宮崎勤 精神鑑定書―多重人格説の検証 (講談社プラスアルファ文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 35
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062564106

作品紹介・あらすじ

宮崎勤…一見、普通の家庭の「よい子」だった彼が、なぜ、あのいまわしい犯罪を!?当時、新聞社の社会部記者として宮崎事件を担当した著者が、事件の背後に根深く横たわる、現代の病理に迫る。「別の島にいるような」といった、「夢の中でやったような」とも述べた宮崎勤の意識は、いま、どこを漂うのか…心は何を描いているのか…。第一審死刑判決、控訴第二審開始の情況を踏まえ、大幅に加筆修正して文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクションにはあまり手が出なかったが、
    多重人格に興味があったこともあり読んでみた。

    当時、幼い女の子を誘拐し自宅で殺害、その遺体をビデオ撮影したり、肉を食べたり、あげくには遺体を焼却してその小さな骨を家族のもとに段ボールで送りつけたりと、残虐このうえない手口で世間(特に小さなこどもをもつ親たち)を震え上がらせた宮崎勤事件。
    オタクの象徴と言われた「宮崎さんちの勤クン」の頭の中が、いかなる構造になっているかものすごく知りたかった。
    「精神鑑定書」は、供述に沿って書かれているのでいたって淡々としていて、だいたい想像通りの内容だったが、それに基づく精神鑑定がまっぷたつに分かれたこと、その理由がこの本の骨となっている。
    すなわち、
    1.宮崎勤は多重人格者である。したがって責任は問えない。
    2.多重人格という病気は存在しない。宮崎勤の犯罪は、性格上の歪みによるものなので十分に責任を問える。
    精神鑑定の権威が、このふたつの意見で相対してしまい、双方譲らず、結果的に精神鑑定はかなり長い時間を費やして二度行われたことになる。

    ノンフィクションだからこそのリアリティに興奮しながら読んだものの、再度、読みたいとは思わない。

    精神鑑定の権威っていっても、結局は自分の言いたいことだけ言って見たいものだけ見るというのは、常人と変わらないわけね。

  • DES(解離体験尺度)
    ・気がつくと別の場所にいて、どうしてそこまで行ったのか自分でも分らない。
    ・自分の持ち物の中に新しい品物がある。しかし自分では買った憶えがない。
    ・身に憶えがないのに、嘘をついたと人から責められる。
    ・自分の体が自分のものではないと感じる時がある。

    これらは、多重人格などの解離性障害の患者を見つけるために用いられているスクリーニングテストの質問項目の一部です。実際には、28項目の質問があり、経験がなければ0を経験が多いほど100に近い値を選ぶようになっています。
    多重人格障害と判定された宮崎勤の2回目の精神鑑定においては、このテストは行われなかったのですが、もしも行われていたとしたら、鑑定の有力証拠の一つになっていただろうと言われています。たかだか、こんなテストが・・・
    なぜ、精神鑑定において被告が正直に答えるなどと考えられているのか、全く理解できません。質問のうち、たった9項目に該当すると答えるだけで、解離性障害の疑いあり、と判定されてしまうのですから。刑事訴訟上の精神鑑定の危うさを、痛切に感じました。

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著者プロフィール

毎日新聞編集委員。著書に『宮崎勤精神鑑定』(講談社)、『自衛隊指揮官』(講談社プラスアルファ文庫)、『出動せず』(ポプラ社)など。

「2015年 『自衛隊のリアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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