- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062563239
感想・レビュー・書評
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(2004.11.01読了)(2001.03.22購入)
この本は、
「ピラミッドの謎をハイテクで探る」吉村作治著、講談社、1994.05.30
の文庫版ということですが、加筆修正し再編集してあるので、ほとんど別物という感じです。単行本は、図版が少なかったのですが、この本には写真や図版が結構入ってわかりやすくなっています。
●ピラミッドの石材
ピラミッドを作る石材のサイズは、同じサイズのさいころみたいなものじゃないかと勝手に思っているけれど、「注意して近くから眺めると、石材の大きさは全く不揃いなのだ。段の高さで見てゆくと、小さいもので60センチ程度から、大きいもので1.5メートル近くまで、てんでんばらばらである。」
●ピラミッドは何か
大ピラミッドは、「いったい何なのか」ということすらわかっていない。大ピラミッドが建造された目的とは、後世の考古学者たちを悩ませることだったのではないか。
つい最近まで、「いったい何なのか」という問いを真剣に考えてみようとする考古学者はほとんどいなかった。「クフ王の墓である」という一言で片付けられていた。墓であることを示すものは、何一つないにもかかわらず、である。根拠は、紀元前5世紀にヘロドトスが書いた「歴史」の記述にある。
●古代エジプトの王朝区分のよりどころ
紀元前3世紀、プトレマイオス朝の時代に、神官マネトーによって「エジプト史」がまとめられている。これが現在までのところ、「第4王朝」「第18王朝」といった古代エジプトの王朝区分のよりどころとなっているものである。
●クフ王座像
大ピラミッドを建てたといわれるクフ王の像は7.5センチのものが1つだけ見つかっている。現存する唯一のクフ王の像は、ウィリアムス・フリンダース・ペトリー(エジプト考古学の父といわれる)によって発見された。
1903年、ギザから約500キロほど離れたアビドスで発掘を行っていたペトリーは、ちっぽけな象牙の破片を拾い、そこにクフ王の名前が記されているのに気付いた。労働者を総動員して一帯の土砂をすべて篩にかけ、残りの断片を拾い集めて、つなぎ合わせてみると小さなクフ王の坐像が出現した。(大ピラミッドの中とか周辺から見つかったわけではなかった。)
●大ピラミッドの入り口の位置
ピラミッドが作られたとき、ピラミッドの表面は化粧石というもので覆われ、階段状ではなく、きれいな斜面になっていた。
820年アッバース朝のカリフ(総督)、アル=マムーンは、ピラミッドに穴を開けて入った。その位置は、ピラミッドの左右の端からほぼ中央だった。969年に成立した、ファーティマ朝の時代に、首都アル=カーヒラ(現カイロ)の建築資材として、ピラミッド表面の化粧石を剥ぎ取ってしまった。剥ぎ取られた化粧石の下から本来の入り口が現れた。本来の入り口は、中心線から約8メートルほどずれている。左右対称を好む古代エジプト人のことを考えると、現在見つかっている内部の空間と対象的な未知の空間が予想される根拠となる。
●大ピラミッドに関する謎
1.いったい誰が作ったのか。
答え クフ王及びその時代の人々。証拠は、重量軽減の間の落書き。
奴隷の強制労働によって作らせたという説は、当時のエジプトに奴隷制度はなかったということと、ピラミッド建造に従事した人々の住んでいた集落跡が見つかったことにより否定されている。
2.いつ作ったのか。
答え 第4王朝のクフ王の時代。紀元前26世紀頃
3.どうやって作ったのか。
答え 一直線の長大な斜路を用いる方法(傾斜路の残骸が見つかった。)
4.何のために作ったのか
答え 王の墓?(墓であることを証明するものは、現在何も見つかっていない。)
☆吉村作治さんの本(既読)
「ノーモア・マリッジ」吉村作治著、情報センター出版局、1992.07.11
「それでも君は大学へ行くのか」吉村作治著、TBSブリタニカ、1992.12.25
「吉村作治のクイズ地球の探検隊」吉村作治著、光文社、1993.08.30
「ピラミッドの謎をハイテクで探る」吉村作治著、講談社、1994.05.30
「ファラオと死者の書」吉村作治著、小学館ライブラリー、1994.06.20
「古代エジプト千一夜」吉村作治著、近代文芸社、1996.06.20
「ピラミッド文明・新たなる謎」吉村作治著、NHK人間大学、1998.10.01
「貴族の墓のミイラたち」吉村作治著、平凡社ライブラリー、1998.12.15
(「BOOK」データベースより)amazon
ハイテク調査でみつけた未知の空間が定説を覆す!?自分の目で確かめ、調査をしながら挑みつづける大ピラミッドの秘密。王墓説への疑問・矛盾をひとつずつ解きあかしながら、結論づけられた吉村新説とは。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私の人生を左右した本。
もともと歴史が大好きだった私が、考古学と言うものを具体的に認め視野にいれたのはこの本がはじめて。
感謝してます、同時にとても尊敬している。