどころのない人間の心。“魂の医者”カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本を代表する“こころの専門家”と“こころの表現者”が、深い独自のまなざしでたどり、見つめなおす。生を掘りさげ、夢を分析し、死を問いなおす2人の言葉のなかに、これまで気づかなかった「自分」が見えてくる、魂の根源に語りかける名講義録。

みんなの感想まとめ

人間の心の深淵を探求するこの作品は、心理学の巨匠カール・グスタフ・ユングの理論を基に、河合隼雄と谷川俊太郎の対談を通じて展開されます。内面を理解するための手法として、夢や箱庭、ロールシャッハテストなど...

感想・レビュー・書評

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  • もともと興味のある分野についてやっと読めた。

    ・夢分析について
    文化圏によるものもあるが、人類共通のシンボルがあることが興味深かった。もっと勉強したい。

    ・ユングの性格論について
    MBTIが流行っていたけど、その捉え方は人によって違って、嫌悪感がある人もいれば、血液型のように楽しむ人、深く分析する人などいろいろいたと思う。本書では、自分のタイプを知ることで生きやすくなると書かれていて納得した。私がMBTIにはまったのも、自分を相対的に捉えることで相手の行動の意味が推測できるからだと思うし、それを言語化できたように感じる。たとえ相手のタイプがわからないとしても、普段の行動から推測して相手に合わせることができるので、今の仕事でも多少は役立っている気がする。

    ・死生観について
    社会的な家族の暮らし方の変化もあって、死についての考え方が変わってきているらしい。死についてもっと深く考えることで、人との接し方が変わってくると思った。

  • ぐっとひえこんでいよいよ冬だなという早朝、谷川俊太郎の訃報に接し、うちにあるさまざまな作品を読み返している。この本は学生時代に買った。

  • 日本における分析心理学の第一人者である、河合隼雄さんと、谷川俊太郎さんの対談集。
    内面を探るための様々な手法「夢」、「箱庭」、「ロールシャッハテスト」等、それは、自我コントロール下にある覚醒時ではなく、自我コントロールが弱まってい状態時に本来の内面を探ろうとする取り組み。アルコールや麻薬、脳の機能の一部が失われることに伴う幻覚で夢とは仕組みが違う。
    日本人は西洋人にくらべ、みんな依存するのが好きであり、依存と独立のバランスが重要。

    『病気は個人の問題なんだけれども、ほとんどみんな社会的なひずみをせおっていると思うんです。』p236
    『ぼくが憂鬱になっているということは、ぼくの心の中で何かのうごきが止まって動かねばならないところが動いていないわけです。』p240

    ところで、今日昼寝をしている時、「デパートで素っ裸、慌ててトイレでシャツとパンツをはく」という夢を見たワタクシ。その深層心理がキニナル

  • 立ち止まって死について考えてみる。そんな機会は日常では中々ないから、こういう本を手に取って、魂について考えてみる。心理学でその人の事がよく分かるという。そうだろう。人間は、思っている以上に単純な反応で構成されている。しかし、この本は、何をしたいのかが、よく伝わらない。

  • もう5月くらいに読み終わってるだろう本・・・
    いろいろ忙しくて感想アップが遅れております(苦笑)

    河合氏、谷川氏の対談のような形で進んでいく本です
    お二人とも似た考えの持ち主なのか、途中「これはどちらが言ってるの?」となるほど(笑)
    一回読んだだけじゃ、なかなか理解は難しいですわ

    今回、付箋が付いているところを抜き出してみると・・・

    ・心理療法家として患者に向ける理論の刃は、とりもなおさず治療家自身に対しても向けれていることを
     しばしば強調します(p3)

    ・治療者となる者は自分を知ることが大事だから、みずから分析を受けなければならないと書いてあった
     わけです(p26)

    ・治るときは誰しも苦しい歩みを続けるのだから、そこに付き添う人があることは測り知れない大きい
     意味を持つのです(p67)

