知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
3.80
  • (226)
  • (340)
  • (314)
  • (31)
  • (13)
本棚登録 : 3877
感想 : 282
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062566100

作品紹介・あらすじ

常識にとらわれた単眼思考を行っていては、いつまでたっても「自分の頭で考える」ことはできない。自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く-それが知的複眼思考法だ。情報を正確に読みとる力。ものごとの筋道を追う力。受け取った情報をもとに自分の論理をきちんと組み立てられる力。こうした基本的な考える力を基礎にしてこそ、自分の頭で考えていくことができる。全国3万人の大学生が選んだ日本のベストティーチャーによる思考法の真髄。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 物事の考え方を分かりやすく整理した良書。約20年前の著作なので例示が古いのはやむを得ない。言葉の変換も多少は必要。ただ、今だから過去の事象を捉え直す、考え直すいい機会となった。ベースにシステム論的思考が定着していると、より理解が進みそう。
    「本でなければ得られないものは何か。(中略)考える力を養うための情報や知識との格闘の時間を与えてくれるということだと私は思います」

  • 本を読むときに、「誰がその本を書いたのか?」は重要だと思いますが、本作の著者は、東大卒でオックスフォード大教授であり、新聞の「大学のベストティーチャーズ」に選ばれるなど、教わるには申し分ない、すごい方です。

    様々な情報にあるれる今、周りに流されないで自分で考える力は、とても重要だと思います。

    ぜひぜひ読んでみてください

  • 物事を深く考えていくには「常識」などに捕らわれた一面的な思考から脱却し、様々な問いや視点を駆使して多面的にとらえることが必要不可欠である。
    では、そのような多面的な物事のとらえかた――すなわち「知的複眼思考法」ができるようになるにはどうすればいいかを懇切丁寧に解説する本。

    第一に読書の効用を説き、読書をする姿勢においても「批判的読書」「創造的読書」が大切であることを解説する。
    その後、読書で培った複眼的思考を議論や時事問題へ適用し物事の理解において「問い」を立てることの重要性とどのような「問い」が求められるのかを述べている。
    最後は「問い」に対してもメタ的な思考を養い、多面的にとらえるために立てた「問い」そのものが新たな硬直や偏見を生み出してはいないか、それを考えていく方法について書かれていく。

  • 考えるためのツールを具体的に提供してくれる。
    問いを立てる、で終わらずどのように立てるかの道標があってわかりやすい。
    クリシンに似ている。互いの理解を補完できていい。

    ①知的複眼思考とは?
    ②複眼思考を身につけるには?
    ③問いの立て方とは?


    1、ありきたりの常識や紋切り型の考え方に捉われずに、物事を考えていく方法
    2、「常識」に捉われないためには、何よりも、ステレオタイプから抜け出して、それを相対化する視点を持つことが重要
    3、知識も大切だが、「正解」がどこかにあるという発想からは複眼思考は生まれない


    1、多面性に注目・分解し、その要素間の関係を考える
    実体論→関係論
    2、意図せざる結果を見つける(「にもかかわらず」を探す)
    √副産物、副作用への視線
    √抜け道の誘発ー裏をかく人々への視線
    √小さな出来事大きな意味
    √当たる予言、外れる予言
    3、問題を問うことを問う(問題の捉え方をずらす)
    メタの視点に立つ
    「何が問題か?」ではなく、「なぜ問題になったか?」を探ることで、その問題が問われる文脈に目を向ける
    ex.パソコンを使いこなすにはどうしたらいいだろう?→なぜ今、パソコンを使いこなす必要があるのか?
    √「ある問題を立てることで、誰が得をし誰が損をするのか?」問題を取り巻く利害関係を捉える
    √「問題が解けたらどうなるか?」考える


    ・6つのなぜ
    →よく言われること。だが、最初のなぜに対する答えの方向がずれていると、どんどん変な方向へ深掘ってしまう
    ・なぜという問いからの展開
    1、因果関係を問う
    〈原因と結果の関係を確定する原則〉
    √原因は結果より先行しなくてはならない
    √原因の現象も結果の現象も変化している
    √原因以外の他の要因が影響しない
    2、疑似相関を見破る(=重要だと思っていたことを疑似相関と見抜く)
    同じ原因、違う結果/違う原因、同じ結果の事象を探す
    「なぜ?」という問いを「◯◯はどうなっているか?」に置き換える
    ビッグワードを禁止する

  • 思考力、判断力を鍛えるには?ステレオタイプの単眼思考を避け、複眼思考を身につける。複眼思考を身につけるには?情報を正確に読み取り、論理をきちんと組み立てる。1章、批判的読書の効用。2章、文章を書くことで論理的表現を身につける。3章、考える筋道としての問い「なぜ」。4章、物事の二面性、多面性を捉えるための方法。要再読。

  • 教育学を教え大学教育について考えてきた教授は、論文を執筆するだけでなく講義でもその考えを実践してきた。常識やハウツー的マニュアルに頼るのでなく、自ら考える能力はどうすれば形成できるのか?ありきたりなステレオタイプから抜け出し、知識や情報に振り回されない視点とはどのように身に付けられるのだろうか?そのアプローチを、学生に伝えるために丁寧に、丁寧に解説していく良書。

    いや、正直そんな新しい発見は無かったんですよ。「書く事で考える」「問いの立て方を掘り下げる」「逆説や関係論的な見方をする」そういった思考法ってこれまで無意識にやってたりするんで。でも、その個々の要素をこれだけ体系的に、きちんとその理由も説明していくことでいままで点で理解した事が面で見えてくる感じ。そして身に付け方についても、基礎から発展の流れできちんと教えてくれる。

