反ナショナリズム (講談社プラスアルファ文庫)

著者 :
制作 : 姜 尚中 
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本棚登録 : 35
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062569460

感想・レビュー・書評

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  • 1996年から2004年頃に執筆された、ナショナリズムに関する著者の論考や対談をまとめた本です。

    比較的短い論考が多い中でとくに読み応えがあると感じられたのは、日本における戦後民主主義を思想面でリードした大塚久雄や南原繁、丸山眞男らの国民国家論的な立場を批判的に検証する論考でしょうか。こうした仕事は、米谷匡史や中野敏男らによって精力的に進められてきましたが、加藤典洋の『敗戦後論』によって一気にアクチュアルな問題になったという印象があります。本書における小林よしのりの『戦争論』や西尾幹二の『国民の歴史』への批判的な言及も、そうした背景のもとで読まれるべき内容であるように思います。

    また網野義彦との対談では、石母田正の歴史学を同様の視点から批判的に捉え返す必要があるという主張があり、日本における一国主義的な歴史観を解体するための興味深い視座が示されています。その一方で網野が、韓国の金大中が檀君神話を念頭に「韓民族五千年の歴史」という言葉を用いたことに言及し、旧植民地における対抗ナショナリズムが孕んでいる問題を指摘していることにも注目しておきたいと思います。こうしたことを含めて、私たちは国を超えて同じ問題に直面しているという感度を共有することが重要なのではないかと考えさせられました。

  • ナショナリズムの作用は内外の二方向を持っている。

    外側に向けては、当該ネイションの範疇に含まれない存在を他者化=非人格化することで自己の所属する集団のアイデンティティを確認しようとする。外的境界の画定が、逆説的に、当該ネイションをアイデンティファイすることになる。逆に言えば、ネイションとは、その程度の相対的な非本質的構築物でしかない。

    内側に向けては、当該ネイションの構成員の差異を捨象して矛盾分裂を一切含まない「国民」なるノッペラボウ集団に同一化し、『国民の物語』に組み込んでしまう。そこでは個人の実存は、国家の意思の下で抹消されてしまう。権力に抗おうとする者は、直ちに「非-国民」化され、当該ネイションの範疇から外されて、排除の対象となる。

    『国民の物語』なんぞ、その時代その時代の政治状況に応じて、支配層にとって都合よく事後的に捏造されるものでしかないのだ。政治という即物的な闘争の醜悪さを糊塗する、紛い物のメロドラマだ。そのはりぼてに、被支配層はまんまと騙される。

    実存――他者の実存との全き合一を求める実存――にとっては、ナショナリズムは、自己及び他者の実存そのものを、政治権力の即物性によって裏打ちされた虚飾で塗り潰してしまおうとする暴力そのものである。

    ナショナリズムは、即物的な政治権力の思惑によって人を人と思わせないように仕向ける虚偽意識に他ならない。

    何らかの超越的存在に自己の理性を溶解させたいという欲求自体には理解を示せるにせよ、その対象が「国家」――その即物性が余りに露骨に透けて見えてしまうほどの安っぽさ!――と聞いてしまうと、途端に鼻白んでしまうのである。

  • うーん、これはなんだか言いたいことを、似たような、同じ言葉でひたすら繰り返しているような本でした。面白くなかったなあ。

  • ナショナリズムとは何か?雑多な視点から、これでもかと叩き込んでいくが、余計に雑然とした思いしか残らなかった。

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著者プロフィール

姜 尚中(かん・さんじゅん)
1950年、熊本県熊本市に生まれる。国際基督教大学準教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、聖学院大学教授、同学長を歴任。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。

「2017年 『原子力発電と日本社会の岐路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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