    ・その人の隠されている自己治癒力というんですか、いわばそれに対して大変な敬意を表しているんですね(p68)

    ・自己というのは自分のものであって、なおかつ開かれているものでしょう。ある一人の心の中に自己治癒の働きが
     生じるということは、周囲の人にも何らかの変化が生じているわけです。つまり一人だけが変わるということは
     あり得ないので、家族が変わる、先生が変わる、あるいはクラス全体が変わるというようなっことが実際に
     起こってくる(p239)

    ・ぼくはそういうネガティブな感情も、あるものはあるとして率直に受け入れる方が、全体としての
     インテグレーションがうまくいくんじゃないかと思っているんです。だからネガティブなものもポジティブな
     ものも同時に働かせながら、どう全体として統合するかが問題なんじゃないでしょうか(p244)

    ・ぼくは心理療法を学ぶ学生によく言うんです、どんなにおもしろくないことからでもおもろいことを見つけだす
     才能がわれわれには要ると。ぼくらが会う患者は、いつまで経っても一進一退の症状のまま一年以上もほとんど
     変化がないという人が多いでしょう・・・中略・・・そういうふうに、ぼくは自分の心を生きたものにすると
     いうのをしょっちゅうしています(p304)

  •  日本の心理学者の中でも著名なユング派河合隼雄氏と詩人の谷川俊太郎氏の対談集。
     この二人を対談させようと考えた人に金一封。肩を抱いて赤提灯の下で熱く語り合える気がする。
     なんて素敵なチョイス!
     濃いよ、ホント濃い。
     物事は突き詰め過ぎると、いつしか物凄く簡略化されていく・・・っていうのの見本みたいだ。
     特にこの世界の第一人者、的な二人が揃って話しているわけで。
     お互い常人には測り知れないところがアベレージなわけで。
     もうそこに行きつくのは無理だよなあって達観して読むと割とあっさり頭に入ってくるから不思議。
     学者と詩人という、言葉や心理面においてカテゴライズする側とされる側って組み合わせも面白い。
     小学校の頃に心理学というものを初めて知ったのは河合氏。
     谷川俊太郎の詩は教科書に載ってて詩集を初めて手に取った詩人。
     そういう意味では私にとっては特別な二人。
     谷川ファンには嬉しい詩の分析もあります。ただ心理学を学問でユングだフロイトだと語るのが嫌いな人は難しいかも。
     私はフロイト嫌いだけどね(笑)

  • 面白かった。副題が「ユング心理学講義」。谷川俊太郎さんという質問者がいることで河合先生がわりと具体的にご自分の経験やこれまでの経緯を話されている。

    p37
    「ユング研究所で、「相手をどこか好きにならなかったらみるな」とよく言われました。(中略)可能性が輝いている人とは相性がいい。(中略)医者として「好き」というのは、他人には見えない可能性を感じていること」

    p38
    「危険をおかして賭けていく」

    p40
    「青年期の人で死が怖いというのは(中略)本当はうまいこと生きられないということなんで、生きる方法が見つかってきたらなくなってしまいます」

    p48
    「問題を突きつめて意識化するということに、どれだけ重点を置いていいものかわかないという態度で、ぼくはやっています」

    p49
    「治るときは誰しも苦しい歩みを続けるのだから、そこに付き添う人があることは測り知れない大きい意味を持つ」

    p54
    「治療というのは二人でつくる傑作ですね。」

    「ほっぺたひっぱたいたってかまわんしね。表現としてその人の状態ときちんとあっているものというのは強いですよ」

    「人は自分をハダカにしながら成熟していく」

    p55
    「(本来的な自己)そいつをできる限り生かそうじゃないか」

    「いわば無限の可能性みたいなもの」

    p64
    「先生はいつも長い刀を持っていて、子供は短い刀を持たされているみたいなもので」

    p83
    「『人間と象徴』という解説書」

    p168
    「女として間違ったことをしてはならないと監視しているものすごく恐ろしい存在というか、そういう父親像が強くあるために、女の人は自由に動けない。何かしようとすると怒られるんじゃないかという恐れが先行してしまう」

