量子力学が語る世界像―重なり合う複数の過去と未来 (ブルーバックス)
- 講談社 (1994年4月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062570121
作品紹介・あらすじ
人間の意識でさえ原子や電子のふるまいの1つでしかないとすれば、まったく新しい世界像が現れると著者はうったえます。SFの様な並行世界(パラレルワールド)が同時進行し、複数の過去や未来が重なり合ってくるのです。しかし、それでいて私たちの人生は確かに一通りしかなく、突然別の世界に迷いこんでしまうこともありません。大胆な発想転換によって摩訶不思議な世界を見事に説明し、新しい量子力学の考えをわかりやすく解説
ミクロの世界とマクロの宇宙をつなぐ新しい考え方
量子力学を全宇宙にまで広げて考えることがはたして可能でしょうか? その場合、人間の意識でさえ原子や電子のふるまいの1つでしかないとすれば、まったく新しい世界像が現れてくると著者はうったえます。そこでは、まるでSFのような並行世界(パラレルワールド)が同時進行し、複数の過去や未来が重なり合ってくるのです。しかし、それでいて、私たちの人生は確かに一通りしかなく、突然別の世界に迷いこんでしまうこともありません。大胆な発想の転換によってこの摩訶不思議な世界を見事に説明する、新しい量子力学の考え方をわかりやすく解説します。
感想・レビュー・書評
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予てから懸案だった「多世界解釈」の概説書を通読できた。
言葉が易しく、説明も簡明なので読みやすかった。
「修復不可能」な差が生じた世界は、その後は干渉しあうことなく、無関係に、独立に歴史を刻んでいくことになる。つまり、最初は関係しあっていた共存する複数の状態が、互いに無関係な世界に分岐する。
まるで、男女の関係のようでやるせなくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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難しかったよ!
わかりやすく書かれていてこれなのだから、学者さんの間ではどれだけ難解な論戦が交わされているのか想像するだけで震える。
新しい発見、知見を得られそうで、手が届きそうというところまでいくのだけど、その発見知見を自分で言語化できない。言語化できないということは自分のものにできていないということだ。もっと理解を深めたい。
AとBという選択肢から一方を選んで、そのそれぞれの先が(干渉不可能になるまで)分岐してしまうと、もうそのA・Bの選択の先の世界は互いに認識されなくなる、というくだりには深く納得。
クレオパトラが美女でなかったら、楠木正成が後醍醐天皇につかなかったら、ノーベルがダイナマイトを発明しなければ、私が受験勉強をもっとまじめにやっていれば、もしもあのとき…。
歴史的な分岐点、個人的な選択肢、どんなものであれ一度選び取られて結果が生じれば「選択されなかった分岐」の先に現われただろう未来は、この世界からは確認できない。いまと大して変わらなかったのか、世界の命運も揺るがしたのか、すらわからない。
そして余談。「特異点」とか「虚数時間」とか、このあたりの現象のネーミングが文系(しかもやや中二病)の私にはロマンが詰まっていてときめいた。頭の悪い感想ですみません…。
揚げ足取りになってしまっていたら本意ではないのだが一点指摘したい。220ページでは「一秒前の状態Aから状態Oへ移り変わる」という表記なのにそのすぐあとの222ページでは「状態Oから状態Aに変化する」という表記になっていて頭が混乱。別の事象を表現するなら違う表記にしていただけるとありがたいし、どちらの状態Oも宇宙誕生であるのなら状態OとAの順序は統一していただきたい…(読んだ感じ、220ページのOは任意の時点で、222ページのOは宇宙誕生のようなんだけど)。 -
フォトリーディング。マルチバースの基本的なことを解説している本とのこと。前半は面白そう。でも後半になると気が重くなった。キリスト者的には第一コリント3:19の「神は知者をその悪賢さの中で捕える。」という言葉を念頭に、気をつけて読んだら良いと思った。
そもそも知恵を捕えられて惑わされた人々の理論が面白いはずはなく、フォトリーで感じた重圧感はその感覚のような気がする。
注意して読んでみることにする。
高速で読了。
1957年、エベレットによって提唱されたのがマルチバース。以後議論されている。
興味が湧かなかった。 -
hontoのポイントがたまったので、hontoに2014年7月10日注文した。2014年7月11日hontoより発送された。休日は受け取りができないので、14日(月)に手元に届く予定。
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多世界解釈の解説。素人の私にも概略が分かるような構成で、大変興味深く読んだ。
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第1章 原子の世界
第2章 量子力学の誕生
第3章 確率解釈と波の収縮
第4章 量子力学の多世界解釈
第5章 同時進行する複数の世界
第6章 干渉するミクロの世界・干渉しないマクロの世界
第7章 シュレディンガーの猫は死んだのか
第8章 分離不可能性と不確定性原理
第9章 「確率解釈」をみちびく
第10章 光の量子力学
第11章 宇宙から見た量子力学
第12章 多世界解釈の世界像 -
[ 内容 ]
[ 目次 ]
第1章 原子の世界
第2章 量子力学の誕生
第3章 確率解釈と収縮
第4章 量子力学の多世界解釈
第5章 同時進行する複数の世界
第6章 干渉するミクロの世界・干渉しないマクロの世界
第7章 シュレディンガーの猫は死んだのか
第8章 分離分可能性と不確定性原理
第9章 「確率解釈」をみちびく
第10章 光の量子力学
第11章 宇宙から見た量子力学
第12章 多世界解釈の世界像
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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不確定性原理の本と同時期にかって、こっちのほうが期待は大きかったのですが、結果は逆です。エヴェレット解釈がどのようなものかというタイトル通りのことが書いてありますが、D.ドイッチュの本の2章のような、何故そのような構造であるべきかと言うことまで言及してないし、あくまで基本的な実験の紹介のみです。悪くは無いけど、良書一歩手前と言った感じ。惜しい。