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- / ISBN・EAN: 9784062572781
感想・レビュー・書評
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ブルーバックスといえば中高生から読める科学入門用新書だと、私は思っていた。でも、この『無限のパラドクス』は難しかった。
内容はいちおう理解できたと思うが、理解するのに高校で習った数学では不十分で、あとから趣味で学習した数学史、初等微積分、線形代数、集合論(とゲーデルの不完全性定理)あたりの知識を総動員して、やっと理解できたと感じるような内容だったと思う。
数学的な“無限"の概念はギリシャの幾何学&数論からはじまって微積分の極限になり、集合論の無限集合の濃度論になって、最終的にはゲーデルの不完全性定理で無限概念のみならず、数学という学問そのものにまでオチがついた、と私は理解した。
オイラーが形而上学的なことにはまったく興味がなくて、雇い主のフリードリヒ大王にバカにされていた、というようなエピソードの部分はどれも面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・すこし前にラッセルの「数理哲学序説」を読んで本書を昔に読んだことを思い出した。たぶん20年ほど前に読んだと思うが、古い本棚で埃をかぶっていたので綺麗にして新しい本棚に収めた。思い返せば自分が小学生だった頃、よく父親に「1+1は?」と訊いていた。2という答えを期待していたのではなく、なぜ2という新しい数字が答えになるのかその根拠を知りたかったのだった。それはともかく、私は本書のおかげでジョルダーノ・ブルーノという人を初めて知ったのだから、これ以上のものはない。
・およそ競技といえば順位は付きものだが、ここでは幾らか特殊な世界を想像してみる。その世界では私たちが普段2位と呼んでいる順位のことを「アキレス」と呼び、私たちが普段1位と呼んでいる順位のことを「亀」と呼んでいる。してみるとアキレスと亀の徒競走はそっくりそのまま2位と1位の徒競走を意味することになるのだから、アキレスが亀を追い越すとその瞬間にアキレスは亀になり、亀はアキレスになる。ここでもし両者の入れ換わりに付随してそれぞれの速さも入れ換わるのだとすれば次の瞬間には「かつて亀だったアキレス」が亀になり、「かつてアキレスだった亀」はアキレスとなり元に戻る。同じことが次の次の瞬間からも引き続き起こるのだから、そこでは運動と変化が繰り返されているにもかかわらず「アキレス」は常に「亀」の後ろにいる。これに対して「たんなる徒競走に順位は関係なく、アキレスと亀はいつまでもアキレスと亀のままなのだ」と言うのであれば、それはゼノンが期待した通りの答えになるだろう。その期待に反して問題を考えるにはアキレスと亀の速さと、両者の順位をそれぞれ別の系列として捉えなくてはならない。
(レトリック感覚、のレビューへつづく) -
無限について数学の歴史から述べる。実数は無限小数の極限値として実在する(?)。集合論では無限の濃度が存在する(?)。
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読了日は判らないので古い日付で適当に。ジャケ買いならぬタイトル買いと思われる。数式もちょくちょく出てきて、哲学分野にも造詣の深い理学博士の無限論エッセイといった内容。
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無限の考え方をギリシャから、現代にかけてどのように考えられてきたのかを解説しています。
さまざまな数学家や哲学家の名前が出てきて興味ぶかいのですが、
現代の無限論を知ってる前提で書かれていますので、この本を読んでも、
現代の無限論は分かりません。
また、ところどころ、ほかの本で説明しているから、ここでは説明しないという記述があり読んでいて非常に不快になります。 -
無限論における数学史の本。
歴史の本だと気付かずに買ってしまった。
やっぱり、歴史は苦手だ。 -
[ 内容 ]
無限とは何か?
数学者は無限はどう手なづけたか?
本書は一数学者の立場から無限という概念の歴史的展開をたどったものである。
[ 目次 ]
第1章 無限論への招待
第2章 ゼノンの逆理-ギリシアの無限論
第3章 万能の神-中世の無限論
第4章 微積分学の成立-近代の無限論
第5章 数学的パラドクスの終焉-現代の無限論
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
お時間のあるときにどーぞ。
無限とは何でしょうか。その無限の歴史的系統を追ったもの。
過去の人々が無限をどのように考えていたのかがわかりますが、意外と人間は進歩していないのかもしれない。