    「何かしようとしてもする前から叱られているような」

    p169
    「自分の意識しないところですごい禁止がかかっているんです。それを意識化できないものですから、いっそう無理に破ろうとするわけです。(中略)父親像との闘いのあらわれなんですね」

    p172
    「グレートマザーが後ろについていたら、いくら死んだってかまわないわけです、どうせ生まれ変わるんですから。そういうものにバックアップされている人は平気で死んでいけるでしょう」

    p198
    「俳句なんかはそれの最たるものであって、あれは自分の心なんて絶対書いちゃいけない、物だけ書けという方法論ですよね。しかも、その物がみごとに自分の内面の投影になっていなければ、俳句としては成り立たない」(谷川)

    p200
    「日本人であるぼくらは、あんまり簡単に、ヘビは何のシンボルであるとか剣は何のシンボルだとか言われると、眉唾物のような気がしますね」(谷川)

    p224
    「自分の限界を知らずにすべてにアイデンティファイしていると、判断力が鈍ってくるからです。シャープな判断力を持った上で受け入れるんじゃなくて、何でも結構ですとなると、これは危ない。そういうことじゃなくて、いま言ったように自分の限界というか、置かれた位置などからくる限定を非常にはっきりしていけば、ぼく自身はそうしていますけど、いくらでも怒ったり泣いたり笑ったりできるようになる」

    p226
    「どんなにおもしろくないことからでもおもしろいことを見つけだす才能がわれわれには要ると」

    p230
    「ユングは、死後の生命ということを考えないような現世の生き方は完結しないと言うんです」

  • 140-Ka-

  • ユング心理学者・河合隼雄と詩人・谷川俊太郎の対談。どちらもその道の第一人者だけあり、非常に高い次元の会話がなされている様子。何のことやらと思いながらただページを捲るだけでもそれなりに楽しい。

    一方で、肝心のユング心理学についての「講義」は禅問答のようでさっぱり。
    カウンセリングの実際についてかなり詳しく述べていたが、分析家は何もしないのが一番いいとか極力意見を述べないようにするとかで、結局何をする仕事なのかちっとも分からなかった。

    万事こんな具合で、読む前よりも余計に分からなくなったような気すらするわけだが、不思議なことにこの本を読んでからというもの、朝起きてその日に見た夢を覚えているようになった。
    単純に、夢に関する本を読んだことで意識が夢に向いたということなのかも知れないがなかなか興味深い。ひとまず自己流に分析してみるつもりだ。

  • ユング心理学を河合隼雄と谷川俊太郎の対談形式で語る1冊。個人的には箱庭療法と夢診断の章が興味深かった。見えない心理を可視化・言語化する面白さもありつつ、さすがにこじつけだなと突っ込みながら読み進めた。

    人は分かり合えないという持論を持っているが、分かろうとすることが何よりも大切。河合隼雄さんも「ミイラ取りがミイラになる」という言葉を使っていた。心理学はあくまでツールで、あとはどこまで向かい合えるかなのだろう。

  • 対談集。
    対談のはずなのに本当に講義を聴いているようで。

    心理学の難しさはあるけれど、文章自体はわかりやすい。

  • はからずも、先月読んだ『ユング心理学入門』の復習になった。
    谷川俊太郎の、実際に体験したことや考えたことを元にした質問によって、より分かりやすかったり、共感しやすかったりで、面白かった。
    箱庭の実際の写真もすごい。
    谷川俊太郎の詩を、河合隼雄が解釈する章では、こんな詩の鑑賞法?もあるのかぁと…面白いような、怖いような。

