大空のサムライ(下) 還らざる零戦隊 (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062565141

作品紹介・あらすじ

絶体絶命!撃墜王坂井の、決死の生還クライマックス!!
名機零戦こそ我が命。ガダルカナル上空、瀕死の重傷を負いながらも背面飛行でラバウルへ還り着く!死と直面し死に打ち勝った日本の強者坂井の迫真の記録!!

ガダルカナル上空、絶体絶命の危機。敵弾にやられたのだ。頭をやられ、目をやられ、左手も左足もやられてしまった。しかし、死に急ぎをしてはいけない。最後の瞬間まで、生きる努力を怠ってはいけないのだ。「死の誘惑」を振り切り、坂井はついにラバウルへ還り着く。死と直面し死に打ち勝った坂井。日本には、こんな強者がいた。

感想・レビュー・書評

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  • 飛行機乗りを夢見た少年は、後の大戦で零戦を乗りこなすエースとなった。撃墜王とも呼ばれた坂井三郎さんの迫真の記録です。

    積読になっていたこの上下巻、読みたいと思った経緯は何だったのか詳細は思い出せませんが、「SAMURAI」の名で世界中で読まれた本であり、読めてよかったと思っています。

    上巻を読み進める途中で、今読んでいるこの世界と自分の世界は地続きで繋がっているんだ、という事実に体が冷気に包まれたような冷たさを覚えました。
    次から次に人が死んでいく。常に死が隣り合わせの世界です。

    最初、あまりにも詳細に日々のことが書かれているのに驚きました。人間の脳はその大半が使われずに眠っているといいますが、窮地に立たされていた人間の脳は活性化してより多くのものを保持するのでは、なんて思ったほどです。

    一歩違えば死んでいた、そんな奇跡のような一本道を歩んだ坂井さんですが、読み進めていくとそれが運によるものだけでないことがわかります。
    戦闘機乗りで何よりも大事なのは視力。その視力を磨くために真昼に星を探したり、遠い山の境界線にある樹木の格好を細かい枝ぶりまで見極めたり、日頃から尋常じゃない訓練をしていたことを知りました。
    他にも判断力や瞬発力を磨くために独自で考え実行していた訓練の各種。それらがあったからこそ、ギリギリのところで生き残れた、言い換えれば、坂井さんでなければ死んでいた場面が山のようにあったと思います。

    幸いにも今は戦時中ではありません。
    けれど、コロナの流行による緊急事態です。
    未知のものを前に生き残るためには、何が必要なのか。考え続けること、備え続けること、決して諦めないこと。時代を越えて学ばせてもらったように感じます。

  • 坂井氏がラバウル、ガダルカナル島へと転戦。次第に敵の戦闘機の機能が増し、絶対優位は崩れた。また豊富な物量にはかなわない。
    坂井氏は、いつも明るく朗らかだ。そして敵に接しては敵愾心をむき出しに食うか食われるかの戦いを凌いだ。そして散りゆくパイロットへの哀悼の意を忘れることはなかった。ガ島は激戦の島として有名だが、坂井氏の活躍もむなしく、ついに満身創痍のギリギリの帰還で日本に戻る。療養後は硫黄島での激闘に参加するもこちらもギリギリの帰還。いつも死と隣あわせ、よくぞ無事だったと思う一方、南の大海に沈んだ多くの兵士のことを思うと、申し上げる言葉もない。

  • 後半のガダルカナル戦線や硫黄島戦線では、戦局の劣勢を感じざるを得ない厳しい状況が淡々とリアルに描かれている。
    「毎日がいかに不幸の連続であっても、我々はその不幸な事実に慣れることも、怖れることも、特別の不安も、特別の苦悩も抱かなかった。戦友の屍を乗り越えて我々は戦うので、死ぬことは初めから覚悟している。ただそれが早いか遅いかだけだ。」という一節に言葉を失う。

    戦闘機乗りは、撃墜されたパイロット本人の負傷や最期を見ることは少ないようだが、敵味方関係なくその姿を見てしまったときの描写が生々しく痛々しい。

    被弾により大怪我を負いながら無事にラバウルまで帰還されたときのエピソードが熱い。限界を越えた人間の生命力の底力を見た気がした。

  • 父から貰った後数年間積読だったのが勿体なかった。
    上巻を読み始めてから数日で下巻まで読み切ってしまった。
    重傷を負いながらも零戦を操縦するシーンは生きて帰れると分かっていても緊張感が凄まじい。
    戦後や343空での杉田兵曹とのエピソードを知るとまた見方が変わってしまうが…

