昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062560313

作品紹介・あらすじ

人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。“こころの専門家”の目であのグリム童話を読むと……生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう1人の自分が、まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。

感想・レビュー・書評

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  • グリム童話を主軸に、ユング心理学の視点から昔話を読み解く。日本の昔話や神話とも対比されており、心の過程を考える一助になる。未読の童話が多く、あらすじを追う限り残酷な展開が通過儀礼的に存在しており、グリム童話はPG12指定でもよさそうに思えた。また女性原理と父性原理は、片方に偏重すると生活が円滑に回らないし、世の中に絶対的な成功メソッドはない、ということが、各種童話の説明から痛いほど伝わってくる。

  • 中学の時に読みました。懐かしくて登録。

  • グリム童話の心理的分析。
    童話、昔話って面白いなあ。面白くて、深い意味がある。
    良い物語が語り継がれて、昔話になるんだろうけど。

    心理学的な分析は鋭くて、なるほどーと思った。
    でもなるほどー、以上の感想が持てなかった。
    知識不足か。

  • 意識と無意識の領域と童話に結びつけた解説。 難解に感じたが、日本と西洋の結婚がハッピーエンドになるかならないかにも触れていて面白かった。

  • 昔話についても気になる、そしてユングについても少し気になる、ということで一石二鳥と思い購入。
    分厚いけれど、章立てがちょうど良く、読みやすい。
    初めて知る童話もあった。
    普遍的無意識、すごく気になっている。

  • 「人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。“こころの専門家”の目であのグリム童話を読むと……生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう1人の自分が、まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。」

  • 河合隼雄によるユング心理学を用いて昔話のテーマを理解しようという内容。色々復習になって面白かった!

     第3章の途中を読みながら「ヘンデルとグレーテル」の保護者が継母なのは、受け入れ難い母性の否定的な部分を隠すためなんだろうなって思ってたらそのままのことがその後に書いてあった。

     第3章5節の昔話について、それまでの河合先生の解釈を参考にした僕なりの解釈としては、盲目である弟がそのアニマ(姉)との対決による自己実現の過程(ユングの定義)を描いたものではないかなとおもました。弟が盲目なのはは知ることの危険から身を引くことことを意味し、古いアニマ(姉)を殺す(自己実現の過程には「死と再生」が付き物なので)ことを避けれたのではないかと思います。 数千里離れた場所で姉とそっくりな人といるというのは、自己実現の過程には終わりはなく、新たなアニマとの対決が行われようとしていることを示唆しているのだと思いました。途中出てきた白鳥は弟の魂なのかな(アニマが男性にとっての魂の仲介者ってことも含めて)??

     アニマとの対決を避けてきた男性が父親的性格を持つ女性に惹かれて結婚する→子供に対して父親に変わり、母親が父親的性格を持って接する→母親の役割が多すぎて、人間的な母親の役割が手薄になってしまう→子供は強い拒否(物質的な過保護の有無に関わらず)を感じるという流れがなんとも悲しい

    普遍的無意識から生じる影の肯定的な面って存在するのか?
     

  • とても興味深く読めた。知らない童話が多くて童話を読むだけでも面白かったな。
    初めはよくわからないところがあって何度も同じところを読み直したけど、途中からとりあえず一通り読もうと思って読み始めたらサクサク読めた。
    グレートマザーやアニマ、アニムスのようなものはなんとなく自分の中にもありそう。トリックスターがイマイチよくわからなかったな。
    無意識の中にあるものをもっと知りたくなった。

  • 教授に買えと言われて買って読んでみたけど案外面白かった。今後の昔話に対する視点が変わりそう。

  • 福音館書店の「子どもの館」という雑誌に1975年から1年間にわたって執筆し、それをまとめたのが本書。400ページもある。
    河合さんは、和洋の昔話を読み込んでいるので、たくさんの話の中から、共通点や違いを比較するのが上手である。
    しかし、昔話をほとんど知らない、と言うか、興味がない私には、感情移入し難い。
    後半に矢川澄子さんの訳で、グリム童話を10冊ほど紹介してあるので、そっちから読んだ方が良かったかもしれない。
    河合さんの童話の博識に感心する本であるが、こと心理学の内容に関しては他の本を参考にしたほうが良いと、私は思った。

    p27に、「人類は超人的な子どもの話を好む」という例で、河合さんにはめずらしく、身内の話があった。
    『筆者が昔話の起源について例としてあげたいことは、次のようなことである。私はあるとき町の本屋で立ち読みをしていると、主婦たちが噂話をしているのが聞こえてきた。それによると、ある子どもが父親の留学にともなわれてスイスに行き、そこで日本語を忘れてしまってドイツ語でばかり話をしていた。ところで最近帰国してきたが、たちまちに日本語を思い出し、クラスで一番になってしまったというのである。
    主婦たちはその「すばらしい子」の話に夢中であったが、私はそれが事実とはずいぶん異なることを知っていた。というのは、それは私の子どものことに違いないからであった。確かに子どもがスイスに行き、最近帰国したことは事実である。しかし、日本語を忘れてしまったとか、たちまち一番になったなどは真実ではない。』

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