  • 最近、この本の影響で、毎日どんな“夢”を見ているのか気になるようになった。
    “夢”といえば、私は昔同じ夢をずっと繰り返し見ていた時期があった。
    それは二種類あって、一つは道幅いっぱいのでっかいローラーに轢かれそうになる夢、もう一つは、明るい日差しが燦々と降り注ぐ場所で、病院のストレッチャーのようなものに乗せられて頭を手術される夢。

    心理学の世界では“夢分析”という治療方法があって、そういうので見ると、私のこの夢も何か意味はあるんだろうな。


    『魂にメスはいらない ユング心理学講義』 河合隼雄・谷川俊太郎 (講談社+α文庫)


    昨年亡くなられた臨床心理学者の河合隼雄さんと、詩人の谷川俊太郎さんとの、ユング派心理学の“講義”という形をとった対談集である。

    人間は生まれてきた時点ですでに病んでいる、という河合さんの言葉にまず衝撃を受けた。

    「なにもこの世に生まれなくてもいいのに生まれてきたということは、やっぱり病んでいるわけだから」

    と。

    ユングの考え方は、なかなか当時の人々には理解されなかったらしい。

    「フロイトはすべてを厳密に明確化しようとしたのに対し、ユングはむしろ明確化できないもののほうを問題とした」

    フロイトとユング、どちらがどう良いか悪いかというのはよく分からないが、たぶん日本の風土にはユングの方が合うんじゃないかと、読んでいて私は思った。

    ユング派の考え方として、「アーキタイプ(元型)」「自我(エゴ)と自己(セルフ)」「夢分析」「曼荼羅図形」などが紹介されているが、一番面白いと思ったのは「箱庭療法」だ。

    砂の入った箱の中に、家や動物や木や、その他いろいろな物を置いて作品にするというもので、その人の抱える深層心理が作品に表れるそうだ。
    写真付きで解説されていて分かりやすい。

    家や車など日常的な世界と、森や神社のような非日常的な世界が、両方一つの箱の中に置かれているような箱庭が、ノーマルな人の典型的なパターンなのだそうだ。
    左右対称に作りすぎる人はちょっと危ないらしい。
    へぇー。
    患者によっては、箱の中の砂を全部出してしまう人や、はみ出して作る人、できたと思ったらそれを全部埋めてしまう人もいるという。
    基本的には何をやっても自由だが、単に発散して無茶苦茶やるのではだめで、ちゃんと“作品”になっていないといけないのだそうだ。

    作ったものを壊し、その破壊があまりにもひどく、しかも再生の方向に向かっていない場合は、箱庭作りを途中で治療者が止めることもある。
    “破壊”という行為の裏にある患者の苦しみを自分が受け止められる場合は何も言わないで見守るが、受け止めきれない時はストップをかける。
    治療者が限界に達した場合は、治療者も患者も両方危ないんだそうだ。

    治療においては、患者とどの程度関わるか、ということが当然問題になってくる。
    河合さんは、患者から「誰にも言わないで」と打ち明けられるようなことに対して、例えば犯罪などの場合、自分がこれは黙っていることはできないと判断したときは、「言いたい」と患者に言う。
    「治療の記録を取らないで」と頼まれても、それで自分が非常に困る場合は、「ぼくは困るから記録を取りたい」と正直に患者に言うそうだ。
    一見冷たいように感じるかもしれないが、私はそのほうがいいと思う。
    自分の限界をきちんと示せる人に、真剣に向き合ってもらいたい。

    “死刑”は可か否か、という論争では、“人が人を裁けるのか”という意見が出るが、それと同じで、人の心の病を人が治せるものなんだろうか、と私はいつも思う。
    専門的な知識を持つお医者さんも万能ではない。
    怪我の治療とは違うのだ。

    限界のある人間同士が関わりをもつ、という覚悟のいる仕事なのだとつくづく思う。
    精神科医の自殺が最近増えているというのも、そのあたりに原因があるのかもしれない。
    一人の人間のすべてを受け入れることなんて、そりゃあ無理だ。