  • こら面白い。
    上巻の後半からは、何となく似たような出撃話で
    このパターンが続くと飽きるかなと思っていたら
    下巻では様々なエピソードが描かれていて、
    飽きることなくあっという間に読んでしまった。

    とにかく読みやすく、戦争の話だけど暗くならず
    当時の情景が手にとるように感じられて、素晴らしい
    読み物となっている。

    ライトの終わり方もよし。
    ブチっと尻切れ気味に終わっても、続きあったら
    読んでみたい感があって違和感なし。

    皆さんに一読をお勧めする本です。

  • 撃墜王、サムライ坂井三郎氏の回想録。行間からは五感にリアルに伝わる過酷さ。戦闘機乗りは視力が命、15キロ先の蟻ほどの敵をいち早く見つけ、優位な体制から一撃を加える。視力2.5は努力の賜物、皆様も過酷さ、悲哀、儚さを五感で感じ取って欲しい良書だ。

  • 10.6.14
    ■こんにちは、鮒谷です。


     昨日は終日、読書デー。

     
     【今日のお勧め本 大空のサムライ(上) 死闘の果てに悔いなし】

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     【今日のお勧め本 大空のサムライ(下) 還らざる零戦隊】

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    ■「大空のサムライ」は、2000年に亡くなられましたが、

     先の大戦で200回以上の空戦を経験、敵機64機を撃墜した
     エース(撃墜王)として有名な坂井三郎さんが書かれ、

     世界的ベストセラーとなった本です。



    ■「自伝好き」の私としては、命のかかった極限状態の中、

     長い間、勝ち抜いてきた経験談から導き出される、
     人生全般にとって有用、有益な教訓はないものか、

     という視点も一つ持ちながら、読みました。

     この本を読んで感じたことについては、
     また日を(稿を)改めてご紹介いたいと思います。

  • ★坂井氏は2.5の視力で、誰よりも先に敵機を見つけるのだが、その視力にしても不断の訓練の賜物であるし、目の前の状況だけでなく、四方八方へ注意を怠らないからこそである。
    ★それでも何度も絶体絶命の危機に陥るが、冷静に状況を判断し、諦めないため切り抜ける。
    ★貴重な記録であるだけでなく人生を生きるヒントを教えてくれる。

  • ガダルカナルの空戦で重傷を負い、搭乗員として大事だとされる右目の視力を失ってしまう。
    戦局は徐々に厳しくなり、硫黄島では戦闘機を全て襲撃により破壊されてしまうまでになる。
    そこで内地に戻ったが、そこは和やかな雰囲気だったとあり、戦争も場所によっての格差があったのだと感じた。

    2017.8.8

  • 坂井三郎氏著、大空のサムライ(上・下巻)を読了。中華事変、太平洋戦争において海軍航空隊の戦闘機操縦者として、200回以上の空戦で敵機大小64機を撃墜した坂井三郎氏自身が著した回想記。零戦の戦闘能力はさることながら、坂井三郎氏自身の非実戦時の絶え間ない訓練や数多くの実戦経験から生み出された零戦の操縦技量と眼力がこれだけの戦果につながったと解説されている。最も印象に残った点は、あとがきで述べられた坂井三郎氏が残したメッセージ。以下に引用します。
    ---引用開始
    私は思う。普通の人間と言われる大部分の人たちが、果たして生まれてから自然に死んでゆくまでの長い期間に、自分が持って生まれた人間としての性能の何パーセントを使って、この世から去って行っているだろうか・・・と。
    私は、平均三十パーセントくらいだと考えている。あとの七十パーセントは捨てているのである。
    私は、戦闘機乗りとして、喰うか喰われるかの空中戦を経験した結果であるが、そのようなことでは生命力がもったいないと思う。さいわい、あのすさまじい戦争を生き抜き、勝ち抜いた私は、これから後といえども、この心構えを持ち続け、自分の力の最大限を燃やしつづけていきたいと思う。また、そうすることを、みなさんにもおすすめする。
    ---引用終わり
    現在、私たちは生きるか死ぬかの世界で生きている訳ではないが、一度しかない人生の日々をいかに大切に、懸命に生きられているか、絶え間ない努力を続けられているかを改めて考えさせられる良い機会になりました

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