    最後に。本書では複眼的思考を身に着けるための方法として「批判的読書」を薦めている。それは、手に取った本を初めから非難するような気持ちで接するのではなく、著者と対等な立場になって考える道筋を追体験し、その上で自分だったらどうするかという代案を出す行為だ。そう、この本に対していかに批判的読書を行えるのか?これが、読了者に対する卒業試験だ。

  • 2002年に発刊されたこの本。「複眼思考をもって批判的に物事を考察し、自分の頭で考えよ」というメッセージとその具体的な方法論は、リーマンショックや東日本大震災といった動乱の時代に直面してこの本を手に取った多くの人に気づきを与えてきたのだろう。現在の新型コロナウィルス感染症における、自分自身も同様。いまも色褪せない。

    この本のレビューが礼賛だけで終わっては、何を読んだんだということになるので批判的読書の実践を簡単に残しておく。第1章、「読書の効用」という節で「本でなければ得られないものは何か。それは、知識の獲得の過程を通じて、じっくり考える機会を得ることにある ー つまり、考える力を養うための情報や知識との格闘の時間を与えてくれるということだと私は思います。」という一文がある。私は、現代における本しか果たせない役割は、ネットメディアその他から得た情報を検証・反証する機会と時間の提供に変わったと考える。

    2002年当時、インターネット上の発信者はまだ限定的で、手に入る情報も一般的な知識程度に過ぎなかったかもしれない。しかし、総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」によると、我が国の総ダウンロードトラフィックは2004年11月の257Gbpsから、12年後の2016年11月には8,254Gbpsと約32倍に飛躍的に増加した。購入したり図書館に行ってはじめて得られる本の情報量や触れられる著者の人数よりも、ネットニュースやTwitterの投稿者の人数の方が圧倒的に多く、多元的な議論も活発に目にするようになっている。その過程を観察するだけでも、「考える力を養うための情報や知識との格闘の時間」はかつての本が唯一果たしてきた役割をすでに凌駕する。

    一方で、収集の付かないディベートが交わされるネット上の情報だけで「自分の考え」を確立するのは難しい。自分で考えたつもりでも、近しい意見を持つ誰かへの同調に留まってしまう。未だ学校教育でも十分高度な思考力の獲得まで到達できない現状で、世界との差は縮まらない。その現状を打開するために、本を頼る必要がある。著者の専門的な立場や経験を理解して、論理を読み解き、ネット上などで主張されている内容と照らし合わせで検証、反証することにこそ、現代において本でなければ得られない価値になっていると思う。

    改めて、この本に書かれた批判的思考、批判的読書の方法論は、上記の実践において今も色褪せず、非常に深い学びが得られた。なお、Amazon のトップレビューにあった「四章(問いを見つける視点)→三章(問いの立て方と展開の仕方)→一章(読書での実践)→二章(批判を文章にする)の順で読むのがいい」という意見はその通り実践した。確かにこの方がスムーズに論理展開されると思ったのでおすすめする。

  • 論理思考を勉強中に読んだ一冊で、ここ最近で1番のヒット。

    本書の貢献は次の2点である。
    1. 読書の意義を問い直す機会を与えること
    2. 自分の頭で考える基礎を与えること

    ここ2年読書に多くの時間を費やしてきたが、意義や効果を実感できず随分と悩まされた。それは知識を得るための読書だったからだ。自分の論理を持たない、受け身の読書では「そーなんだ」止まりであり、知識以上の効果を得られない。本書では、本の著者と同じかそれ以上の視座で読むことを求める。「自分ならこの問いに対してどのような答えを持つか」また「どの点が論理的におかしく、それをどう正すか」のように、同じ問いに対して自分の論理・意見を持つことを勧めている。

    本書の大部分で、ありきたりの常識に飲み込まれないための複眼思考を身につける格好のトレーニングの場を提供している。

    ーフレーズー
    ・情報を正確に読み取る力、物事の論理の筋道を追う力、受け取った情報をもとに、自分の論理をきちんと組み立てられる力。これらを基礎に、常識にとらわれることなく、自分の頭で考えていくこと、つまりは知的複眼思考ができる。

    ・知識も大切だが、正解がどこかにあるという発想からは複眼思考な生まれない。

    ・書き手の言い分を鵜呑みにしない読書のすすめ。批判的な読書を通じて、ものごとに疑問を感じ、ものごとを簡単に納得しないこと、常識に飲み込まれないこと、つまり、自分で考えるという姿勢ができる。

    ・活字メディアをとらえ直してみると、読むという行為の意味が変わってくる。ざっと読み流して、簡単に納得してしまうのではない読書。次に何が書かれる可能性があったのかを、探りながら文字を追っていく読書。書き手が行きつ戻りつしたように、自分の理解のペースで情報を獲得していく読書。これは活字メディアならでは。

    ・本を読まなくなることで失われるものはなにか?本を通じて得られるもの、本でなければ得られないものを考えてみる。例えば、それは知識や情報、教養、楽しみ、興奮など。このうち、本でなければ得られないものは、、、。知識獲得の過程でじっくり考える機会を持つこと。考える力を養うための時間を与えてくれる。

  • 実践できてるかは別として、内容はそこまで目新しい考え方ではなかったなぁ。考え方が順序だてて説明されているがためのこのボリューム。丁寧だけど、丁寧すぎると見る人もいるかも。

  • 4/22 レンタル(亀田)

全282件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京大学大学院教育学研究科教授

「2010年 『大卒就職の社会学 データからみる変化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

苅谷剛彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マーク・ピーター...
トーマス・フリー...
トーマス・フリー...
有効な右矢印 無効な右矢印

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×