    谷川さんが質問をし、河合さんが答えるというやり方で講義は進んでいくのだが、谷川さんの質問のしかたがまた的確で、「自分はこうなんだけれども」という例も含めつつ、我々一般人が専門家に聞いてみたかったことをきちんと質問してくれる。
    二人の年齢が近いせいか、“教える人”と“教えてもらう人”という図式はあまりなく、同等な感じがいい。

    巻末には、河合先生による「谷川俊太郎詩解釈」の特別講座付き。
    私は谷川俊太郎さんの詩は好きだけれど、なんとなくいいな、言葉が好きだな、ぐらいの読み方なので、こうやって心理学的に解釈されているのが面白かった。

  • 河合先生の話はもちろん、谷川さんの鋭い質問力に敬服する。内容としては、箱庭療法が興味深かった。精神医学的に症状がない方たちの作った箱庭。素人目に強烈なものでも、それ単体で診断されるわけではない。作られるまでの経緯、人形等の配置や有無で、病気の人とそうでない人の大きな違いがあるのは印象的。最後、谷川さんの詩をいくつか取り上げて、河合先生が解釈する特別講座も面白かった。

  • 谷川さんがとても率直に河合先生に尋ねているのでわかりやすい。
    今は少し理解できるところも増えた。実践を重ねればもっと深まっていくのかもしれないけれど、それはなんだかまだ覚悟ができないなぁ、という気もする。

  • 図書館で。実は河合隼雄さんの本って読んだことないな、と借りてみました。

    グレートマザーが戦時中天皇陛下であった、というくだりはなんだかすごく納得しました。生かすものであり殺すものである、かぁ。
    自我と自己というのも難しいですね。自我があるから自己があるような気がしますが自己というものが選んだからこその自我なのか。考えると色々ドツボにはまりそうです。
    そして谷川さんの受け答えも深いなぁ。創作する人はここまで自分の魂に入りこんでいかないとイカンのかぁとも思いました。どちらにせよ両人ともただものではないですね。(いや、実際ただの人ではないんですけれども)
    面白かったです。

  • つまずくこともある。病むこともある。自分の内にありながら、どこかとらえどころのない人間の心。“魂の医者”カール・グスタフ・ユングがひもといた人間心理の謎を、日本を代表する“こころの専門家”と“こころの表現者”が、深い独自のまなざしでたどり、見つめなおす。魂の根源に語りかける名講義録。

  • 1979年初版発行の本です。
    もう35年も前ですが、今読んでも面白いです。

    ざっくりとしてわかりやすく、
    河合さんがご自身のしている心理療法のベースとなる
    ユングの考えや経験、ご自身の所見などを語っていきます。
    谷川さんはあくまでわき役として、質問を投げかけていきます。

    これは!と思ったところを引用すると、

    ___

    谷川:普通の人間は、その自己治癒能力ですか、それを不断に働かせているわけですね。

    河合:普通は、それが適当にうまく働いているわけです。
       だから深く悩むこともなく深く治ることもなく、みんな生きているわけでしょう。
       いわば普通の人間は自分で自分なりの治療行為をしているわけですね。
       つまりすってんてんになるまでパチンコをするとか、
       途方もない大金を競馬で使ったりするとか、
       それなりにみんな治るための儀式をやっているんですね。
       日記を書くのも、友だちと話をするのもそうでしょう。
       それをもっと凝集し、非常にコントロールされた形でやるのがわれわれの仕事ですね。
    ___

    というところがありました。
    僕はここ何年かパチンコや競馬で大勝利したりすっからかんになったりを
    何度も経験してきていますが、自己治癒のためと言われると、
    腑に落ちるところがあります。
    「えーっ?」と思う方もいるでしょうけれど、これはそうだと思いますよ。

    また、昨日はAKBグループの総選挙がありましたが、そこで8位だったかな、
    こじはること小嶋陽菜さんがしゃべったのがすごく面白かったんですけども、
    この本を読みながらだったので、彼女から感じられる母性というものの強さに注意がいってしまって、
    「母性」のいいお手本、つまり「母性ってなんだろう」と問う人に対して
    この人が母性をよくあらわしているからよく見てみたらと言えるのは、彼女だと思いましたね。
    あんなに、おんなおんなしたおんなのお手本のストライクみたいな人って実はなかなかいない。
    母性って、いろいろ他人とかと繋がっていくもので「まぁ、なんでもいいじゃないの」
    というものだというのですが、その逆のなんでも断ち切っていく心理っていうのも女性には
    アニムスという名前で男性的なものとしてユング心理学では言われていました。
    アニムスが強いのがよくわかるのがぱるること島崎遥香さんです。
    でも、ぱるは横山由依ちゃんと仲良しだったり、孤立しているわけではないから、
    病的とは全然違います。ちょっとアニムスが強いっていう。
    思春期だとかにそういうのが出てきたりするっていいますから、
    若い子だしそういうのがあるのかもしれないですね。

    閑話休題。
    インターネットでもそのシンボルの意味が辞書みたいに調べられる夢判断のサイトがありますが、
    河合さんの心理療法での二枚看板みたいなのが、この夢判断と箱庭療法でした。
    しかし夢判断については、たとえば黒猫がでてきたっていうのがあったとして、
    夢診断サイトだと、それはこういう意味だっていうように、一対一で対応していたりしますけれど、
    河合さんに言わせると、そんなのは違うっていうことになり、その人の現在の状況や夢の状況などによって、
    重層的かつ多様に判断しないといけないらしいです。
    それはそうだよなぁ、とかねてからWEBの夢診断のシンボル判断に違和感を持っていた者としては、
    納得の行った発言でした。

    そして「抑圧」の話も興味深かったですね。
    子どもが悲しいとか痛いとかいっても、親とか先生だとかは
    「痛くないでしょ!」「悲しくないの!」とかってなだめようとしますが、
    それがその場限りの対処ではいいように思えても、そういうのが「抑圧」として
    心の中、無意識のほうに溜まっていって病んでいってしまう。
    言語化すると意識上にのぼってそれは癒しの効果がありますが、
    知らず知らずに無意識に、澱のようにたまっていくと、
    それは非常に破壊力をもったものになってしまうということです。
    また話はAKBになりますけども、このあいだのノコギリでメンバーを襲った犯人は、
    きっと、そういう無意識のほうに溜まったものが破壊力を持って、
    自分を破壊するか他人を破壊するかのところで、他者を選んでしまったのかもしれない。
    襲われた方はたまったものじゃないです。
    (襲われたメンバーとスタッフの方は一日も早く元気になりますように)

    巻末には谷川さんの詩や散文を河合さんが心理学者的解釈をする
    というのが収録されています。
    谷川さんの詩はよくしらなかったですが、数篇読んでみてすごく好かったです。
    「はしれはしれおちんちん」というのが出てくる「男の子のマーチ」は
    楽しくて楽しくて大笑いしそうでした。
    散文も含めて読んでいくと、なんだか村上春樹さんに通じるものを感じたりもして、
    さては春樹さんは谷川さんからも影響を受けているのかなと思ったりもしました。

    この本に書かれていることをまぁ、日本人みんなが7割くらい理解して、ふまえていると、
    きっと社会はもう少し生きやすくなると思いました。良書です。

  • これも「ユング心理学」と並行して読み進めました。谷川俊太郎との対談の中でユング心理学と解きほぐしている。

  • ユング心理学の権威である河合隼雄氏と、詩人の谷川俊太郎の対話という形式で進められる本。

    ユングの心理学について学ぶことができます。
    自分自身の深いところや、死生観についても共感を受けました。

    谷川俊太郎さんの詩の解釈もとても見事です。

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